50MHzAMトランシーバー

◆はじめに(2000/12/28)
50MHzのAMは1964年の開局周波数・モードということもあり特別の思い入れがあります。開局当時は終段6AR5を使った真空管の送信機でした。1970年代に入り高性能のシリコントランジスタが安く手に入るようになり、時代は球から石へと変わりつつありました。また集積回路が幅を利かせ始めた時でもあったのです。そんな時初めて作った石のリグを長い間使っていたのですが、リレーの接点が怪しくなり、また全体に使いづらさも出てきたので、新しくトランシーバを作ることになりました。1号機は受信信号にキャリブレートして送信周波数を決める方式でしたが、2号機はトランシーブタイプとします。例によって回路図探しをすると50AM機のオーソリティJR8DAG菅野さんのHPにありました。回路構成は殆どパクリですが、それだけでは面白くないと自分なりのスパイスをきかす事にします。

 
       トランシーバの内部                          正面

◆スケルチをつける
さてどういった工夫をすればよいでしょう。製作の目的は毎週金曜日21時からの南大阪A3ロールコールに出ることキー局のJA3XQO竹中さんは結構遅刻する50.55MHzで長いことノイズを聞くのはいやだスケルチをつけよう→これなら待ち受けするにも都合が良いとなりました。

◆モニタを付ける
もう1つの工夫はモニタです。SSBの場合は出力メータが振れていれば変調がちゃんとかかっているかが分かります。しかしAMでは若干マイナス変調はあるものの出力メータは振れっぱなしです。出力メータを振らすならその一部をもらってモニタしてみよう、と言うことになりました。

◆仕様

  1. 周波数 : 50.500〜50.650MHz
  2. 送信出力 : 0.5W
  3. 終段 : 2SC1971
  4. 電源電圧 : 12V
  5. 変調方式 : コレクタ変調
  6. 中間周波数 : 10.24MHz
  7. 寸 法 : 幅160×高60×奥行180mm

VXO部
水晶は1個150円程度で容易に手に入る13.518MHzを使いました。2SC1906で発振させたあと、2SK241で3逓倍します。電圧は3端子レギュレータを使い安定化した5Vを供給します。


受信部
高周波増幅、混合回路
2SK439による高周波増幅後、混合回路にてVXOからの出力と合成し10.24MHzの中間周波を作ります。

水晶フィルタ
10.24MHz,HC49U/Sの水晶4個によるラダー型フィルタを構成し、帯域は6kHzです。

中間周波増幅部
2SK241による2段の増幅です。IFTの2次側コイルは使わず、ハイインピーダンスで次段に渡しています。

検波・AF増幅
中間周波増幅コレクタ出力をハイインピーダンスで受け検波するとともにAGC電圧を作り、高周波と中間周波増幅に戻しています。また検波出力をAF1段増幅しています。

スケルチ
AGC制御された中間周波2段目のソース電圧は無信号の場合高くなるため、その電圧を利用し、AF増幅のベースをスイッチングしてスケルチにしています。この回路は1970年代でしたかCQ誌の「私の工夫」で発表され、その後同じ考え方の回路が井上のIC−71に採用された。と私の独断的記憶にあります。

Sメータ用検出回路
2段目の中間周波増幅2SK241のコレクタから倍電圧検波してSメータ用の電圧を作っています。

パワーアンプ
お決まりのLM386によりスピーカを鳴らしています。


送信部
局発、混合回路
10.24MHzの周波数を発信し、VXOからの40M台の周波数をSN16013Pにて混合し50M台の周波数を作ります。AMの場合受信周波数にゼロインするのは難しいため、ゼロビートをとる意味でキャリブレートのスイッチをつけています。

増幅・ファイナル回路
2SK439と2SC1906により信号を増幅しファイナルの2SC1971にドライブをかけます。0.5W機で1971は少し大きい気もしますが、エミッタにつながったフィンを直接アースできる魅力は隠せません。

変調回路
送信出力を決めるのはどれだけの容量の変調トランスを使うかで決まると思います。このトランシーバを設計する時、最初に決めたのは送信出力をどうするかで、私の頭では送信出力=変調トランス容量となっています。市販のトランスと言えば山水で、その中から適当な容量のものを探すと0.2W、0.7W、3Wとありますが、程々の出力ということで手持ちのST−84という0.7Wのものを使うことします。これの仕様は1次のインピーダンスが150Ω、2次は4と8Ωで質量は60gです。また出力は少し余裕を持たせて0.5Wに決めました。これであればAF増幅素子としてお馴染みのLM386が使えます。なお電源は常時加えているため受信時には3ピンに電圧をかけて動作を殺しています。またマイクはコンデンサマイクを使用しました。変調方式は終段コレクタ変調ですが、ドライバのC1906に対しても変調トランスのセンタタップ部分から変調をかけています。

モニタ回路
このトランシーバの1つの特徴はモニタ回路です。送信出力メータを振らせる回路から一部を拝借して受信部のAF増幅につなぎ、モニタ回路としました。時々は自分の電波を監視したいものです。

<完了>