実験用安定化電源                                                        もどる

はじめに(2012/2/24)
出力電圧可変の安定化電源は実験用として便利なものです。LM317など手軽な可変電圧ICが市販されており、内部には過大電流防止用の保護回路がついているものの、肝心の実験回路を保護するものではありません。実験している時は回路チェックが不十分なままに通電して煙がモクモクと言うこともあり、電圧の安定化と同時に電流の制御も必要と思います。そんな安定化電源を作ってみましょう。


仕様(2012/2/24)

  1. 電圧 : 2〜15V
  2. 電流 : 0〜800mA(最大電流は6段階設定)

回路について

@電源部(2010/11/20)

  1. 100V/15V1Aのトランス出力をブリッジダイオードS5VBで整流したのち、電解コンデンサで平滑して直流を作ります。
  2. S5VBは600V6Aという定格で手持ちがあるため使いますが、10D1(100V 1A)を4個ブリッジ接続したものが使えます。

A電圧制御部(2010/11/23)

  1. 通常基準電圧はツェナーダイオードで作りますが、ここでは安価なLEDを使います。LEDに電流を流すと両端には約2Vの安定した電圧が得られるため、それを基準電圧としてオペアンプTL082Cの6ピンに加え、5ピンにかかる電圧と比較して、7ピンより制御した出力をダーリントン接続した2SC1815のベースに加え2SD880をドライブします。
  2. 2SD880は手持ちがあるので使いましたが、現在では手に入らないと思います。代替品として最大コレクタ損失10W以上、最大コレクタ電流2A以上のものがあればよく、例えば2SD2241であればサトー電気にて78円で購入できます。
  3. なお、当初はオペアンプで直接2SD880をドライブしていましたが、出力電流が最大350mAほどしか取れなかったため、2SC1815を追加してダーリントン接続し800mAの出力が取れるようになりました。

B電流制御部(2012/2/24)

  1. Q3 2SC1815とロータリースイッチにつながった抵抗に発生する電圧で出力電流を制御します。2SD880のエミッタからの電流が抵抗を通ることで抵抗の両端に電圧が生じます。その電圧が約0.6Vになった時にQ3 2SC1815が動作しコレクタ/エミッタ間が導通してQ2 2SC1815−Q1 2SD880の動作を制御し、それ以上電流が流れないようにします。
  2. ロータリースイッチは共立電子で買った2回路6接点、接点容量がDC30V/0.5Aというものを使いますが、電流容量を増やすため2回路を並列接続することにしました。また画像のようにスズメッキ線で直径18mmのリングを作り、周囲に抵抗を半田付けしました。そして接点がむき出しなのが気になったので、スイッチ全体に熱収縮チューブを被せ、空気に触れにくくしました。
  3. 最大電流の計算式は I=E/R ですが出力電圧や負荷状況により誤差が生じます。 計算例 R=47Ωの場合 I=0.6/47=13mA になります。
  4. レンジ切り替えの目盛りは、CADを使って画像のような目盛りを作り、インクジェットプリンタでフォトペーパーにプリントし切り抜きます。また2mm厚のアクリル板を切り出し、目盛りの押さえ板として使いました。

 
(左)電流切替用ロータリースイッチと取り付けた抵抗群 (右)レンジ切り替え目盛り

C表示部(2012/02/24)

  1. 電圧表示のメーターは秋月で買ったDE550という15Vのものを使います。
  2. 電流は同じく秋月の100mA(内部抵抗0.6Ω)のものを使い、1Aレンジのときはスイッチでシャント抵抗(0.1Ω×2=0.05Ω)を並列接続します。

ケースの構造(2012/02/18)
リグを作るとき、どんな大きさにするかというテーマがあります。基本的には正面パネルに取り付けるツマミやメータなどの配置、内部に入る基板やラグ板の大きさをから外部寸法を決めますが、購入したアルミ板に無駄が出ないよう、どのような構造と寸法にするかを頭の中でイメージしながら設計図に落とし込むわけです。この段階が難しいながらも楽しい時間で、数字と形状が交錯しモヤモヤとしていたイメージが徐々に固まっていくわけで、今回は350×250mmというアルミ板の大きさを最大限活かすよう、幅160×高さ90×奥行き175mmという寸法に決めました。1mmのアルミ板をカットし折り曲げて作る6個の部材は、正面と背面パネル@A、上下のフタBC、それをつなぐ左右の側板DEです。トランスやラグ板は下フタCに取り付けることにし、それぞれの部材を3mmのビスで固定します。アルミ板単体では頼りない感じもしますが、各部材をネジで固定して箱型構造にすると、しっかりするものです。

  内部の様子

<完了>