430MHz 5/8λホイップアンテナ 戻る
◆はじめに(2021/6/11)
手持ちののロッドアンテナの長さを調べていると450mmというものがありました。自在に角度を変えられる金具が付いているので小型のFMラジオ用でしょう。144の1/4λにはちょっと足らないけれど、433の5/8λにはちょうど良い長さ(ちょっと長め)に思えるため、作ってみたくなりました。自作のきっかけと言うのは些細なことから始まるものです。
全長450mmのロッドアンテナ
◆なぜ5/8λなのか(2021/6/11)
- 中途半端に思える5/8と言う数字ですが、文献(*1)によると垂直アンテナにおいては0.625(5/8)λがアンテナの利得が最大になる長さということです。
- ただしその長さではアンテナ自体がキャパシティブになるため、それを打ち消すためのインダクタンスとして1/8λのコイルを入れます。
- 5/8+1/8λ=6/8λ(3/4λ)となってリアクタンス成分がゼロになり、いわゆるマッチングが取れた状態になります。
(*1) (*2)
(*1)
◆SWRの測定方法(2021/6/11)
- 430MHz用のSWR計があれば良いのですが、持っていない場合FT817には「SWRメータ」と言う機能があります。(*3)
- ただSWR1.0とか1.5とかいう数値表示ではなく、反射波の強さをディスプレイのバーの数で表示する機能なので、出力が大きい状態でSWRを最低にすることが好ましいです。
- パネル正面のBNCジャックにアンテナを直接つければ、途中に同軸ケーブルが入らないため、測定誤差は少ないでしょう。
◆まずは実験(2021/6/11)
- 433MHzzの波長=300/433=0.69m=690mm、その5/8は433mm、短縮率を97%とするとエレメント長は420mmになります。また1/8λ=86mmです。φ9でコイルを巻くと1周で28.3mm、3回巻きで85mmほどになります。
- FT817 433MHz FM 2.5W出力にてコイルのピッチを調整したところ、SWRの表示値は最低(表示なし)になりました。
- FT817付属のアンテナ「YHA-63」ではSWR表示値が上図の「1」であったため、試作アンテナのSWRは1.0に近いのではないかと思います。
給電部
◆製作を進める(2021/6/18)
- FT817に付けて運用することを想定し、基部は3D2V用のBNCプラグを使います。
- エレメントは450mm長のロッドアンテナとし、SWR値を見ながら必要な長さを割り出し、先端部を切断するなどして使おうと思います。
- ボビンは外径φ9×内径φ6のグラスファイバーパイプを使いますが、ホームセンター等で売っているABS樹脂などのパイプを使う手もあるでしょう。
- ボビン内径はφ6で、ロッドアンテナの外径はφ5なので、中間にφ6×φ5の真鍮パイプを入れて直径を合わせています。
- ロッドアンテナの下端にM2のねじが切ってあるため、そのネジ穴を使ってボビンに固定します。
各パーツ
組立後
◆調整を行う(2021/6/18)
- FT817に製作したアンテナを取り付け、SWR値を見ながらコイルのピッチ調整をすると下図の「0=表示なし」になりました。
- ロッドアンテナの長さは420mmとしたため最大長よりも30mmほど縮めます。そのため次段とのつなぎ目にヤスリで軽く印をつけ、使用時の長さ設定位置とします。
- 調整が終わったら、ボビンとBNCプラグのはめ合い部分は2液性エポキシ接着剤で固定します。
- コイルはズレ防止のため熱収縮チューブで固定します。
長さ設定位置にヤスリで印をつけ赤い塗料を入れる
熱収縮チューブでコイル部を固定して完成
◆電波の輻射分布(2021/6/18)
アンテナからはどのように電波が出ているのでしょう。図のような高周波電圧計をアンテナに沿って上下に移動し、メータの振れを図に点線で書いてみると、エレメントの上端から160mmほどのところに谷がありました。
◆性能は(2021/6/18)
FT817に付属のアンテナ「YHA-63」と差し替え、FM局を受信しながら感度比較してみましたが、5/8λの方がSにして2〜3程度良い感じがします。ただ全く変わらない局もありますが。
全長は以下のとおりです。
- 八重洲 YHA-63 250mm
- 今回製作品5/8λ 450mm
<完了>
参考文献(*印)
- アマチュアのアンテナ設計 岡本次雄著 CQ出版社
- アンテナ・ハンドブック CQ出版社
- FT−817ND取扱説明書 八重洲無線