電力増幅部

回路の役割と歴史 (2005/02/18)
受信部で検波後の低周波出力を増幅し、スピーカを鳴らすための回路です。いまやLM386の独壇場で、外付け部品が少なく、安価で、どこでも買えるという、3拍子揃ったICです。1960年代までは山水の小型トランスを使ったプッシュプル増幅器が定番でしたが、1960年代後半からのシリコントランジスタの台頭と、コンプリメンタリTRによるOTL(Output Trans Less)回路が紹介され、音質向上と小型化が進みました。1970年代はOTLのICとしてμPC20CがAMトランシーバの変調器として使われたり、各種のOTL用ICが市販されましたが、いつの間にかLM386が席巻してしまいました。


LM386による回路 (2005/02/19)

トランシーバに使う場合のポイントとしては、発振防止策として @電源のデカップリング回路 A出力部のC1 以上の2つは必要です。これを省略してゲインをあげたとき、「ヒー」という音がスピーカから出れば、紛れも無く発振しています。

 


コンプリメンタリトランジスタによるOTL回路 (2005/02/19)

LM386一辺倒では面白くないという向きにはお勧めです。昭和44年に購入した「シリコントランジスタ活用事典 CQ出版 時田元昭著」という本に”SEPPコンプリメンタリOTL”という回路があり、試しに作ってみると低域の充実した良い音質で、小さなトランジスタでどうしてこんな良い音が出るのかと感動したものです。当時の製作記事にはOTL回路を採用したものも時々見かけ参考にしていましたが、近年はLM386が全盛でディスクリートで組む回路というものを見かけることがありません。さて、下の回路は30年程前のメモにあったものを手持ちのTRで実験したものですが、出力は約100mWでTRの種類や電源電圧によってバイアス電流が違うため、R1の値によって調整します。

<完了>