FTトロイダルコアの透磁率 もどる
◆はじめに(2022/4/29)
部品箱の中に無着色で材質の判らないFTトロイダルコアがあり、外径からサイズは判るものの透磁率μが不明です。サトー電気は透磁率によって下のように色別していますが、さて不明のコア材はどれに該当するのか調べてみましょう。
#43=黄(μ850) #61=青(μ125) #67=白(μ40) #75=赤(μ5000) #77=紫(μ2000) (*2)
透磁率が不明な無着色のFT37トロイダルコア
◆透磁率とは(2022/4/29)
物質の磁化のしやすさの度合いを数値化したものを透磁率と言い、強さHの磁界を与えたとき、磁性体が磁化して生じた磁束密度をBとすると、μ=B/Hの関係であらわされる。(*1)
◆外径による分類(2022/4/29)
型番 |
外径(mm) |
内径(mm) |
FT23 | 5.84 | 3.05 |
FT37 | 9.4 | 4.75 |
FT50 | 12.7 | 7.14 |
FT82 | 20.83 | 13.11 |
FT114 | 28.96 | 19.05 |
◆実際にコイルを巻いてみる(2022/4/29)
材質の判っているFTコアにコイルを巻いてインダクタンスを測定してみます。
計算式は以下のとおりです。(*1)
L=AL(N/N0)^2 「^2」は2乗を意味します
FT37-43(AL値=420,μ=950)で6回巻きのインダクタンスは L = 420(6/1000)^2 = 0.015mH = 15μH
実際に巻いてインダクタンスを測定すると 13.8μH で近い値になり、この計算式で確かめられることが判りました。
(左)黄色に着色されたFT37-43の6回巻きコイル (右)秋月のLCFメータでインダクタンスを測定
◆材質が未知のコアの透磁率を推定(2022/4/29)
前式を移項するとAL値は下の式で求めることができます。
AL=L/(N/N0)^2
(左)材質が未知のFT37コア (右)測定結果2.0μH
FT37サイズのコアに6回巻きで、インダクタンスが 2.0μH(0.002mH) の場合
AL = 0.002/(6/1000)^2 = 55.6
FT37のAL値を見ると「55.3」が近いため、61材で透磁率μ=125 ということが分かりました。
FTフェライトコアのAL値(mH/1000回巻き) *1
◆色分けして保管(2022/4/29)
サトー電気の色別方式に従い、青色に着色して部品箱に収納しました。
#61材なので青色に着色
<完了>
参考文献(*印)