はじめに (2016/8/20)


中学3年生だった1964年10月に開局してから半世紀以上がたちました。

家庭に有線電話が引かれ始めた時代にアマチュア無線と出会い、その魅力に引き込まれた小学生の頃。

そして中学では無線クラブに入りOMの指導を受けて電話級の免許を取得し開局。

大卒初任給が1万円台の頃に5万円もしたトリオの送受信機を親に買ってくれなんてとても言えなかったものの、幸い周りには経験豊かなOMが沢山いる時代でした。

失敗を繰り返しながらも受信機と送信機を作り上げ、交信では自作機の自慢話や製作時の失敗談に共感しながら互いに高めあっていたものです。

しかしその後はメーカー製のデザインに優れた高度な技術の無線機が安く手に入るようになり、自作派の人口は減少の一途をたどりはじめます。

アマチュア無線において通信は手段であって目的ではないはず。

しかし手段が目的に置き換わり、通信という目的のためにはより便利な携帯電話などへと人は流れていきました。

その背景にはハムの世界をより広めるため無線機を大量に作って売ったことにより、技術研鑽の中に楽しみを見出す人が育ちにくかったという環境があったのです。

これはハムの世界だけではありません。

文明の進展によって生活に 必要なものは満ち満ちているため、作る側はより便利なものを作って市場に出し、

使う側は自分にとって都合の良いものをお金で買うのが当たり前の時代になってしまい、

工夫して自分独自のものを考え出すのが面倒だと思う人が増えているのではないでしょうか。

しかし人間の本質として「自分を表現したい、人と違うものを持ちたい、手作りしたい」は普遍であると思います。

ならば現在は衰退しつつあるけれども、今後は盛り返してくるかもしれないという希望を持って、

これまでに先輩から受け継ぎ培ってきた自作という「伝統技術」を次世代の人たちに伝えていくため、Web上に「自作ハンドブック」を作り

自作の考えや基本技術そして製作例など、これまでにやってきたことを1冊の本にまとめるイメージで編集して行くことにします。

完了予定は2019年末。60代のうちに一仕事しておきましょう。