コイルの巻き数とコンデンサ容量

はじめに(2015/11/27)
何十年か前のトランジスタ回路でコイルの手巻きといえば、φ8やφ5のコア入りベークボビンにスズメッキ線かエナメル線を巻くものでした。1970年代後半からテレビ用IFTとしてシールドケース入り56MHzの10Kコイルのジャンクが20円程で出回るようになり、巻きなおして使うようになりました。その後もジャンクやサトー電気の通販で購入しては巻いてきましたが、今回あらためてコイルの巻き数とコンデンサの容量につき調べてみます。

 (左)φ8 (右)φ5ベークボビン


FCZコイルのデータ

FCZコイル(2015/11/27)
FCZコイルは既に生産中止となりましたが、そのデータは今でも公開されており、私が手巻きする場合の参考にしています。FCZ大久保さんのHPによると1次コイルのリアクタンスは約200Ω、2次コイルはだいたい50Ωとのことです。 XL=2πf L の計算式で確認してみると、ほぼ一致していることがわかります。またこの表からはコンデンサのリアクタンスXcも約200Ωになっています。

ちなみに、直流に対する抵抗はレジスタンス、交流に対する抵抗はリアクタンス、レジスタンスの二乗とリアクタンスの二乗を足してからルートで開いたものがインピーダンスです。

 FCZコイル

BAND MHz

L1-3 

C

L4-6

 t

μH

 XL Ω

C pF

XcΩ

t

3.5

20

9.4

 207

220

207

7

7

14

4.31

 189

120

189

5

14

12

1.9

 167

68

167

4

21

10

1.47

 194

39

194

3

28

8

0.98

 172

33

172

3

50

6

0.68

 214

15

212

2

144

3

0.18

 163

7

157

1


手巻きコイル

1次コイルと2次コイルを巻く位置(2015/12/4)

  1. 2次コイルを巻いてからその上に1次コイルを巻く
  2. 1次コイルが3t〜6tは@の溝に巻く
  3. 1次コイルが8t〜14tは@Aの溝に分割巻き
  4. 1次コイルが18t〜24tは@ABの溝に分割巻き

 画像1

◆同調周波数の測定方法(2015/12/4)

  1. 7Kボビンはサトー電気で買った中国製のものを使っています。
  2. コアの位置はケースの高さにそろえています。
  3. 線材はオヤイデ電気で購入したφ0.1のウレタン線を使います。
  4. 表の巻き数のコイルを作り2次側にワンターンコイルを接続し、ディップメータからの高周波電圧を供給します。
  5. 1次側に接続するコンデンサを交換して高周波電圧が最大になるようディップメータの周波数を変え、そのときの周波数をカウンタで読み記録します。
  6. ワンターンコイル部の100Pが無いと1次側から見た2次側の負荷が変わるせいか同調周波数が安定しない(ずれる)ため追加しました。
  7. コイルのインダクタンスはインダクタンスメータ(秋月のキット)にて測定

 
(左)同調周波数を測定 (右)コア位置はケースの高さにそろえる

巻き数

C(PF)

周波数
(MHz)

T(1)
(
μH)

XL(Ω)

XC(Ω)

1次

2次

24

8

100

6.4

6.1

245

249

120

5.9

226

225

150

5.3

203

200

220

4.5

172

161

18

6

68

10

3.6

226

234

82

9.1

206

213

100

8.4

190

190

120

7.7

174

172

150

6.9

156

154

220

5.7

129

127

14

5

68

12.4

2.4

187

189

82

11.5

173

169

100

10.2

154

156

120

9.4

142

141

150

8.5

128

125

12

4

68

14.4

1.8

163

163

82

13.2

149

147

100

11.9

135

134

120

10.9

123

122

10

3

22

28.8

1.4

253

251

33

23.3

205

207

47

19.9

175

170

68

16.4

144

143

8

3

22

35.8

0.9

202

202

33

29.1

164

166

47

24.3

137

139

68

20.2

114

116

6

2

10

60.1

0.7

264

265

15

49.1

216

216

22

40.5

178

179

33

33.2

146

145

3

1

3

165

0.3

311

322

5

128

241

249

9

95

179

186

注意点

  1. 上表は画像1の位置にコイルを巻き、コアの位置をケースと同じ高さにそろえて測定したものです。またコアを右回しに入れれば同調周波数は下がり、左回しに抜けば周波数をあげることが出来ます。
  2. 1次コイルにFETのゲートをつなぐとCiss(入力容量)の影響で上表の周波数どおりにはなりません。2SK439であればCissは2.5PF、2SK241では3PFです。

<完了>