SWRブリッジ                                        もどる

◆はじめに(2022/5/6)
日本橋のデジットで見つけたSWR目盛りがついているメータ(@450)を活かしてやろうと、SWRメータの検出部について3種類の実験をしたところ、トロイダルコアを使ったCM型2種よりもSWRブリッジの方が周波数特性の良いことが判りました。私は144MHzを主に自作と運用していることもあって、測定器は144MHzまでは使えるものを持ちたいと思っており、SWRブリッジの製作を進めようと思います。

 SWRブリッジ試作機の検出部

◆SWRブリッジ(2022/5/6)

  1. SWRブリッジを作るに際し参考にした文献は、JH1FCZ大久保OMの「アマチュア無線自作電子回路」(*1)です。
  2. 原典はThe ARRL Antenna Bookにあり、そのSWRブリッジは50MHzまでしか使えなかったものですが、それを改造して430MHzまで使えるようにしたとのことです。
  3. FCZ研のSWRブリッジは両面プリント基板とチップ抵抗が使われていますが、今回の製作は空中配線とカーボン抵抗を使います。
  4. 50Ωの抵抗は市販されていないので、100Ω1/4Wのカーボン抵抗を2個並列につないで使います。
  5. ANT端子とTX端子の間に50Ωが入っており、通過型ではないため測定が終わればこのSWRブリッジは外してください。

◆構造設計(2022/5/6)

  1. SWRブリッジは据置き用の通過型ではないことから、測定時のみ使い測定が終われば外すという使用法になるため、コネクタは背面並列配置ではなく側面直線配置にしました。
  2. キットの場合はガラエポ基板によるストリップラインで回路を構成することになるでしょうが、ここは単品生産なので空中配線による最短配線を目指します。
  3. 検出部のみにすれば更に配線を短くできるでしょうが、使い勝手のこともあるためメータは内蔵とし、以上をまとめると下のイメージ図になりました。

 SWRブリッジのイメージ図

◆ケース作りと内部配線(2022/5/13)

  1. ケースのサイズは幅60×高さ75×奥行30mmで、1mm厚のアルミ板で作りました。
  2. 高周波が流れる部分は空中配線により最短距離で結びます。
  3. 同軸は1.5D2Vを使い、網線はTXコネクタ側のみの片側アースにしています。
  4. ANT端子とTX端子の間を0.8スズメッキ線で結び、そこに同軸の網線を両側でアースしたところ、144MHzにおけるダミーロードのSWRは1.1以下にはならなたったため、この方式はやめました。

 内部の様子

 ブリッジ検出部の空中配線

 外観

7種のダミーロードによる各周波数のSWR実測値(2022/5/13)

  1. SWRブリッジのANT端子にダミーロード、TX端子にはトランシーバーをつなぎます。
  2. スイッチはSET側に倒し、トランシーバーを送信状態にしてメーターがフルスケールになるようVR1を調整します。
  3. 次にスイッチをMEAS側に倒し、6Pのトリマを回してSWRが最小になるようにします。(初期設定終了)
  4. 16.6〜150Ωまで7種のダミーロードを作り、各周波数におけるSWRを測定します。
  5. 周波数が高くなるにつれ誤差が大きくなり144MHzまでは何とか使えそうですが、430MHzでは無理があるように思います。
  6. 測定に使用したリグは八重洲のFT-817NDで、モードはFM、出力は0.5Wに設定しました。430MHzのみ1Wです。
  7. 送信電力が1W以下というQRPの場合は、測定したSWRの値が小さく出やすいようです。(*1 P98)

 7種のダミーロード

特性

SWR計算値

ダミーロード(Ω)

SWR実測値

7MHz 21MHz 50MHz 144MHz 430MHz

容量性

3 16.6 2.8 2.7 2.5 2.1 1.7
2 25 1.8 1.8 1.7 1.5 1.6
1.5 33 1.4 1.4 1.4 1.2 1.6
  1 50 1 1 1 1.05 1.3

誘導性

1.5 75 1.5 1.4 1.4 1.5 1.9
2 100 1.9 1.9 1.9 1.9 2.6
3 150 2.9 2.8 2.8 2.7 4

◆製作を終えて(2022/5/13)
以前、大久保OMとアイボールしたときに「製作記事を読んで、自分が作ったような気になってしまってはいけない」と話されたことがありました。2,3ページの製作記事でも同じものを作ってみると、書かれている文章の意味を深く理解できたり、文章には書かれていないけど新たな気付きが生まれてくるものです。気付きは次の行動の原動力になり、それが連鎖することで、より視野が広まり楽しみが増えます。留まっていては岩に苔が生えてしまいます。動きましょう。転がりましょう。

<完了>


参考文献(*印)

  1. アマチュア無線自作電子回路 大久保忠 著 CQ出版社 P94-P102
  2. アマチュアのアンテナ設計   岡本次雄 著 CQ出版社 P55-P56