横行ダイヤル式50MHzSSBトランシーバー                        もどる

◆はじめに(2014/9/13)
横行ダイヤルの機構が固まったので、実際のトランシーバーに応用してみたいと思います。今年になってからは1枚基板の7MHzや21MHzのトランシーバーを作ってきており、今回は気分転換で50MHzSSBのラグ板とプリント基板混成で進めます。


まずはケース作り(2014/9/13)
1mmのアルミ板を使って幅180×高さ70×奥行175mmというサイズのものを作りました。正面パネルには同調用のツマミ、S/RFメータ、AFゲイン用ツマミ、スイッチなどを配置しました。横行ダイヤルのパネル下側は大きくえぐってSメータやボリュームが入るようにします。加工は金属用の糸鋸を使ってケガキ線の内側を切り離し、ケガキ線に沿ってハンドニブラーで成形しヤスリで仕上げました。

  

 正面パネル

 横行ダイヤルパネル


回路について

今回製作のトランシーバーは機構部分に重点を置いているため回路は50S3機を流用し、オートスキャン用の三角波発振回路は省略することにします。

VXO部の製作(2014/9/20)
同調用コンデンサにはバリキャップFC54Mを使うため、熱的に安定するようカバーを被せる必要があり、VXOの発振部のみプリント基板を使うことにしました。40×40mmの基板に回路を収め、0.6mmのアルミ板で36×26×15mmのカバーを作りM2×15の高ナットとビスで固定しました。

 

VXOの周波数直線性(2014/9/20)
21H1機の実績からVXOの電圧は5Vとしました。ヘリポットの回転数と発振周波数の関係は下のグラフに示したとおりです。ヘリポットに10KΩの補正用抵抗をつけた時とつけない時の周波数はグラフのとおりです。その下の図は実際に目盛りを書いてみたところで、補正Rありの方が直線に近い目盛りとなりました。

ラグ板で配線(2014/9/27)
配線に使う平ラグ板は15Pが4枚、10Pが2枚で中間シャーシの表裏にM3のネジとナットを使って固定します。

 

実体配線図を作る(2014/9/27)
ラグ板配線をする場合は、回路図とは別に部品をどこに取り付け、配線をどう引き回すか実体配線図を作って事前に検討します。高周波が流れインピーダンスが高い部分はできるだけ短く、また直流が流れる部分についても配線が短く、少なくなるよう何度も書き直すことが必要です。

配線を進める(2014/10/17)
ラグ板に部品を半田付けし、ビニール線で回路を構成するという方式で配線を進めました。受信部は発振気味だったので中間周波のトランスをタップダウンし、電源回路にデカップリングを入れて動作の安定化を図りました。

 

目盛りを作る(2014/10/17)
周波数の目盛りとSメータの目盛りはCADでデザインし、インクジェットプリンタでフォトペーパーに印刷し、切り取って両面テープで貼り付けました。

終段は2SC2538(2014/10/25)
2SC1970は144MHzでも1Wほど出る有難い石で、いろいろなリグに使ってきましたが、手持ちが減ってきたこともあり今回は小型の2SC2538を使ってみました。データシートでは175MHzで0.6Wというもので、この石はすでに廃版となっていますが手持ちが数個あったため陽の目を当てることにしました。ラグ板上に放熱用の銅板を敷いて、その上にシリコングリスを塗ってから2SC2538を密着させ、エミッタを銅板に半田付けします。ベースバイアス関係は空中配線でコンパクトにまとめました。動作させるとピークでは0.9Wほど出てしまいますが、通常は0.5Wほどにしています。

50S4機は横行ダイヤルの構造と使い勝手を検証するために作ったものであり、回路は50S3機をほぼ踏襲しているため、ここでの詳しい説明は省略します。


トラブル対策

◆受信部の動作不安定(2015/6/19)
KANHAM2015に展示するため久しぶりに火を入れ、コイルを再調整すると受信部で発振気味の動作不安定な状態になりました。あちこちを抑えたり指で触ったりしながら原因を探っていくと、バラモジTA7358Pの3ピンにつながるコイル部に触ると動作が安定化します。7,8ピンで発振した局発の信号はバラモジ部を通して1,2,3ピンで増幅していますが、ここに常時電圧が加わっているため、T13からの出力が中間周波増幅部に入りこみ動作不安定の原因になっているようです。局発の信号はバラモジを通っているためキャリヤは抑えられており、3ピンに常時電圧を加えても信号は出てこないはずで、これまで10数台作ってきた実績もあり特に問題はなかったのですが、配置の関係か配線の関係か、バラモジのバランスが崩れていたのか今回はダメでした。対策としては3ピンにつながる部分の電圧は送信部から取るようにして解決しましたが、これからの配線は気をつけようと思います。

<完了>