クリスタルフィルタ

◆はじめに(2007/03/03)
 トランシーバを構成する部品の中で一番高価なものはクリスタルフィルタで、サトー電気で購入できる9MHzのものは@4620します。ところがこれを自作すると数百円で出来るため、トランシーバの製作記事ではラダー(梯子)型フィルタを使ったものが多く紹介されています。水晶とコンデンサだけという簡単な回路ですが、部品選びにはちょっとしたコツがあります。また簡単な帯域測定装置の作り方とパソコンで表示する方法を紹介します。


手順

  1. 水晶の発振周波数を測定し記録する。
  2. 近い周波数の水晶を選ぶ。
  3. 帯域測定装置を作り、測定する。
  4. グラフを描く。

1.水晶の発振周波数を測定し記録する(2011/03/09)

  1. 自作のフィルタには市販の水晶を使うと安く出来ます。池田電子やサトー電気、秋月電子など通販で扱っているものは100円前後のものが多く、まとめ買いすれば更に安くなります。
  2. フィルタの製作には5〜8個使うため、10〜20個ほど買ってからその中で近い周波数のものを選びます。
  3. 水晶のケースに表示している周波数は同じでも、それぞれ少しずつズレがあるため、簡単な発振機を作って事前に周波数を測定し、水晶のケースにマジックでメモしておくと選り分けるときに便利です。

 発振周波数をチェック

2.近い周波数の水晶を選ぶ(2007/03/09)
SSB用フィルタの帯域幅は約3kHzですから、水晶を選ぶ場合は目安としてその10%にあたる300Hz以内に収まるものを選びます。

3.帯域測定装置で測定する(2007/03/03)
フィルタの帯域を測るため下のような装置を作りました。帯域は
C1、C2の値を変更することで調整でき、容量を増やせば帯域は狭くなります。C1:C2=1:2という関係です。

  1. OUT端子にデジタルテスタをつなぎ直流電圧を測定します。
  2. COUNTER端子には周波数カウンタをつなぎます。
  3. バリコンを回し周波数を約500Hz単位で変化させ、IN/OUTのスイッチを切り替えながら入出力電圧と周波数を読み、エクセルに入力してグラフ化します。

 測定のようす

4.グラフを描く(07/03/03)
X軸は周波数、Y軸は損失のデシベル表示とし計算式は

  損失(dB) = 20LOG(出力電圧/入力電圧)

この式をエクセルのセルに登録し、入出力電圧を測定しグラフを描きます。

 
        エクセルの散布図を利用する                  帯域はほぼ3kHzになりました


◆ラダー型クリスタルフィルタの原理(2013/6/8)
水晶の直列共振の部分を何個かの水晶を直列につなぐことで必要な帯域や特性を得るものです。また直列接続した水晶の間を適当なコンデンサでアースすれば並列共振の部分の周波数が下がって直列共振の周波数に近づくため帯域を狭くすることが出来ます。たとえばSSB用では68PだったものがCW用になると220Pにして帯域が狭くなるのは、並列共振周波数を下げるためのものだったのですね。

<完了>