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◆逓倍回路(2020/11/27)
- 逓倍回路とは入力周波数を整数倍するための回路です。
- 水晶発振子では高い周波数の発振ができないため低い周波数で発振させ、それを逓倍して目的の高い周波数の信号を作るときに使います。
- 真空管の時代に50MHzのAM送信機を作るとき8.3MHz台で水晶発振させ、それを6逓倍(3逓倍×2逓倍)して50MHzの信号を作っていました。
- 下の回路は144MHzトランシーバのVXO部で、14.667MHzで発振させ、それを3逓倍×3逓倍して132MHzを作っています。
逓倍回路の例(132MHz出力のVXO回路)
◆逓倍回路の動作(2020/11/27)
- エミッタ接地増幅器において増幅動作点をベース−エミッタ間電圧(Vbe)対コレクタ電流(Ic)特性曲線のコレクタ電流の遮断点Pよりさらに深いバイアス電圧とし、C級増幅として動作させると、コレクタ電流の波形の歪が大きくなり高調波が発生します。その高調波の中から必要とする周波数に出力コイルを同調させ、2倍や3倍の信号を取り出します。(*1)
- 出力コイルが1個では他の周波数成分を取り切れないことがあり、それがスプリアス(不要輻射)の原因になるためコイルを復数個使い、より純度の高い信号を作ります。
- ダイオードを使った逓倍回路もありますが、ここでは省略します。
(*1)
◆回路実験(2020/12/4)
- 下の回路図は7MHzを水晶発振させ、その信号を2逓倍して14MHzを作るものです。
- 上図P点の電圧はシリコントランジスタの場合0.6〜0.7Vですが、下図2SC1815のベース−エミッタ間電圧は実測で0.13Vであり、回路はA級のように見えますが、動作点としてはC級増幅になります。
- RFC負荷は非同調であるため高調波が沢山含まれますが、T3に変更することで高調波が減りました。
- またT4を追加して復同調にすると更にきれいな信号になります。
回路実験の様子
◆波形を観測(2020/12/4)
(左)7MHzの入力信号(OUT1) (右)RFC負荷の出力波形(OUT4)
(左)T3単同調の出力波形(OUT2) (右)T3、T4複同調の出力波形(OUT3)
<完了>
参考文献(*印)
- 解説・無線工学 CQ出版社
- トロイダルコア活用百科 山村英穂著 CQ出版社
- 定本 トランジスタ回路の設計 鈴木雅臣著 CQ出版社