発振モジュール

◆はじめに(2015/12/25)
秋月電子の通販でLTC1799という発振モジュール(@450)があり、1kHz〜30MHzまで可変抵抗器1つでカバーできるというもので、テストオシレータに使えないかと購入しました。外付け部品は100kΩのヘリポットと周波数範囲を切り替えるトグルスイッチのみですが、ネットで調べると「こんなもの使い物にならない」と言う人もいれば「何とか使ってみよう」という人もいます。まずはどんな用途に使えそうなのか調べてみることにします。

  1. サイズは10mm×10mmでIC用の8ピンソケットへ差し込めるようになっています。
  2. 出力波形が方形波なので高調波を多く含んでいます。
  3. 出力電圧は分周比N=1のとき1MHz〜30MHzまで一定の2Vでした。

 

 
(左)5MHzの出力波形 (右)FFTで観測(25MHz/目盛)すると高調波がズラリと並ぶ

◆ヘリポットの回転数と周波数の関係(2015/12/28)
周波数調整用として100KΩB型の10回転ヘリポットを使い、更に微調整用として500ΩB型のボリュームを入れています。ヘリポットの回転数と発振周波数の関係を下のグラフに示しますが、9〜10回転のところで急激に周波数が変化します。FT817をUSBモードにして28MHzを受信してみましたがファインチューニングを入れていても同調は厳しいです。

◆超音波発信機として使ってみる(2015/12/28)
40kHzの超音波マイクを持っているのでそれの発信機として使ってみました。LTC1799の出力に超音波マイクを直接つなぎ、対面にもう1個のマイクを置きその出力をミリバルで測定し、またデジオシで波形を観測します。超音波マイクの入力波形はきれいな正弦波になっており、方形波がシャープなバンドパスフィルタを通ることで正弦波になることがわかります。

  
(左)実験風景 (中)超音波マイク (右)周波数測定に使用した秋月の周波数カウンタキットが40.616kHzを表示

 (下)出力波形 (上)超音波マイクの入力波形

◆7MHzのバンドパスフィルタを通す(2015/12/31)
発振周波数を7MHzに設定し2段のBPFを通してみました。

  1. 方形波は正弦波になりFFTで観測すると高調波は減衰してきれいな信号のように見えますが、SSBトランシーバーでモニタすると信号音に濁リが残っています。
  2. 発振モジュールをVFOに使えないかと期待していましたが、7MHzにおいて常に数10Hz上下に変動し、また徐々に下側へQRHしていきました。

 
(左)7MHzにおけるBPFのテスト (右)2段BPF

 
(左)7MHzのBPFを通した信号 (右)FFTの画面(12.5MHz/目盛)

◆30MHzのローパスフィルタを通す(2015/12/31)
この発振モジュールの最大の魅力は可変抵抗器1個で30MHzまで周波数を変えられるというところにあります。受信機を調整するときの信号源として使うためにはできるだけ信号をクリヤにする必要があり、カットオフ周波数30MHzの2段LPFを通してみました。FFTで観測すると5MHzの場合は5倍波の25MHzまでは出ていますがそれ以上は減衰しています。また28MHzの信号に対しては30MHz以上は減衰しています。

 
(左)5MHzの信号 (右)28MHzの信号 いずれも25MHz/目盛

まとめ(2015/12/31)
以上いくつかの検討をしてきましたが、フィルタを通すことでオシロではきれいな波形に見えてもモニタすると濁りが残っており、テストオシレータやVFOには適さないと思います。しかし1つの面白い部品として今後も何かに使えないか探していきましょう。

<完了>