バリキャップによるVXOの温度特性                戻る

◆はじめに(2004/12/04)
 VXOに使う可変容量素子としてはバリコンが一般的ですが、減速装置を含め将来的に入手困難になることが予想されます。代わりになるものとしてはバリキャップがありますが、なんとなく安定度が悪い感じがして、RITやファインチューニングには使ったものの、主同調用としては採用を避けてきました。しかし食わず嫌いではいけないので、とりあえず測定から始め、どの程度のものかデータをとってみることにします。


◆実験回路(2004/12/04)

 

バリキャップは東芝の1SV101(サトー電気で@63)を使います。規格では9Vで13PF、3Vで30PFとなっており、9Vの3端子レギュレータを使って電圧をかけています。出来れば最大定格の15Vまでかけて更に容量値を下げ、VXOの可変範囲を広げたいところですが、トランシーバでは電源電圧がせいぜい12Vまでなので、このような値にしました。少し凝ってDC−DCコンバータを使い昇圧するという手もありますが。。。


◆実験装置(2004/12/05)

  
          実験回路                            保温バッグ                       バリキャップ部

回路を平ラグ板に組み、レジャー用の保温バッグに入れます。またバッグ内にデジタル温度計のセンサを入れ、温度変化も測定します。実験ボードに取り付けた8Ωのホーロー抵抗は、全体を加熱する時に使います。

◆周波数カウンタのQRH(2004/12/11)

 周波数カウンタ ヤエスYC−500J

私が使っている周波数カウンタは八重洲YC−500J(25年ほど前に購入)というもので、同じシリーズには恒温槽型や温度補償型がありましたが、高価であったため標準型を買いました。このカウンタは電源コードを差しておくと発振部だけが動作し、電源スイッチを入れることで周波数表示部が稼動します。その表示がどの程度信用できるかを計測してみました。

上のグラフはピアースBC型の水晶発振回路を保温バッグに入れ、1時間ほど通電して安定させたあと、周波数カウンタの電源を入れてその表示値を2時間記録したものです。結果、68Hzの変動がありました。室温変化は0.3度でしたが、カウンタのケース上部温度は8度上昇しています。

おおよその周波数を確認するだけであれば、カウンタの電源を入れてから即測定しても構いませんが、長時間にわたり微妙な周波数変動を測定するためには、2時間ほど前からカウンタの電源を入れておくことが必要と思いました。


◆測定(2004/12/06)

保温バッグ内の温度を35℃まで上げ、ヒーターを切ってから自然冷却させながら、25℃まで下がった時のVXOの周波数特性を示します。20Pのエアバリとの比較では、バリキャップの方が温度変化の影響を大きく受け、−65.5Hz/℃という値でした。エアバリは−25.5Hz/℃でしたから、バリキャップの方が倍以上のQRHがありました。

<完了>