430MHzリニアアンプの実験(430L1) ホームに戻る
◆はじめに(2024/7/5)
430MHzSSB出力100mWのトランシーバーを作り、交信実績も少しずつ積みあがりました。次はもう少しパワーアップしたいとの思いが頭をもたげ、まずは1Wを目標にリニアアンプの実験を進めたいと思います。
検討編
◆石の選択(2024/7/5)
パーツボックスを見ると2SC1073という石が2個ありました。430MHzをやってみたいと思っていた40年ほど前に、東京出張のついでに秋月で買ったような、かすかな記憶は残っています。規格表で調べてみると 松下製、Po=1.8W、f=500MHz、Vce=13.5V、Pi=0.4W とありました。12Vで使うと4倍程度の増幅度です。430S1の100mWを1Wにするには10倍の増幅度が欲しいため、この石は性能不足でした。ここでいつもお世話になっているサトー電気で調べてみました。
2SC1073
見落としもあると思いますが、470MHzにて数W出て、数百円で購入でき、在庫が数十個以上ある石として下の3つが見つかりました。この中では新しい型番である2SC3006を使ってみようと思います。2SC3006のデータシートをダウンロードして入出力線図を見ると、実際に使おうとする出力1W前後の領域は示されていませんが、多分リニアではないかと期待しています。注意書きとして「べリリア磁器を使っているため、粉砕したり蒸気を吸うと人体に有害です」とあります。熱伝導性と絶縁性が良いため内部に使われているようですが、分解しなければ問題ないでしょう。
べリリア磁器(*6)
(左)サトー電気で購入した2SC3006 (中)入出力線図 (右)各部の寸法
◆基板への取り付け(2024/7/5)
これまで細い3本足か4本足の石しか使ったことが無いので、どうやって取りつけるのか調べてみました。基板に四角い穴をあけて「2SC3006」が部品取り付け面側から見えるようにはめ込み、銅箔面にベース・エミッタ・コレクタを半田付けし、放熱器は銅箔面側に取りつけることになるのでしょう。
実験編
◆回路図を探す(2024/7/26)
数十Wのリニアアンプでは同調回路にストリップラインを使ったものが多く見受けられハードルが高く感じられましたが、アイコムIC351の励振増幅部を見ると、コイルとコンデンサによる整合回路で、値を変えれば144MHzと同じような増幅回路が使えそうと思い、参考文献1〜4から回路を抽出し試作回路を決めました。
(左)IC351の2SC2407励振増幅部(この後段にパワーモジュールが接続)
◆ベタアースと空中配線で組む(2024/7/26)
(左)リニアアンプ試作機 (中)2SC3006の取り付け部 (右)アルミ板で作った簡易放熱版
◆430S1機の出力を増幅(2024/7/26)
◆実験を終えて(2024/7/26)
430MHzで少しパワーを出そうと思ってもどんな石を使ったらよいのか、UHFではどんな回路で実験したらよいのか経験が無く、40年以上前に買ったIC351とTR3200の蓋を開けて励振部や終段部の構造を眺めたり、手持の資料を読み直したり、ネットを検索して少しずつイメージを作り上げてきました。サトー電気にて2個990円で2SC3006という石を買って回路を組んでみると思った以上に性能が良く、目標の1Wを超えました。やってみて少し視野が広がると、もう少し高いところに登ってみたくなり、気が付いたら守備範囲が広くなっていた。そんなことの繰り返しが自作の楽しみなのでしょう。
<完了>
参考文献