21MHzSSBトランシーバ
◆はじめに(2016/1/15)
同調用のバリコンや減速機が手に入りにくくなりつつあることを感じ、その代わりとしてバリキャップと10回転ヘリポットでVXOやVFOを作り始めてから10年ほどがたちました。周波数表示方法としてこれまでに @電圧計 A糸掛け方式の横行ダイヤル を使ってきましたが、今回秋月の周波数カウンタキットを周波数表示に使ってみようと思います。
◆主な仕様(2016/1/22)
◆秋月の周波数カウンタキット(2016/1/15)
昨年末に秋月の「水晶発振子周波数測定キット」を購入しました。LED5桁表示でオフセット機能があるためトランシーバーの周波数表示に丁度いいなと思いました。外部入力端子はPICに直接つながっており、VFOの出力を外部入力端子につないでも信号が弱すぎて周波数を表示することは出来ません。そのため3石のプリアンプを前段に追加しました。
◆リグのデザインを決める(2016/1/15)
必要な機能のツマミやスイッチ、コネクタなどを集めて配置してみると幅200×高70mmのサイズが必要になリました。中央に周波数表示部、右に同調ツマミとその上にS/RFメータ、またスピーカーも前面に出しています。
◆VF0ユニットと温度補償(2016/2/26)
VFOについてはすでにラグ板配線の試作機で回路定数が決まっているため、同じ回路をプリント基板化し発振部にカバーを被せました。サイズは縦65×横50×高さ17mmです。C2の温度補償コンデンサは当初 90PF −250ppm/℃でしたが、このユニットを暖めたり冷やしたりしながら最適の温度係数を求めたところ −310ppm/℃ となりました。手持ちの関係で −319ppm/℃ ですがユニットの温度を10℃変化させたときの周波数変動は
となり、かなり満足できる結果へ追い込むことが出来ました。
◆ヘリポットの回転数と周波数の関係(2016/2/19)
バリキャップに加える電圧と周波数の関係が直線であれば問題ないのですが、FC54Mを使った場合は下のグラフのように直線ではありません。そのためヘリポットと並列に補正用抵抗を入れ、できるだけ直線に近づくようにしています。
◆オートスキャン回路(2016/2/1)
21MHzはコンディションによって賑やかな時もあれば全く静かな時もあるため、バリキャップ同調のこのリグにもオートスキャン回路を搭載します。7H3機では200kHzを5秒でスキャンし電圧計で周波数表示していましたが、今回は周波数カウンタの表示が追随できないため1サイクルを約17秒に設定しました。
◆スキャン時の入感表示LEDを追加(2018/3/2)
スキャン時には局が出たかが分かるようボリュームを軽く絞ってはいるもののスピーカーからは常時「サー」という音が聞こえ、それはそれで耳障りなものです。そのためボリュームを絞っても入感時はLEDが光る機能を追加しました。原理としては第2中間周波増幅2SK241のソース電圧を検出し、AGCが効いた時の変化をとらえてLEDを光らせるものです。電圧はスキャン回路の12Vから取っているため、チューニングを手動にした場合は入感してもLEDは光りません。
25×18mmのプリント基板に彫刻刀で溝を掘って部品を半田付け
周波数カウンタ基板の空きスペースに両面テープで貼り付け
◆正面パネルをベニヤ板で作ってみる(2016/2/12)
CADを使っての設計はしていますがデジタル表示方式のトランシーバーは初めてなので、部品配置や部品同士の干渉など実物で検討しないとわからない点があります。そのため2.5mm厚のシナベニヤで正面パネルを作り、実際に部品を取り付けてみました。周波数カウンタの前に取り付けたボリュームがカウンタの部品と干渉したり、机に置いたトランシーバーを斜め上から見るため、LED表示が見えやすくするため窓の上側を2mmほど広くしたりなどの修正を進めています。
(左)シナベニヤで作った仮の正面パネル (右)裏側
◆基板の作成(2016/2/19)
回路全体は20Pの平ラグ板4枚に組みますが、周波数カウンタ用プリアンプやノコギリ波発生部はラグ板に収納できないため別にプリント基板(80×55mm)を作り、カウンタ基板の裏に背中合わせで取り付けることにしました。
◆ケース作り(2016/3/11)
アルミ板で作った21S1機のケース
部品を取り付けてみました
◆水晶フィルタの特性(2016/3/18)
このリグに使用するフィルタは8素子としました。20Pのラグ板を4枚使った回路構成ではスペースの関係で6素子までがやっとなのですが、VFOをプリント基板化したためスペースが少し空いたのでその部分を使うことにします。
◆受信部の配線(2016/3/25)
まずは受信部の配線から進めます。前にも紹介しましたが受信部はスピーカーアンプ側から回路図を逆にたどって配線を進め、時々動作確認をしておくとミスを早めに修正することが出来ます。
21S1機を下側から見る
◆送信部の配線と調整失敗談(2016/4/1)
出力は3Wを狙っていたものの当初は2Wほどでありこんなもんか思っていましたが、21H1機を横に置いてモニタしながら入力の低周波信号を増やしていくと変調音の濁る箇所があり、回り込みではないかと各所にパスコンやフェライトビーズを追加したりと試行錯誤していました。しかし周波数変換部のコアを回すと出力は減るのにモニタしている音が大きくなる現象に気づき、コアを再調整すると別の位置に正規の同調点があって出力は3.5Wに増え、変調音の濁りもなくなりました。送信部調整時の陥りやすいミスとして1つノウハウが増えました。
(左)21S1機を上側から見る (右)送信部
◆送受切り替えによるVFOの負荷変動(2016/4/8)
調整を進める中で送受切り替えをするとデジタル表示周波数の1kHz台が変化する現象がありました。VFOの出力周波数をカウンタで調べてみると、送信→受信に切り替えると周波数が100Hzほど上昇しました。VFOの出力は混合部2SK241のソースへ0.01μFを通して供給していますが、470Ωを直列につなぐことで周波数変化は20Hzに納まりました。本当は0Hzにしたいのですが、ここに大きな抵抗を入れると受信感度が低下するため、この値で妥協しています。100kHz可変のVXOではここまで変動することは無かったのですが、450kHz可変のVFOとなると負荷の変動も馬鹿にはなりません。VFO発振部から9PFを通してバッファを入れ、出力部にも5PFでつないだ2段のBPFを通していますが負荷の変動は発振段に影響をしているようです。
◆入力周波数と送信出力(2016/5/13)
マイク端子に200Hzから3000Hzまでの低周波信号を加え、そのときの送信出力との関係を下のグラフに示します。
◆ツートーンテスト(2016/5/13)
製作したツートーンジェネレータを使って2信号特性を調べてみました。本などに載っているアナログオシロの波形に比べるとデジタルオシロは輪郭がはっきりせず見にくい感じがします。送信出力はピークで3.5Wほど出ますが、ツートーンの波形を見ると頂上部分が丸くなってきており、飽和の始まっていることが目視できました。
◆運用実績(2016/6/26)
アンテナはベランダに立てた釣竿にビニール線を沿わせた7mHの1/4GP
日付 |
相手局 |
MY |
HIS |
当局運用地 |
相手局運用地 |
距離(km) |
2016/6/26 |
JR6JFR |
59 |
59 |
兵庫県伊丹市 |
熊本県荒尾市 |
499 |
<完了>