144MHz電圧給電アンテナ2(ロッドアンテナ使用)

はじめに(2018/6/22)
ビニール線で作った電圧給電アンテナが思いのほかうまく行ったので、これをロッドアンテナで作ってみたくなりました。パーツ屋へ行くとFMラジオ用の85cm前後のロッドアンテナは売っていますが、1m長は見つけることができません。そこで以前50MHzの移動用に使っていた1.5mのロッドアンテナがあるため、これを短くして使えないか試してみることにします。

コンデンサVC1の耐圧(2018/6/22)
144MHzにおいて 出力P=2W、出力インピーダンスR=50Ωのトランシーバーを想定しました。

A点の電圧 A=√(PR)=√(×50)=10(V)

B点の電圧 B=A×コイルの巻き数比=10×7/1.5=47(V)

したがって市販のセラミックトリマ(耐圧50V)が使用できます。

1.5mロッドアンテナの分解と基部の製作(2018/6/22)

  1. 10段のロッドアンテナ(太い方を1段目、細い方を10段目とする)の1段目を切って4〜10段目を取り出します。
  2. 各段ごとに半円状に丸めた銅板(リン青銅板?)が根元部分から外れてくる。1〜3段目は使用しません。
  3. 4段目のパイプは内径が7mmであり、ここに基部を取り付けます。
  4. 基部の作り方は、φ6の真鍮パイプを20mm長に切り、0.5のスズメッキ線を15回ほど巻き、半田付け後、外径をヤスリで7mmに仕上げる
  5. 7mm部分を4段目ロッドアンテナの端部に差し込み、φ1.5の穴をあけ、M2のタップでネジを切り、ビスをねじ込んでラグ端子を取り付ける

 分解したロッドアンテナ

 
(左)φ6真鍮パイプに0.5スズメッキ線を巻きつけで作った基部 (右)基部をパイプに差し込みM2のタップを立て、ビスで固定

◆10段目を短くする(2018/6/22)

  1. 4〜10段目を合計した長さは1090mmになり、これでは144MHzには同調しないので先端の10段目を短くして、全長990mmになるようにします。
  2. キャップを外し、ペンチ等で先端から100mmを切り離す。
  3. 先端にM2のねじをダイスを使って切る。材質がステンレスのせいか万力で挟んでもネジを切ると連れ回りするため、ドリルのチャックでつかみました。
  4. ネジ部分にキャップを取り付ける

 短く切ったφ2のエレメントをドリルのチャックで掴み、ダイスでM2のネジを切る

 キャップをねじ込む

◆マッチング部の製作(2018/7/13)

  1. ボビンには外径φ9内径φ6のグラスファイバーパイプを使いました.。
  2. パイプを40mm長に切り、片側の端がBNCコネクタにはまるよう外径φ8×長さ8に削ります。電気ドリルのチャックでつかんで回し、ヤスリを当てると丸く削れます。
  3. BNCコネクタはラグ端子を取り付けるため、端から4mm程度の位置にφ1.5のドリルで下穴をあけ、M2のタップでネジを切ります。
  4. φ0.8スズメッキ線を7回巻き、コールド側から1.5回の位置にφ1.5のドリルでボビンに穴をあけておきます。
  5. φ1のスズメッキ線を30mmほどの長さに切り、BNCコネクタの接続ピンに半田付けし、もう一方をボビンのタップ穴を通してコイルに半田付けします。
  6. 6PFのセラミックトリマをラグ端子に半田付けし、コイルに接触しそうな箇所はエンパイヤチューブをかぶせておきます。
  7. ボビンとBNCコネクタの差し込み部はエポキシ2液接着剤で固定します。
  8. SWR調整後に熱収縮チューブを被せ、ライター等で加熱してマッチング部全体を保護します。

 40mm長のボビンは片側がBNCコネクタに入るようにヤスリで削る

 BNCコネクタにM2のタップを立てる 


接続ピンにはφ1のスズメッキ線を半田付けし、反対側はコイルのタップ位置に半田付け

 タップ位置


トリマはコイルと干渉しない位置に固定し、コールド側のリード線はコイルと接触しないようエンパイアチューブを被せる

 SWR調整後に熱収縮チューブを被せる

 完成品は全長222mm

◆内部構造(2018/7/20)

◆SWR測定(2018/7/20)

  1. コイルやトリマの配線を終えてからSWR測定をします。
  2. 低周波発振器 → 144MHzトランシーバ → SWRメータ → 電圧給電アンテナ の順につなぎます。
  3. トランシーバーを送信状態にしてから6Pのトリマを回すとSWRのストンと落ちる点があります。144.140〜144.260MHzにおけるSWR値は1.05でした。

◆エレメントからの輻射(2018/7/20)
さてアンテナからはどのように電波が出ているのでしょう。図のような高周波電圧計を作り、アンテナに沿って上下に移動しながらメータの振れを図に点線で書いてみました。エレメントの上端部と下端部に山があり、中央部に谷があります。

◆1/4λとのゲイン比較(2018/7/20)
移動運用先にて1/4λロッドアンテナと付け替えて比較すると、当アンテナの方が受信感度でS2〜3ほど良好でした。

<完了>


◆参考資料

  1. アンテナハンドブック CQ出版社
  2. アンテナ製作マニュアル 電波新聞社
  3. アマチュアのアンテナ設計 岡本次雄著 CQ出版社