同軸の波長短縮率                  戻る

はじめに(2017/9/22)
アンテナが希望の周波数に同調しているかを調べるにはアンテナの給電点近くで測定することが望ましいのですが、給電点が高い位置にある場合は困難になり間に同軸ケーブルを接続し手元で測定することになります。その場合は同軸ケーブルが測定にできるだけ影響しないような長さに切っておくことが必要になるため、このページでは同軸ケーブルの波長短縮率ついて説明します。

 (*3 P32)


同軸の波長短縮率(*1 P316)

  1. 電波が空間を伝わる速度は光の速度に等しいですが、同軸内を通るときの速度は絶縁体の影響を受けて遅くなり、この遅くなる比率を波長短縮率(速度係数)と呼びます。
  2. 5D2Vなどに使われる絶縁体はポリエチレンが使われ、比誘電率をεとすると 波長短縮率=1/√ε となります。
  3. ポリエチレンの比誘電率εは2.3であり、波長短縮率=1/√2.3≒0.67 となります。(空気の比誘電率は1)
  4. 5DFBなどの絶縁体に発泡ポリエチレンを使った低損失同軸ケーブルの波長短縮率は一般的に0.8です。

   空間を電波が伝わる場合  λ(1波長の長さ)=300(光の速度)f(周波数 MHz)

   同軸内を伝わる場合  λ=300 f × 波長短縮率

同軸を切る長さの単位(*3 P32)
同軸を切る場合は下図の振幅がゼロになる1/2λに短縮率を掛けた長さを1つの単位として考えます。

50MHzで5D2Vを使用した場合  300502 × 0.67=2.01(m) となり 2.01mの整数倍で同軸ケーブルを切って使います。

 (*4 P19)

◆波長短縮率の実測方法(*2 P62)
任意長の同軸の片側は開放(切りっぱなし)とし、もう一方の端にワンターンコイルを付け、ディップメータで共振周波数を測定します。いくつかディップ点が見つかりますが、もっとも低い周波数がこの同軸の共振波長λの1/4波長になります。

手元に1.5mの同軸3D2Vがあったので片側にワンターンコイルを付け共振周波数を測定すると32MHzでした。

物理長による周波数=300(1.5×4)=50MHz

実測した波長短縮率=3250=0.64 となりました。

 (*2 P62)

 同軸の端にワンターンコイルを付けてディップ周波数を測定

<完了>


参考文献(*印)

  1. アンテナ・ハンドブック CQ出版社
  2. アンテナ調整ハンドブック CQ出版社
  3. アンテナ製作マニュアル 電波新聞社
  4. 図解やさしいアンテナ入門 CQ誌2006年12月号付録
  5. アマチュアのアンテナ設計 岡本次雄著 CQ出版社