放熱器

◆はじめに(2007/11/18)
トランシーバの終段に使うパワートランジスタでは、消費する電力の約半分は熱になり、効率よく放熱しないとトランジスタが熱暴走し、あえなく昇天することになりかねません。熱を逃がすものとして放熱器があり、計算式もWeb上で紹介されていますが中々面倒なので、大雑把に把握できないか調べてみました。


◆資料を調べる(2007/11/18)
「トロイダルコア活用百科 山村英穂著 CQ出版社」のP194には

  1. 1W前後では4cm角1mm厚程度のアルミ板か、市販のケシゴム大の放熱器を付けるのがよい
  2. 5Wではタバコの箱大
  3. 10Wでは2cm厚の文庫本大

との記述がありました。これで大雑把にはつかめますね。


◆放熱器のデータを調べてみる(2007/11/25)
トランシーバの終段に使った放熱器は、大阪・日本橋の「共立電子産業(シリコンハウス)」で買ったLSIクーラー社17P23という 幅23.5×奥行17×高25mm ものです。上記の大雑把な分類では、ケシゴムよりは大きいため、1〜2Wで使えそうだと想像できます。SSBトランシーバは常にフルパワーを出すわけではありません。実際のQSOを想定すると、音声には抑揚があるため平均値をフルパワーの70%とし、また送受で半分になるため、最大電力に35%をかけたものを平均電力と仮定しました。

◆出力2Wのトランシーバで計算(2007/11/25)
電源電圧12V、コレクタ電流500mA、消費電力6Wのトランシーバで、終段効率33%であれば送信出力2Wで、発熱に使われる電力は4Wになり、4W×0.35=1.4Wの放熱が必要です。LSIクーラー社の電子カタログ特性図から加熱電力1.4Wの場合、温度上昇値は約26℃となります。

◆実際に測定してみる(2007/11/25)
では、実際にトランシーバにつけたもので測定してみましょう。送信出力を0.7Wに設定し、赤外線温度計で放熱器の表面温度を測定します。室温12℃にて10分間測定し、加熱電力1.4Wにて温度上昇は23.6℃になりました。夏場の気温35℃であれば放熱器の温度は60℃ほどになり、トランジスタが破壊されることはないと思いますが、こんな気温のときはまず運用はしないでしょう。hi


銅板で作る放熱器(2017/2/24)
励振増幅や終段に使うトランジスタは発熱するため放熱器が必要になりますが、ここでは2SC2053や2SC2538などに使う銅板製放熱器の作り方を紹介します。

  1. 0.2mm厚の銅板を幅10mm長さ60mmほどに切る。
  2. 2SC2053(φ5×8mm)に銅板を巻きつけ、密着するようラジオペンチで成形する。
  3. 銅板のあわせ面を半田付けし、適当な長さに端部を切りそろえる。
  4. 銅板の穴部に放熱用シリコングリスを注入し2SC2053を挿入する。

 
(左)銅板を切り出す (右)銅板を巻いて成形する

 
(左)あわせ面を半田付けし端部を切りそろえる (右)シリコングリス

 
(左)穴部にシリコングリスを満たす (右)トランジスタの型名を記入しておくと後日にわかりやすい

<完了>