430MHzFMトランシーバー(430F1)試作機 ホームに戻る
◆はじめに(2026/1/23)
リグ作りを始める1つのきっかけとして、目的の周波数を作るために市販されている水晶の組み合わせが閃いた時にあります。144MHzFMトランシーバとして144F3機が完成して一通りFMのリグ作りを経験し、次の課題として運用局数が多い430MHzFMトランシーバを作りたくなりました。手持の水晶を眺めながら頭の中で足したり引いたりと組合せを考え、下の構成を思いつきました。
項目
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発振周波数(MHz)
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周波数(MHz)
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| VXO |
16.833 |
50.5 |
| 中間周波数 |
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10.7 |
| トランスバータ(9逓倍) |
41.333 |
372 |
合計
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433.2 |
使用する水晶
◆ブロックダイアグラム(2026/1/23)
FMジェネレータの部分は144F3機の周波数を61MHzに変更すれば殆ど同じ回路が使えます。トランスバータの部分は430S2機から基板を外し、周波数を微調整すれば特に新作しなくても済むでしょう。試作の段階では「あるものは使う」で手間を省きながら見通しを付けることが大事です。

FMジェネレータ部
◆まずは実験から(2026/1/23)
FMジェネレータ部については古いリグのケース(幅160mm×高さ70mm×奥行220mm)を流用し、正面パネルのみ作り直します。
ラグ板配線の試作機(FMジェネレータ部)
◆仕様(2026/1/23)
- 周波数 : 61.000〜61.200MHz
- 送信出力 : 1mW
- 受信部 : 高1中5ダブルスーパー
- 中間周波数 : 第1中間周波数=10.7MHz、第2中間周波数=455kHz
- 帯域幅 : 10kHz
- 周波数表示 : 周波数カウンタ PLJ-0802A を使用(オフセット周波数382.7MHz)
◆ラグ板配線方式(2026/1/23)
試作の場合は部品交換や簡単な回路変更をは当たり前であり、そのための配線方式を選ぶことが必要となり、ここでは20Pの平ラグ板を6枚使います。部品の取付位置と配線の引き回しは、下の画像のように事前検討しておきます。


1.共通部
◆VXO部(2026/2/13)
- 3倍オーバートーン50.5MHzの基本波16.833MHzでVXO発振し、3逓倍して50.5MHzを作ります。
- 433.000MHzのメインでCQを出してから別のチャンネルにQSYする場合、混んでいなければ433.000MHz〜433.200MHzが使われており、それ以外の周波数は仲間内のQSOが多いように思います。そのため可変範囲は200kHzほどとします。
- 電子同調のメリットを活かし、433.00MHz固定と可変をスイッチで切り換えて運用します。ただ433MHz固定とは言ってもfズレがあるため、周波数調整用のツマミを正面パネルに配置します。
- 50.5MHzの水晶はサトー電気でHC49Uが@408、HU49USが@242(3個462円)で入手できます。
VXO部

VXO出力波形
◆周波数表示(2026/2/13)
- 周波数表示には PLJ-0802A というカウンタを使います。以前は1.5K〜2Kで購入できましたが、円安の関係もあり2K〜3Kになっています。それでも安いですけどね。
- オフセット周波数を382.7MHzに設定すると433MHz台が表示されます。
- 問題点としてはゲートタイムが0.64秒であり、ダイヤルの動きに即追従はできません。
- 小数点以下の表示は3桁と4桁を選ぶことができます。

2.受信部
◆高周波増幅、周波数変換部(2026/2/20)
- 高周波増幅の後にVXOの信号と混合して10.7MHzに周波数変換し、帯域15kHzの3段クリスタルフィルタを通して不要な信号をカットします。フィルタの計算式
- さらに局発10.245MHzの信号と合成し、455kHzに変換します。


◆中間周波増幅+周波数弁別部(2026/2/20)
- 4段カスケード接続の中間周波増幅回路は50年以上前のCQ誌JA1AYO丹羽さんの製作記事から引用したものですが、元はモトローラの回路とのことでした。回路が簡単で消費電流が少ないとかのメリットが書かれていたように思います。
- セラミックフィルタはサトー電気で買った(ムラタ CFULA455KE4A-B0 @231)
小さなサイコロくらいの大きさで、帯域は15kHzを選びました。
- セラミックフィルタ通過後に中間周波で十分に増幅したのち、リミッタで振幅制限をしてノイズやAM成分をカットします。
- 周波数弁別器(ディスクリミネータ)はFMの信号を音声信号に変換するもので、ここではフォスターシーレ検波回路を採用しています。
- また回路図のディスクリトランスT7は市販されていないため、市販の455kHzIFTを解き、コアに0.1のウレタン線を160回巻いてセンタタップを取りました。


(左)セラミックフィルタ (右)S字特性
◆スケルチ部(2026/2/20)
- 無信号時に発生するFM特有のザーという雑音を聞こえなくするのがスケルチ(Squelch
= 押しつぶす)です。そして信号が入ったときはスケルチを開いて相手局の声が聞こえるようにします。
- ディスクリ出力からフィルタを通して高域の雑音信号を取り出し、増幅・整流してスケルチを動作させる電圧を作ります。
- 雑音があるときはその電圧でスケルチがON状態になり低周波増幅の動作を一時的に止めてスピーカーからの音が出ないようにします。
- 信号が入ると雑音がなくなるため整流電圧が低くなってスケルチがOFF状態になり、スピーカーから音が出ます。
- スケルチに使うフィルタは、低域の音声信号は抑え高域の雑音成分を取り出すことが目的です。ここではトリオTR3200の回路を参考に、1mH(102)のコイルと0.022μF(223)のコンデンサで直列及び並列の共振回路(32kHz)を組みました。


3.送信部
◆周波数変調部、周波数変換部(2026/2/27)
- 周波数変調部は「ビギナーのためのトランシーバの製作入門」から回路を引用しています。
- 2SC1815でマイクの音を増幅した後、バリキャップ代わりの2SC1815に変位を与えることで2SC1906のVXOに対し周波数変調をかけています。
- FMの変調回路については @ベクトル合成位相変調 や Aリアクタンス変調 等がありますが、必要な周波数偏移を得るために逓倍段数を多く取らねばならず、回路が複雑になります。しかしVXOに変調をかける方式は簡素化でき、適当に圧縮もかかるためありがたい回路です。
- 2SK241を2個使ったバランスドミクサで61.2MHz(50.5+10.7MHz)を作り、その後フィルタを通してスプリアスを抑制します。


◆送信増幅部(2026/2/27)
2SK241による1段増幅で出力は1mW程で、ソース抵抗で出力を調整できるようにしています。フィルタを多数入れており、増幅段というよりはスプリアス対策段と言えるかも知れません。それでも10.7MHzの6倍波の64.2MHzが-46dB程で出てきており、主信号周辺の信号は取り切れません。


61MHz出力部のスプリアスを観測
4.調整編
◆共通部の調整(2026/3/6)
- TP3に周波数カウンタを接続し、T8のコアを回して16.756MHzになるよう調整する。
- TP4に高周波電圧計を接続し、出力が最大になるようT9,T10のコアを回す。また周波数が50MHz台になっているかを確認する。
◆受信部の調整(2026/3/6)
- 周波数カウンタをTP5に接続し、10.245MHzになるようTC1を回す。
- tinySA→SMAリード線→30dBアッテネータ→SMA/BNC変換コネクタ→430F1機アンテナ端子
- tinySAをSGモードにする。
- FREQは61.000MHz、LEVELは-58.5dBmに設定し、LOW
OUTPUTをONにする。
- tinySAの信号を受信し、T1〜T5のコアを回してSメータの振れが最大になるよう調整する。
- Sメータの針が中央付近に来るようLEVELを調整する。
- TP2にテスター(直流5Vレンジ)を接続し、T6を回して電圧を最大にし、T7を回して電圧がゼロになるよう調整する。

◆送信部の調整(2026/3/6)
- TP6に周波数カウンタをつなぎ、10.7MHzになるようTC2を調整する。
- アンテナ端子にQRPパワー計をつなぎ、T11〜T16とTC3を回して出力が最大になるよう調整する。
- スペアナの周波数範囲は10MHz〜120MHzに設定する。
- スペアナ→SMAケーブル→30dBアッテネータ→BNC/SMA変換コネクタ→430F1機の順に接続する。
- スペアナの画面を見ながら主信号は最大に、スプリアスは最小になるよう各トリマやコアを調整する。
- 61MHz出力部でスプリアスを観測すると46dB近い抑圧比が得られました。

◆内部の様子(2026/3/6)
20Pの平ラグ板を中間シャーシの両面に3枚ずつ取付けて回路を組みました。試行錯誤するのにラグ板配線は便利ですが、面積がけっこう必要なので画像のようにシャーシの両面に取り付けています。
(左)上面 (右)下面
トランスバータ部
◆仕様(2026/3/13)
- 周波数 : 433.000〜433.200MHz
- 送信出力 : 1W
- 終段 : 2SC3006
- 入出力周波数 : 61MHz
トランスバータは430S2機で使用したものを流用していますので詳しくはそちらをご覧ください。このトランスバータはSSB用に作ったものなので、終段にはバイアス電流を流していますが、FMの場合は不要ですね。
トランスバータ部
(左)トランスバータ部 (右)FMジェネレータ部
背部の接続
◆感度比較(2026/3/13)
アンテナを付替え、FT817と同一局を受信しながら感度比較してみましたが、同程度でした。
◆スプリアスの測定(2026/3/13)
- 430MHzではスプリアス領域における測定周波数範囲は30MHz〜3GHzですが、tinySA
Ultraのウルトラモードで測定すると REDUCED LINEARITY という表示が画面に出て、数値があまり信用できないため上の周波数を1GHzに下げました。
- 結果として一番大きいスプリアスは局発372MHzの47μWであり、ギリギリ規格内に収まりました。
- スプリアスをフィルタだけで対策できるものなのか、どこかの配線に不要信号が乗り、それが出力に現れているのか、見えない信号との戦いは続きます。
測定環境
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スプリアス
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周波数帯
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電波形式
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飽和電力
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測定周波数範囲
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アッテネータ
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周波数
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強度
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規格限度値
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判定
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433MHz
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F3E
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1W (30dBm)
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100MHz〜1GHz
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30dB
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372.6MHz
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47μW
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50μW
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適合
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1W時のスプリアス
◆試作を終えて(2026/3/13)
昨年144MHzのFMトランシーバを作りましたが、メインをワッチしていても平日は中々入感せず、休日に移動局と交信できる程度です。アンカバ局に嫌気がさして多くの方がQSYしてしまった影響が今だに残っているような感じです。ならば430FMでしょうという気持ちになり今回の試作機作りとなりました。今後はもう少し実績を積みながら回路を検討し、正規のリグ作りに移ろうと思います。
正規品イメージ図
<完了>
参考文献
- ビギナーのためのトランシーバー製作入門 千葉秀明 著 CQ出版社
- TR3200取扱説明書 トリオ株式会社
- ECHO-6回路図(50MHz AM/FM 1Wハンディ) 協和通信機製作所