430MHzリニアアンプの製作(430L1) ホームに戻る
◆はじめに(2024/8/2)
- 生基板ベタアースと空中配線で作った430MHzリニアアンプの試作で所定の出力が得られたので、次は基板化を考えます。
- 基本的な回路は実験編と同じですが、アンテナ切替用の高周波リレーと出力電力表示用の検波回路を追加し、430S1機の内部に組み込めるような構造とします。
◆基板の設計と製作(2024/8/2)
- サイズは70×40mmとしその上に必要な部品を配置します。
- 基板には2SC3006の頭部を通す7mm角の穴をあけておきます。
◆部品取り付け(2024/8/9)
- 2SC3006の放熱用に1mm厚のアルミ板で、部品取り付け側には32×15×8mmのL型と、銅箔面には40×30mmの放熱板を取り付けました。
- 送信出力が1Wであればこの程度の放熱板でも間に合うと思いますが、数W出す場合は銅箔面側は櫛型の放熱器を使った方が良いでしょう。
- 半田付け後は銅箔面に残った半田のヤニ(フラックス)をシンナーをしみこませた綿棒で清掃し、信号の損失を防ぎます。
シンナーをしみこませた綿棒で半田のヤニを取り除く
◆動作確認(2024/8/9)
- 各機器を下のように接続し、12Vの電源を供給し、最大出力が出るようトリマを調整します。
- トリマの回転角がかなり抜けたところで同調が取れたため、密巻にしていたコイルに割を入れて広げ、インダクタンスを減らしました。
- 1W出力時におけるコレクタ電流は200mAで、入力電力は12×0.2=2.4W、2SC3006の効率は42%になりました。
- ここで使用した高周波リレーのコイルには極性があったのですが、それに気づかずプリント基板を作ってしまい、コイルには電流が流れるものの動作しなかったため、ランドを切って極性を入れ替えるよう配線しました。たまに極性を持つリレーがあるので、事前に確認しておくことが必要と認識しました。
(左)電源をつないで出力が最大になるようトリマを調整 (右)コイルに割りを入れてインダクタンスを減らす
◆430S1機に組み込む(2024/8/16)
430S1機にリニアアンプを追加してみました。430S1機にはアンテナ切替用の高周波リレーが付いていますが、それは使わないので彫刻刀でランドを切って同軸を直に半田付けし、リニアアンプに接続しました。これで出力を100mW→1.2Wにパワーアップできました。
消費電流は
- 受信無信号時 :: 82mA
- 送信無信号時 : 260mA
- 送信1W出力時 : 470mA
(左)430S1機へ組み込み (右)ランドを切り、同軸を直付け
◆製作を終えて(2024/8/16)
2SC3006というUHF用の石を初めて購入し、プリント基板にどうやって取り付けたら良いのか、放熱はどうしたら良いのか、と頭をひねった今回のリニアアンプ製作でしたが、当初目標にしていた1Wは達成できました。入力を増やせば5W程度は出るでしょうが、それなりの放熱器を取りつけることが必要になります。
<完了>
参考文献
- アマチュアのV・UHF技術 CQ出版社
- アイコム IC-351回路図
- 西無線研究所 NTS710回路図
- 八重洲無線 FT-790mkU取扱説明書
- ダイナミック・ハムシリーズ リニアアンプスタイルブック CQ出版社
- 高周波回路設計ノウハウ 吉田武著 CQ出版社
- 実用電子回路ハンドブック CQ出版社