TA7358Pによるバラモジ

◆はじめに(2005/09/27)
バラモジ用ICとして有名だったSN16913Pは@100程度で入手できましたが、数年前に製造中止となり、流通在庫としてしばらくあったものの、サトー電気の通販では@1000を最後に姿を消しました。代わりになるICとしてはNE612(SA612)があるものの、1K以上と高価です。そんな時CQ誌でJF1RNR今井さんがトランシーバの製作を連載され、東芝のFMフロントエンド用ICのTA7358P(RF−BM−OSC)を使った回路を紹介されました。サトー電気で価格を見るとなんと@76と非常に安い! 感動して20個まとめて注文し、早速回路実験を開始しました。

 TA7358P 20個を入手


◆まずは実験から(2005/09/27)

TA7358Pは1,2,3ピンの部分でベース接地のRF増幅回路が組まれています。カップリングコンデンサとバイパスコンデンサの値をAF用にすればマイクアンプとして使えるようですが、私のやり方が悪いせいか殆どゲインがない為、ここは無理せずに1石のアンプを別に組みました。4、5、6ピンでバラモジ、7、8、9ピンで11.272MHzの局発としています。マイク端子はコンデンサマイクを接続し、出力からはDSB(両側波)の信号が得られました。

 回路1

 
    平ラグ板を使った部品配置図            回路を組みました(デカップリングを省略しています)              


AFアンプ(2005/10/01)

さてTA7358Pの1,2,3ピンはベース接地のRF増幅回路を組むようになっています。コンデンサの値を低周波用に置き換え、出力にクリスタルイヤホンをつないでみると、回路2のベース接地はほとんどゲインがないように思えます。回路3はエミッタ接地となっており、ちゃんと増幅していますが、回路1の2SC1815による1石アンプと比較すれば、ゲインは少なく感じました。どの回路にするかは、トランシーバを組んでみて、総合的に評価しながら決めることになるでしょう。


SN16913をTA7358Pに置き換えてみる(2005/10/02)
50MHzSSB0.3Wトランシーバー(50h2)の試作機を使い、BM用ICのSN16913をTA7358Pに置き換えて、どの程度のものになるか実験してみましょう。

回路構成は 

  1. MICAMP(2SC2458)−BM(SN16913)ーOSC(2SC2458)
  2. MICAMP(2SC2458)−BM(TA7358Pの4,5,6ピン)−OSC(TA7358Pの7,8,9ピン)・・・回路1の構成

マイク端子に低周波発振器(800Hz)を接続し、1の構成でトランシーバの出力が300mWになるようにレベルを設定します。次に2の回路構成に変更し、出力を読むと150mWほどです。この結果からは2の回路構成の方がゲインは少ない(感覚的には半分程度)ということになりました。

 
         SN16913                TA7358P(4,5,6,7,8,9ピンを使用)

BM後にアンプを1段追加(2005/10/02)

これでは物足りないので、TA7358Pの1,2,3ピンを使い、BM後に1段のRFアンプを追加してみると、低周波発振器の出力を半分ほどに絞ってもトランシーバの出力は300mWを超えました。(回路4)


     TA7358P(1〜9ピン使用)

 回路4

回路4、T+5Vの先にシリコンダイオードの1S1588が入っています。これの意味ですが、受信状態において9ピンC+5Vから0.5Vほどが3,6ピンに逆流するのを阻止するためです。上の回路には載っていませんが、受信部にはスピーカをならすLM386入力部にノイズカット用の回路があります。ここにこの0.5Vが悪さをし、受信しているのにスピーカから全く音が出ないという現象があったので、このダイオードを入れて解決しました。

<完了>