ナットの固定方法

◆はじめに(2016/12/2)
ケースを自作する場合にフタをケース本体に固定するためには、本体にナットを固定することが必要になります。1970年頃からケース作りをはじめ、以来2液性接着剤を使用してきていますが、先日秋葉原で見つけたカレイナットの紹介もしてみたいと思います。


カレイナットによる固定

◆カレイナット(2018/11/2更新)
ナットを薄板に固定する方法としてカレイナットと言うものがあることをネットで知り、アマゾンで探して見ると2000個で2万数千円とのことで購入をためらっていたのですが、先日秋葉原へ行った折、西川電子部品(ネジの西川)にて30個600円で売っており、ちょっと高いなと思いながらも買うことにしました。下のような手順で固定ができ、接着に比べれば作業自体は随分簡単になりました。モノタロウにて個人消費者登録をすると100個1609円+送料540円で購入することができます。

手順

  1. カレイナットは板厚1mm用を使用する。1.6mm用もあるので注意。
  2. 1mm厚のアルミ板にφ4.5の穴をドリルであける。
  3. アルミ板の両側に発生したバリはヤスリを使って取っておく。(面取りドリルは使わないこと)
  4. カレイナットのギザギザ部分を穴に入れる。
  5. 反対側から六角穴付きボルトを使ってレンチで引っ張り締めする。ボルトは首下までネジが切られていないのでワッシャを2枚入れから引っ張り締めする。

  
(左)M3のカレイナット (中)使用するもの (右)1mm厚のアルミ板にφ4.5の穴をあける

  
(左)ボルトにワッシャを2枚入れ六角レンチで引っ張り締めする (中)固定されたナット (右)反対側

  1. 鉄工用のφ4.5ドリルで薄板に穴をあけても真円にはならないので、φ4.2〜4.3のドリルを使うか薄板用のバリが出にくいドリルを使うと良いでしょう。ただしフタを固定する程度であればφ4.5の穴でも強度的には問題ありません。
  2. ナットが外れないかと不安な方は瞬間接着剤をナットの固定部に流し込んでおくとより確実に固定できるでしょう。

薄板用のドリルで丸い穴を開ける(2017/1/13)
鉄工用のドリルで薄板に穴を開けるとおむすび型になるため薄板用のドリルを購入しました。鉄工用に比べると先端の形状が違います。使ってみると薄い蓋が抜けるように開き、バリも少なく真円に近い穴が開きます。

 
(左)薄板用のφ4.5ドリル (右)先端形状

カレイナットのはずし方

  1. 18×10mmのコの字型のチャンネルを幅15mmほどに切り、中央にφ3.2の穴をあけた金具を作ります。
  2. 金具をナットの上に置き、六角穴付きボルトを通してナットにねじ込み、レンチで回してナットをアルミ板から外します。

   
(左)カレイナット外し用金具 (中)ボルトをナットにネジ込む (右)ボルトを六角レンチで回してナットを外す


ナットの接着 (2008/6/7)

◆用意するもの

  1. ナット(必要数)
  2. エポキシ樹脂系接着剤(ボンドなど、金属を接着できるもの)
  3. ヤスリ
  4. 塗料うすめ液(シンナー等)
  5. ティッシュ
  6. つまようじ
  7. 紙クリップ

◆接着の留意点

  1. 接着面は平坦で、ゴミや油分がないこと
  2. 接着面は広くとる
  3. 接着剤はうすく塗る(厚いと接着力が弱くなります)

◆接着の手順

1.穴を開ける
アルミ板にネジを通す穴を開けます。ネジがM3であれば4mm、M4であれば5mmというように、ネジ径より1mm大きな穴を開けます。

2.接着面を削る
ナットを接着する面をヤスリで削ってバリを取ると共に、表面をざらつかせて接着面積を増やし、接着力を強くします。またナットの接着面もヤスリで削っておきます。

  

3.接着面のよごれを取る
ヤスリで削った部分のよごれや、ナットについている油分をティッシュに含ませた塗料うすめ液でふき取った後、よく乾かします。

4.接着剤をつける
ナットの接着面に爪楊枝を使って接着剤をうすく塗ります。多くつけすぎると、接着剤がネジの部分まではみ出てしまうので、注意してください。もしはみ出した場合は、少し固まってから爪楊枝の先で取っておきます。

 
   接着剤:ボンド(A剤とB剤を混合するもの)       ナットの周辺に薄く塗る

5.接着する
ネジを通す穴の中央にナットのネジ穴が来るよう位置を決め、紙クリップで押さえます。寒い時期は接着剤が固まりにくいですが、そんな時はガスコンロ等で暖めると接着時間を短縮できます。ただし暖めすぎると、接着剤が焦げてしまうことがあるため、気をつけてください。

  
(左)ネジ穴は中心に (中)紙クリップで固定 (右)接着されたナット

ナットの接着面を広くする方法

ナットの接着面を広くするほど接着力は強くなります。ナットがM3程度になると接着面が狭くなるため、下記の方法でしっかりと接着しましょう。

1.フランジナットを使用する。
ナットとワッシャが一体になった、フランジナットというものが市販されていますので、それを使います。

2.ナットにワッシャを半田付けする
フランジナットが手に入らない場合は、ワッシャを半田付けします。この場合も、ワッシャの穴の中央にナットのネジ穴が来るようにして、半田付けします。


市販のフランジナット   ワッシャにナットを半田付け

<完了>