低周波発振器                                          もどる

◆はじめに(2012/4/28)
トリオのAG202Aという低周波発振器を40年ほど前に購入し、トランシーバの入力信号源として、またオーディオアンプやフィルタの周波数特性測定、超音波の実験などに使ってきました。発振周波数は20Hz〜200kHzで、大型の目盛りとフライホイール式のダイヤルは、古式のVFOを使っているような感じのものです。しかし、いずれはくる寿命にそなえ、トランシーバの調整用として発振周波数は100Hz〜10kHz程度とし、機能を絞った低周波発振器を作ってみようと思います。

 
(左)トリオAG−202A、(右)ほぼ完成した低周波発振器


仕様を決める(2012/04/28)

  1. 周波数 : 100Hz〜10kHz (L=100Hz〜1kHz 、H=1kHz〜10kHz)
  2. 出力電圧 : 0〜300mV
  3. 出力インピーダンス : 680Ω

 回路実験中

回路について(2012/04/28)

  1. ウイーンブリッジ発振回路を使い、コンデンサの値を切り替え、2連ボリュームで抵抗値を変化させ、100Hz〜10kHzをカバーします。
  2. NJM4580Dはオーディオ用の低歪率オペアンプで、1段目で発振し、2段目はバッファとして使います。また出力の安定化のためダイオードと2SK30を使い自動でゲイン調整をします。
  3. 電源は12Vのトランスで、プラスマイナス両方の電圧を作ります。10D1で整流したあと平滑回路として当初は470μ1個だけでしたが、ハム音がひどいので470μ2個と100Ωを使ったデカップリング回路を通したところきれいな音になりました。
  4. VR1は100KΩの2連ボリュームで発振周波数を調整します。
  5. VR2は安定して発振できる値に設定します。出力を強くしようとして回し過ぎると歪が発生してしまいます。
  6. VR3は出力ゲイン調整用です。

発振周波数と目盛りについて(2012/05/03)

発振周波数は  f=1/2πCR (Hz) という式で表され、周波数 f と抵抗  は反比例の関係にあります。

 

使用している2連ボリュームはB型ですが、実際に目盛りを書いてみると上の画像のようになり、低い周波数は間延びして上側へ行くに従い目盛りが詰まってきます。

B型ボリュームとA型ボリューム(2012/05/05)
この目盛りを補正できないかシュミレーションしたのが下のグラフです。B型ボリュームの場合は目盛りの上下がアンバランスな関係ですが、A型ボリュームの特性曲線を当てはめてみるとほぼ直線になることが分かりました。

 

A型ボリュームと周波数直線性(2012/06/02)
100KΩB型2連ボリュームをA型に交換して直線性を確認してみました。結果は下の目盛り画像のようにいわゆる逆ダイヤルで、時計方向に回すと周波数が下がる関係になりました。通常の時計方向に回して周波数が上がるようにするにはC型のボリュームが必要となりますが、これは市販されていません。ここは多少の不便は目をつむっても周波数直線の方が魅力的なので、A型のボリュームを使うことにします。

 100KΩA型2連ボリューム(共立で購入)

ケース作り(2012/06/08)
ケースのサイズは幅100×高50×奥行150mmとし1mmのアルミ板で自作します。

平ラグ板に部品を取り付ける(2012/06/01)
6Pの平ラグ板2枚に部品を取り付けます。1枚は電源整流部、1枚は発振部です。発振部はスタンドオフ端子を2個使い空中配線的なものになりました。

周波数を微調整(2012/6/8)
この低周波発振器は×1と×10の2つのレンジを持ちますが、発振用コンデンサに微妙な誤差があるため、レンジを切り替えてもピタリと目盛りには一致しません。今回は×10に使っているフィルムコンデンサ152(0.0015μF)と並列に39PFを接続することで、ほぼ目盛りに一致させることが出来ました。

◆デザインを決める(2012/06/08)
低周波発振器の正面パネルを印画紙にプリントし、彫刻刀とカッターナイフで切り抜き、2mmのアクリル板を切り出して穴を開け、3つのパーツを重ねてケースに取り付けました。目盛りの線や円などはCADのお得意なところであり、文字のサイズや場所も自由に入れられるので、インスタントレタリングで1つ1つ文字を移しこむよりはずいぶん楽ですが、3枚のパーツの取り付け穴をピタリと合わせるのはなかなか難しいものです。最後に作ったアクリル板は、最初に小さな穴を開け、細い丸やすりで穴位置を微調整するという、手作りの極みのようなものです。hi

 

出力波形の観測(2021/4/4)
1000Hにおける出力波形は下の通りです。2,3,4倍波が出ていますね。

  

AG202の出力波形(2021/4/4)
トリオのAG−202Aを1000Hzで発振させ、その波形を観測すると歪も無く素晴らしいですね。さすがメーカー製と感嘆しました。

  


◆実際に使ってみる(2012/06/08)
本機のOUTPUT端子とトランシーバーのマイク端子をケーブルでつなぎ1000Hzの信号を加えると、約10mVで80%ほどの出力になり20mVで飽和しました。当初は出力を3Vにしていましたが、トランシーバの調整用には大きすぎるので、VR3の前にある4.7KΩを100KΩに変更し、最大出力を300mVとしました。

 低周波発振器でトランシーバを調整

<完了>