ステップアッテネータ

はじめに(2016/12/23)
2002年に120dBのステップアッテネータを作り色々な測定に使ってきましたが、120dBまで使おうと思うと被測定物のシールドがしっかりしていないと測定ケーブル以外からの信号が入って何を計っているのか判らなくなってしまうことがあるため、今回は高減衰率の部分は止めて段数を減らし1dB〜40dBまでを1dB単位で設定できるステップアッテネータを製作してみましょう。

回路を設計する(2016/12/23)
入出力インピーダンスを50Ωとしたアッテネータの計算式は下の図のとおりですが、ピッタリの値の抵抗は販売されていないため市販の抵抗を当てはめてみます。抵抗は周波数特性が良く精度の高い金属被膜抵抗(±1%)を使います。下の表でR1とR2と書いたのは計算から得られた値であり、R1/E24系列、R2/E24系列と書いたのは市販の抵抗を当てはめたもので、その右に計算値との誤差を示しました。

1セクションの最大減衰量(2016/12/23)
「高周波回路設計のノウハウ 吉田武著 CQ出版」のP199には 「1セクションでのアッテネータの最大減衰量は20dBが限度」 との記述があり、浮遊容量と抵抗器のL分によって高い周波数での精度が低下するとのことで最大減衰量は20dBとしました。なお以前作った120dBアステップッテネータでは30dBと50dB部分の抵抗にスズメッキ線を巻いてシールドし、不要な結合を防ぐと言う工夫(FCZ誌を参考)をしています。

dB

R1

R1/E24系列

誤差(%)

R2

R2/E24系列

誤差(%)

1 5.77 5.6 3.04 869.55 910 4.45
2 11.61 12 3.25 436.21 430 1.44
3 17.61 18 2.17 292.4 300 2.53
4 23.85 24 0.62 220.97 220 0.44
10 71.15 68 4.63 96.25 100 3.75
20 247.5 240 3.13 61.11 62 1.44

◆使用する抵抗はE24系列(2016/12/23)
抵抗値のステップはE系列(E3、E6、E12、E24、E96)と言うものがあり、数字が大きくなるほど細かいステップで値が決められています。一般的にはE12まででしょうが、ここではより細かい値が必要なのでE24系列の抵抗を探すことにします。E96系列は細かいステップのため普通の店では購入できないと思われます。

ケースはプリント基板で製作(2016/12/30)

  1. ケースは1.6mm厚ベークのプリント基板を切り出し半田付けして箱型のシールドケース構造とし、10dBと20dBの部分はシールド効果を高めるため間に仕切り板を入れます。
  2. 半田付け部は銅箔のため熱が逃げやすいので100W程度の半田ごてがあると作業が進めやすいです。
  3. 半田は部分的につけて四角い箱になるよう調整しながら半田付けの箇所を増やしていきます。
  4. ケースの蓋は1mm厚のアルミ板で「コ」型のものを作り、銅箔面側にM3のナットを半田付けし、蓋の外側からM3のビス4本で固定します。

 設計図

  
(左)プリント板を切り出す (中)半田付けで箱形状を作る (右)外側から見る

◆端子間の配線は銅板を使用(2017/1/6)
配線については0.3mm厚の銅板を幅3mmに切った帯状のものを作り、トグルスイッチの端子に巻きつけて半田付けしています。これは以前作ったステップアッテネータで当初0.5mmのスズメッキ線を使ったところHF帯では問題が無かったものの144MHzで精度が悪くなったため、これを銅板に替えて改善したことがあるからです。

 
(左)0.3mm厚の銅板で配線 (右)内部の様子

 目盛りのレタリングをして完成

<完了>