AGC回路

はじめに(2014/05/07)
受信機の感度を一定にするための回路としてAGCというものがあります。色々な回路があり、どんな回路を採用したら良いのか、どんな素子を選んだら良いのか、よく判らないまま今にいたっています。そんなこともあり、今までのモヤモヤが少しは解消できないかと、実験を進めてみます。


AGCの方式(2014/05/07)
AGCは受信機における増幅段の総合利得を受信信号の強弱に応じ増減させ、受信信号を出来るだけ一定にする機能で、信号を分圧する方法や、RFやIF段の利得を増減させる方式、またリバースAGCやフォワードAGCなど増幅素子を制御する方式は色々ありますが、ここではリバースAGCについて実験します。

リバースAGC(2014/05/07)
増幅段の信号の一部を取り出し(整流し)、マイナスの電圧を作り、それを増幅段に加えて利得を減少させる方式です。

FETのゲートにマイナス電圧をかけて電圧利得を測定(2014/05/07)
10.7MHz発振回路の出力を20dBのアッテネータで絞り、2SK439の増幅回路に加えると共に、FETのゲートにはマイナス電位を与えて、その時の電圧利得の変化を測定します。電圧利得(G)は入力電圧(E1)、出力電圧(E2)の対数 G=20*LOG(E2/E1) という式で表現されます。

FETには2SK241,2SK439,3SK51(G1にマイナス電圧を加える)の3種類を使い、入力電圧は10mVとしました。その結果を下に示します。

このグラフからゲートにマイナス電圧を与えれば、利得を制御できることはわかりました。またK439とK51はよく似た特性ですが、K241は少し大目の制御電圧が必要になります。デュアルゲートFETを使ってもG1を制御するならば、シングルゲートの2SK439と同じような特性になるので、あまりメリットは無いように思いました。(あくまでもゲート電圧とゲインだけに着目していますが)

参考文献(2014/05/07)
FETのAGC動作が説明された文献としては 「新・低周波/高周波回路設計マニュアル 鈴木雅臣 著 CQ出版」 があります。ここではデュアルゲートFET 3SK63 を使用したリバースAGCについての解説文があり、AGC電圧対電力利得のグラフが載っています。私の場合はFET増幅回路の入出力電圧を測定しているので、電圧利得という考えで上のグラフを表示していますが、この考えでよいのかどうか、まだまだ勉強が必要に感じます。またAGC素子を選ぶ時には、AGCの電力利得が出来るだけ大きいものを選び、利得を可変させたとき、その他の特性(入出力アドミッタンス等)は出来るだけ変化しないことが望ましいようです。

デュアルゲートFETを有効に使うためには、G1にバイアス電圧をかけると共に入力信号を加え、G2にプラスからマイナスのAGC電圧を加えて利得を制御することが本筋のようです。ミズホ通信のピコの回路を見ると、局発の信号を整流してマイナス電圧を作り、電源からのプラス電圧とを制御してAGC電圧にしていますが、制御回路は複雑になっています。

<完了>