7MHzSSB移動用トランシーバー(7H2)                                     戻る

◆はじめに(14/3/8)
伊丹市内に関東系のスーパービバホームというホームセンターが2013年夏にオープンしました。関西系とは違う品揃えに興味があり時々店内を物色しに行きますが、目に留まったのはアルミキャリーケースです。以前非常用トランシーバーとして作った7H1機は堅牢性と防水性が弱点でしたが、このようなケースに入れることで弱点をカバーすることができるでしょう。そんなことを思いつくと、、このケースの中にスッポリ収まるトランシーバーを作ってみたくなりました。


設計編

アルミキャリーケース(14/3/8)
外側は175×120×120mmで、内部にはクッションが貼り付けてありサイズは横15×縦10×深さ70mm、蓋の深さは40mmです。発売元:鰍kIXILビバ、価格¥1180

 

トランシーバーの構造(14/3/8)

  1. @正面パネル、Aプリント基板、B背面パネルのサイズは150×100mmとし、M3の高ナットで@ABをつなぐ。
  2. ケースに収めるため正面パネルで全ての操作が出来るようにし、アンテナ端子、充電端子、スピーカーも正面に取り付ける。
  3. バリキャップを使った電子同調と周波数はメータ表示にすることで構造的な制約を緩和する。
  4. アンテナ端子と外部電源端子は背面パネルにも付け、机に置いても使えるようにする。
  5. 電池ケースは背面パネルの外側に取り付け、ケースを開けなくても取り外しができるようにする。

ケースを作る(14/3/21)
正面パネルは1.5mm厚、背面パネルは1mm厚のアルミ板を使い、長ビス、スペーサー、高ナットでそれぞれのパネルをつないだところ、割としっかりした構造になりました。これに「コ」の字型のフタを2枚作って被せればケースは完成です。キャリーケースにもスッポリと収まり、トランシーバーというよりは測定器のような感じになりました。

 

トランシーバの仕様(14/3/15)
形から先に入ってしまいましたが仕様については7S1機と同等のものとし、オートスキャン機能を追加します。

  1. 周波数 : 7.040〜7.140MHz
  2. 送信出力 : 2.5W(12V時)
  3. 終段 : 2SC2078
  4. 受信部 : 高1中2シングルスーパー
  5. 中間周波数 : 12MHz
  6. 付属機能:オートスキャンによるバンド内自動ワッチ
  7. 電源 : 単3ニッケル水素10本(12V) および外部電源(11V〜14V)
  8. 質量 : 790g(電池を含む。キャリーケースは含まず)

中間周波数のトラブル(14/4/5)
当初 VXO=21.477MHz,中間周波数=14.318MHz としていましたが、受信時にVXOの同調周波数を変えてSSBを聞いていても、7.030MHz近辺のCWが背景でずっと聞こえており、おそらく局発の信号が悪さをしているものと想像しました。中間周波数を7MHzの倍数近辺にするのは良くなさそうなので、VXO=19.144MHz,中間周波数12MHzに変更することで背景のCW音はなくなりました。

受信部の構成について(14/5/3)
7H2機の元になったのは7S1機で、回路の検討はその時に行いました。当初はプロダクト検波後に低周波増幅を1段入れ、その後LM386でスピーカを鳴らしていたのですが、7MHzでは感度が良すぎSメータはほとんど振れっ放しだったので低周波増幅を減らし、かつ100mHを使ったLPFを追加して隣接局のキンキンした音を抑えることにしました。他のリグに比べると感度が悪いようにも感じますが、QRP機であればこの程度で十分ではないかと思っています。

◆プリント基板の設計(14/3/15)
150×100mmの基板にトランシーバーの機能を全て収めるわけで配置には工夫が必要ですが、今回は左半分をSSBジェネレータ部、右半分をトランスバータ部という構成にしてみました。基板の周囲には所々に切り欠きを入れ正面パネルへの配線を通します。基板の設計には配線を色分けしておくと判りやすいため、送信部(青)、受信部(ピンク)、共通部(黄色)、AGC(緑)、グランド(灰色)、TP(オレンジ)としました。高周波の流れるところは極力短くし、直流が流れるところはジャンパ線(点線で表示)を使ってでもグランドを広く取ることを優先します。配線が込み合ってくると部品の位置をずらして再配線をするなど随分手間はかかりますが、出来栄えに影響するためたっぷり時間をかけ、納得するまで頑張りましょう。


製作編

基板作り(14/3/29)
CADで作ったパターン図を裏返して(ミラ−リングして)プリントし、基板に貼って千枚通しで印をつけ、その箇所をφ1のドリルで穴あけしました。1枚の基板にトランシーバーの機能を全て収めようと思うと穴明けだけでも数100ヶ所にのぼり、なかなか時間がかかります。その後は銅箔面をスチールタワシで磨き、シンナーで汚れをふき取ります。画像左は細マジックで各点を結んだところで、右は塗りつぶしたところです。

 
上のパターンは数箇所ミスがありますので、丸ごとコピーはしないでください。SRI

基板のエッチング(14/4/5)
塩化第二鉄の溶液をトレーに入れそこに基板を浸します。エッチングが進むと溶液が黒くなって進行度合いがわかりにくくなるため、3割ほど湯を入れて薄めました。トレーは更に大きな容器に浮かし湯銭をして40〜45度になるようにすると10〜15分ほどでエッチングが完了します。

 

基板へ部品を取り付ける(14/4/5)
基板のエッチングが終わったので共通部と受信部の部品を取り付けました。うまく動作しないので調べてみるとパターンミスが3箇所あったためカッターで切って修正し、アンテナやスピーカーを接続して電源を入れると7MHzの交信が聞こえたので一安心です。8素子のラダー型水晶フィルタ、100mHを使ったAFローパスフィルタ、低周波増幅を1段省略したことで近接のキンキンした信号やノイズも減り聞きやすい音になっています。使用している7Kボビンはサトー電気で購入した中国製のもので、識別のため黄色の塗料を塗っています。

放熱器とVXOカバー(14/4/19)
アルミ板をコの字型に曲げた高さ20mmの金具を作り、絶縁シートを介してポリカーボネイトのネジで終段の石に固定します。また金具は背面パネルにネジ固定することで放熱面積を確保しました。VXOのカバーは0.6mmのアルミ板を曲げて四角い箱を作りVXOの発振部にかぶせます。目的は周囲の温度変化を緩やかに受けるためのもので、シールドという意味ではありません。

  (左)放熱器 (右)VXOのカバー

目盛りの自作(14/4/26)
S/POWERと周波数の表示はVUメータ(シリコンハウスで@450)を使っており、、そのためには目盛りを作ることが必要です。CADで目盛りを作り、インクジェットプリンタを使って厚手の印画紙に印刷し、はさみで切って裏面に両面テープを貼り、メータの目盛り面に貼り付けて作ります。周波数表示の目盛りはメータの振れ角70度を10等分した目盛りを最初に作り、実際の発振周波数を周波数カウンタで測定し、10等分目盛りのどこに針が振れたかを記録します。次にその角度のところにCADで周波数目盛りをつけ、数字を割り振りました。

 

平衡変調部でのトラブルについて(14/5/3)
アンテナ端子にパワー計をつなぎ送信状態にすると出力は2W以上出るものの、無信号時でのキャリヤ漏れが5mWほどありました。通常は局発のトリマを回してフィルタ帯域の少し外側にキャリヤポイントを移せばキャリヤ漏れは収まるのですが、今回そうはいきませんでした。調べて行くうちに平衡変調TA7358Pのバランスが崩れているだろうと思い、試しに電源供給部の9ピンに0.01μFのパスコンを追加してみるとキャリヤ漏れが減りました。もともと9ピンにパスコンは入っているのですが、グランドのパターンが細いラインで引っ張ってきた先端にあり、パスコンとしての効果が少なかったようです。そのため部品の配置を変更しパスコンを広いグランド部に落とすことでバランスが取れ、キャリヤ漏れは0.1mW以下になりました。多くの部品を1枚の基板に収めようとパターン設計をしましたが高周波的な配慮が足らなかったようで、次回パターン設計するときは注意したいと思います。

 部品の配置を変えてBM部9ピンのパスコンを広いグランドに落とす。

信号の流れ(14/5/5)
7H2機の信号の流れは上の画像のようになっています。基板の左半分がSSBジェネレータ部、右半分がトランスバータ部で、それを1枚の基板に収納しました。増幅回路が連続する箇所は直線的に配置して異常動作を抑え、直流の流れるところは無理にパターン化せずにジャンパ線を使って高周波の流れる線路やグランド部を切らないようにしています。

配線をすっきりさせる(14/5/10)
7H2機は正面パネル、プリント基板、背面パネルを高ナットでつないだ構造で自分としては新しい試みなのですが、いざ作ってみると長所・短所を併せ持っていることが判ってきました。短所の1つは配線で、あらかじめ正面パネル側の配線をして長めに線を切っておいてから基板を取り付け、基板側への配線をしています。しかしジャングル状態で配線もしづらいため、正面パネル側に中継端子を設けて配線を完結しておき、そこから基板側へつなぐようIC用FCZ基板を切り中継端子として配線をまとめてみました。

 
(左)リグを横から見たところ (右)基板をはずしたところ

 
(左)IC用FCZ基板 (右)中継端子は両面テープを使ってパネルに貼り付ける

 
(左)正面パネルの配線を中継端子につなぐ (右)中継端子と基板を配線でつなぐ


測定編

VXOの周波数直線性(14/4/12)
VXOには10回転のヘリポットを使っており、回転数と周波数の関係を調べてみました。黄色の線が直線性を示す基準線で、これに近いほど直線性がよいといえます。紺色の線が元々のVXOの特性であり、ピンクの線は補正用の10kΩを入れたものです。0〜1回転目で21kHz、9〜10回転目で3kHzとかなりのバラツキはありますが、1回転21kHzであればチューニングは楽で実用上の問題はないと思います。

 

VXOのQRH特性(14/5/24)
7H2機を保温ケースに入れVXO部のみ動作させて時間当たりの周波数変動を測定したのが下のグラフです。VXOの発振周波数は19MHzで可変範囲は100kHzですが、電源を投入してから50Hzも動いてないので非常に安定したVXOのように見えます。しかし実際の運用では室温変化、終段の発熱、屋外では太陽光の照射など温度変化の要因はたくさんありQRHはもっと大きくなるでしょう。

  (左)VXOの内部 (右)ケースをかぶせたところ

水晶フィルタの特性(14/5/31)
7MHzは出ている局数が多いため混信対策が必要で、その1つは切れのよいフィルタを使うことです。7h2機では12MHzの水晶を8個使ったラダー型のフィルタを使っており、その特性は上のグラフのようになっています。6素子のものと比較したことがありますが、8素子の方がキャリヤポイントが500Hzほど高く、結果的に特性がシャープになっているのだなと思いました。

電源電圧と送信出力(14/5/31)

終段の直線性と利得(14/6/7)
2SC2078ベース部のTPに高周波電圧計のプローブを当て、入力インピーダンスを20Ωと仮定したときの入力電力対送信出力の直線性を調べてみました。ほぼ2Wまではリニアに増幅し、そこを超えると直線性が悪くなります。また利得は次の式で計算しました。 利得=10LOG(送信出力/入力電力) 

  

◆メータの振れすぎを抑制するダイオード(14/5/17)
S/RFを表示するメータはデジットで買ったレベルメータ(@450)を使っており、特性を調べてみると10等分目盛りに対する電流値は左のグラフの紺色の線で示すようなカーブになっています。このメータで信号が弱いときはほどほどに振れ、強い信号ではメータの振れを抑えるよう、メータと並列にショットキーバリヤダイオード1SS108を順方向に接続しています。このダイオードは右のグラフのように0.15Vあたりから電流が直線的に流れる特性を持っています。メータのフルスケール時の電圧は0.17Vであり、ダイオードをメータに並列接続することにより電圧が上がるとダイオード側への分流が増え、下のグラフのピンク色の線のように右側へ行くほど圧縮のかかる特性となりメータの振り切れを抑えてくれます。実際に使ってみるとメータの振れが弱く感じたので、100Ωを直列に入れ黄色の線のような特性にして使っています。