ツートーンジェネレータ

◆はじめに(2016/4/15)
送信機の直線性を調べる方法として2信号テストがあります。2つの異なる低周波信号を送信機にいれ、出力をオシロスコープで観測して直線性を評価するというものです。これまではシングルトーンを送信機に入れモニタで歪が無いかを聞き分けていましたが、昨年50MHzデジタルオシロを購入したことで波形観測ができる環境になったため、2トーンジェネレータを作り送信機の評価に使ってみようと思います。

 2トーンジェネレータの実験


2トーンジェネレータの条件(2016/4/15)
SSBハンドブック(CQ出版1973年)P169によると

  1. 歪が少ないこと
  2. 2信号は高調波の関係にないこと
  3. フィルタのパスバンド内で2信号の周波数間隔が広いこと

サイン波発振回路(2016/4/15)
サイン波を作るには @移相発振回路 AツインT発振回路 Bウイーンブリッジ発振回路 があります。Bは回路が複雑になるため1石で済む@とAを実験し、歪の少ない発振器を目指します。

@移相発振回路はCとRがセットになったものを3つつないで位相を180°ずらして発振させます。発振周波数は f=1/(2π√6CR)で求められ、VR1はバイアスの調整用として入れました。(参考:実用電子回路ハンドブック CQ出版 1973年)

AツインT発振回路はLPFとHPFが対になったもので、発振周波数は f=1/(2πRC)で求めます。VR1は発振の始まる位置を設定できます。

移相発振とツインT発振(2016/4/22)
2種類の回路を組んでどちらにするのかを比較してみました。どちらも発振ギリギリのあたりできれいなサイン波が得られ、FFTで見ても高調波は観測できません。しかしちょっとした条件の変化で発振が止まってしまう恐れがあるため、少しVR1をまわすと2次の高調波が現れます。更にまわせば3次以降の高調波が林立してきます。移相発振は少し条件が変わると発振が止まってしまう傾向にありますが、ツインTは電圧が変わってもしぶとく発振するため、ツインT発振回路を組んで行こうと思います。

 
(左)ツインT発振回路のサイン波 (右)FFTで見た高調波の様子、基本波と2次高調波の差は40dB以上

回路図(2016/4/22)

  1. 800Hzと2000HzのツインT発振回路を2組備え、VR1とVR2で発振回路の出力レベルを調整できるようにし、1石アンプで増幅します。
  2. 増幅後の出力は最大200mVほどですが、送信機マイク端子への入力は10mVほどあればよいためVR3で絞っています。
  3. C1の105は当初入れていませんでしたが、トランシーバーのマイク端子にコンデンサマイク用の電圧が出力されているため、OUT端子とVR3が直接つながっていることで電流が流れ、VR3を回すたびにザラザラという音がモニタから聞こえるためC1で直流分をカットしました。

◆2信号特性を画面で見る(2016/4/29)

  1. 21S1機にツートーンの信号を入力してみました。SW1とSW2を片方ずつ入れたときのダミーロードに発生する電圧が同一になるようVR1とVR2を調整します。
  2. ツートーン波形の見方に関してはSSBハンドブックの解説を引用しましたので参考にしてください。
  3. 21S1機はクロスオーバー歪はなさそうですが、ツートーンの音量を更に増やしていくと先端部の波形が丸みを帯びてくるため、飽和してきていることが判ります。

 
(左)SSBハンドブック P170 CQ出版 (右)21S1機のツートーン波形

◆ケースに入れる(2016/5/7)
ケースは1mmのアルミ板を「コ」の字型に曲げ、側板として18×9mmの栂材を切り木ネジで固定しました。サイズは横120×奥行き100×高さ19mmとなっており、シールド効果はありませんが手軽にできるケースとして時々作っています。内部には10Pの平ラグ板に発振部と増幅部を組み、スイッチやボリュームとの間は細いビニール線で結びます。

 

<完了>