サトー電気中国製7Kボビンの評価               戻る

◆はじめに (2014/10/4)
サトー電気で安定的に販売されていた国産の7Kボビン(中心コアの端面が黄緑色に着色)は@90程度でしたが、在庫減とともに徐々に値上がりし販売停止となりました。同時期に中国製ボビンの販売が始まります。7Kについては細いウレタン線を巻くと線が溝に引っかかりものもありましたが、現在販売されているもの(@60+税)にそのような不具合はなくなりました。しかし性能的にどうなのかは未知数なので調べてみることにしました。


◆測定方法 (2014/10/4)

コアの比較評価と同様の方法で調べることにしました。

  1. 入力 : 低周波発振器+FT817+アッテネータで10mWの信号を加える。

  2. 出力 : 測定回路に与える影響を少なくするため小容量のコンデンサを介して高周波電圧を測定する。

  3. 芯コアの位置はインダクタンスが最大になるコイルの中央とする。

  4. C1で同調を取り出力電圧が最大になるようにする。 

 (左)測定状態

 
(左)国産7Kボビン (右)中国製7Kボビン(購入後コアの部分を白く塗って区別をしている)

 

50MHz

144MHz

コアの種類

コアなし

芯コア+被せるコア

コアなし

芯コア+被せるコア

@空芯

Aサトー(黄緑)国産

Bサトー(黒)中国製

@空芯

Aサトー(黄緑)国産

Bサトー(黒)中国製

高周波電圧計の読み(V)

1.4

1.5

1.5

2.1

1.6

1.7

空芯コイル比

1

1.07

1.07

1

0.76

0.81

調べてみた結果は50MHzでは国産と中国製の差はなく、144MHzでは中国製の方が若干性能が良いことが判りました。

◆増幅回路で比較(2014/10/11)
2SC1906で増幅回路を組み、コアを国産と中国製とで交換し出力の差を比較してみました。

  1. T1のコアを国産にして出力が最大になるようコア回して調整する。
  2. 低周波発振器の出力を調整し、QRPパワー計の読みが10mWになるようにする。
  3. コアを中国製に交換し出力が最大になるよう調整し、QRPパワー計の出力を読む。

その結果、50MHzおよび144MHzでは差がなく、中国製の7Kボビンは国産のボビンと同じように使えるとの結論です。

ただし、FCZコイルの144MHz用に比べれば7割程度の性能です。これはFCZコイルのコアがカーボニル鉄(?)に対し、今回比較試験したコアはフェライトのためと思われます。すでに販売中止となった希少部品を探して使うのも一興ですが、本HPでは現時点で入手可能な部品を使ってリグ作りをすることが目的のため、今後はこの中国製ボビンを安心して使っていこうと思っています。

 

◆溝の形状について(2014/10/11)
以前販売されていたボビンは片側が面取りされており、0.05mmのような細い線の場合は、ひっかかったり隣の溝に巻いてしまうこともありましたが、現在販売されている中国製ボビンの溝は先端が丸く面取りされており、細い線を巻くときも溝に線が入りやすくなっています。

 
(左)以前販売されていた中国製ボビンの溝 (右)現在販売されている中国製ボビンの溝

<完了>