14MHzセンターローディングホイップ                ホームに戻る

◆はじめに(2023/5/19)
短縮コイルの巻き数を計算で求められることを実感してから、センターローディングのホイップやダイポールを続けて作っています。八重洲のFT817は1.9〜430MHzまでオールモードのトランシーバーですが、これまで14MHzは出たことが無いため、試しにアンテナを作って覗いてみようと思います。


センターローディングコイルの設計(2023/5/19)
計算式についてはアンテナハンドブックのP390-391にありますが、センターローディングコイルの計算サイトもあります。

 図2 アンテナハンドブック P390

上部エレメント長h2=500mm、下部エレメント長h1=1000mm、エレメント全長h=h1+h2=1500mm、エレメント平均直径d=6.3mm

14.15MHzにおいて

Ka=エレメントの平均特性インピーダンス 、 XL=ローディングコイルのリアクタンス 、 λ=300/14.15=21201mm

Ka≒60(loge(2h/d)-1) = 60(loge(2*1500/6.3)-1) = 310Ω

XL/Ka = cot(2πh2/λ) - tan(2πh1/λ)     ※ 右辺の( )内の角度はラジアン 、 180°=πrad 、 cotθ=1/tanθ

    = cot(2*3.14*500/21201*180/3.14) - tan(2*3.14*1000/21201*180/3.14)

    = cot8.49-tan16.98 = 6.70-0.30 = 6.4

XL = 6.4*Ka = 6.4*310= 1984Ω

ローディングコイルのインダクタンス L = XL/2πf = 1984/(2*3.14*14.15) = 22.3μH

空芯コイルの計算式から φ0.5のウレタン線を外径22mmのボビン(塩ビ水道管VP16)に36回密巻きすると22.3μHになり、ウレタン線は2.5mほど必要になります。ただこれまで4個の短縮コイルを巻いてきた経験から、この計算値よりも巻き数を数回減らすとSWRを1.0に近づける事が出来ています。


短縮コイル(2023/5/19)

  1. ガラエポ1.6mmの両面プリント基板を幅16.5o×長さ40oに切り出し、両端の中央部に幅5.5o×15oの切り込みを2個所入れ、M3×15oの支柱(両端メネジ)を半田付けします。
  2. 両面基板の中央部は幅5oほど銅箔をはがして絶縁します。
  3. 水道管VP16(外径22o×内径16.5o)を40o長に切り、コイル用のボビンとします。
  4. ボビンを万力で挟んで少しつぶし、そこにプリント基板を挿入し、万力を緩めることで固定しました。

 短縮コイル支持部の部品

 支柱を半田付け

 万力で挟み、ボビンを少しつぶして基板を挿入し、万力を緩めて基板を固定する

 0.5UEW36回巻きの短縮コイル


◆上部h2エレメント(2023/5/19)

  1. 上部エレメントはφ5のアルミパイプを500mmに切る。
  2. M3×25mmビスの頭を切り、0.55mmの銅線(ダイソーで購入)を20回巻き付けて半田付けし、外径をヤスリで4mmに仕上げ、パイプに挿入する。
  3. アンテナの先端になるもう一方にはφ5用の端末保護キャップを被せる。

  
(左)先端に端末保護キャップを被せる (中)0.55mmの銅線を20回巻いて半田付けし外径をφ4に仕上げる (右)パイプに挿入

◆下部h1エレメント(2023/5/19)

  1. 下部h1エレメントは2分割し、短縮コイル側をh1-2、給電側をh1-1とします。
  2. h1-2はφ7のアルミパイプを500mmに切り、短縮コイル側にはM3×15支柱(片側オネジ)を挿入し、オネジを外部に出す。
  3. もう一方にはφ6×80アルミパイプのアルマイト加工されている被膜をサンドペーパーで磨いて導電できるようにし、40mm挿入する。
  4. φ7アルミパイプの外径をパイプカッターを一周して軽くつぶし、抜け止めとする。
  5. h1-1エレメントはφ7アルミパイプを500mmに切り、φ8×40mmのアルミパイプを補強のために被せます。

 
h1-2エレメント (左)M3×15支柱(片側オネジ)を挿入 (右)φ6×80アルミパイプを40mm挿入

給電部(2023/5/19)

  1. 外径12.5mm×内径8mm×40mmのグラスファイバーパイプの先端を外径11mm×10mmにヤスリで仕上げる。
  2. 削りすぎた場合は木綿糸を巻いて隙間を埋め、しっかりとBNCプラグに固定します。
  3. h1-1エレメントのφ8×30mmアルミパイプで補強した部分を25mm挿入する。
  4. 1.5mmのドリルで貫通穴をあけ、M2のタップでネジを切り、M2×20のビスとナットで固定する。
  5. BNCプラグのセンターピンとM2ビスに付けたラグとを0.8mmのスズメッキ線で結ぶ。
  6. BNCプラグにはM2のタップを立ててM2ビスをねじ込む。

 分解したところ

 組み立てる

 内部構造


調整編

◆コイルの巻き数を調整(2023/5/26)

  1. トランシーバーにSWR計とアンテナを取り付け、またグランド端子には5mのラジアルをつなぐ。
  2. h2エレメントの代わりに600mmほどのロッドアンテナを取付け、伸ばしたり縮めたりしながらSWRが下がる傾向をつかむ。
  3. ロッドアンテナをh2エレメントの500mmよりも短くするとSWRが下がるため、コイルの巻き数を減らして33回巻きにした。
  4. ロッドアンテナをh2エレメントに交換し、コイル間隔を調整すると14.15MHzにおいてSWRは1.0になりました。
  5. コイルにはサージカルテープ(絆創膏)を貼り、調整後にコイルがずれないようにしています。
  6. 調整が終わればコイル部分には熱収縮チューブを被せ、ライターの炎で加熱して収縮させ、コイルを固定し保護します。

 巻き数を33回に減らし、コイル間隔を調整し、熱収縮チューブを被せて完成

 3分割したホイップアンテナ

SWR特性(2023/5/26)

  1. 給電部のM2ビスに5m長のラジアル1本を接続してSWR特性を測定しました。
  2. コイルに熱収縮チューブを被せたり、エレメントの先端に端末保護キャップを被せる事で同調点がずれた場合は、h2上部エレメントを切り詰めるか、M3ネジにナットを追加してエレメントの実質的な長さを延長するなど微調整してください。

 FT817に取りつける

FT817でワッチ(2023/5/26)
14MHzというのはDXバンドとして有名ですが、これまで殆ど受信したことが無いた め、FT817につないでワッチしてみました。電離層反射で中国や北海道、沖縄など1000km以上離れた局が入感するのは楽しいですが、地上波では10kmほど先なのに信号が弱いというVHFとは違う感覚です。また国内QSOと海外QSOの分布や時間帯については今後もワッチを続け、14MHz帯の特徴を知りたいと思います。14.1MHzビーコンの発信場所が地図上でリアルタイムに分かるサイトがありますので、それも参考にしてください。なお距離はGoogleMapを使って調べました。

  1. 2023/5/2 17:10 中国・北京 B1CRA RS53 距離1766km
  2. 2023/5/3 13:00 北海道・利尻島 JG8MPL/8 RS55 距離1255km
  3. 2023/5/4 08:10 中国・黒竜江省 BG2CTY RS57 距離1366km
  4. 2023/5/4 15:45 北海道・旭川 JA8BWU RS59 距離1162km
  5. 2023/5/5 06:05 韓国 6M23VGC RS59 距離714km
  6. 2023/5/5 08:50 北海道・恵庭 JG8IAF RS58 距離1045km
  7. 2023/5/7 14:30 北海道・網走 JJ8HGA RS59 距離1270km
  8. 2023/5/8 17:25 沖縄・南大東島 JS6TWW RS59+ 距離1073km
  9. 2023/5/8 20:13 ブラジル PY3ZY RS32 距離18,000km

周波数とラジアル長の表示(2023/5/26)
色々な周波数のアンテナを作っているとラジアルも本数が増え、移動運用時に間違えて持ち出してしまうと困ることがあります。そのため使用周波数とラジアル長を書いたラベルを貼り付けるようにしました。

 
(左)5mのラジアル (右)使用周波数とラジアル長を書いたラベルを貼り付け、熱収縮チューブで固定

<完了>


参考文献 (*印)

  1. アンテナハンドブック  CQ出版社
  2. 週刊BEACON エレクトロニクス工作室 NO.38 冨川寿夫著