7MHzSSB移動用トランシーバ(7H4)

はじめに(2019/4/4)
半世紀以上も自作をやっていると死蔵した部品が多数あり、一度は半田付けして電気を通し陽の目をみせてやりたいという気持ちがあります。2010年のハムフェアQRPクラブのブースで12.8MHzの水晶(形式:UM−5、幅7.8×高さ6×厚み3.1mm)の無償提供があり、せっかくだから何らかの形で活かそうと思っていました。周波数関係を計算するとVXOを20MHz、中間周波数12.8MHzにすれば引き算で7.2MHzとなるため7MHzトランシーバーが作れそうです。

 (左)UM−5 (右)HC49/U

ラダー型フィルタを組んでみる(2019/4/4)
UM−5という水晶は使ったことが無く、実際にフィルタとして使えるのかどうかまずは特性を調べてみることにしました。

  1. 水晶の端子間容量は実測で1.7PFでありフィルタの帯域を2.4kHzとすると計算式からC1=29PF、C2=58PFとなりました。
  2. C1=30PF、C2=56PFを使って8素子のラダー型フィルタを組んだところ帯域は2.7kHzほどになりました。

  8素子水晶フィルタ

◆送信部の実験(2019/4/12)

  1. これまで作ったトランシーバーの送信部は狭帯域増幅で進めてきましたが、今回は違うことをやりたくなり広帯域増幅を試行してみます。
  2. 回路実験を繰り返して下記回路に落ち着きピークで3W出るようになりましたが、下記データシートを見ると2SC2078の10V時における直線性からは2W程度に抑えておいた方がよさそうで、運用の時はがなりたてないようにします。hi
  3. 励振増幅の2SC2086には無信号時でも25mAといコレクタ電流を流しています。これはA級増幅で歪の少ない増幅をさせるための処置です。
  4. 増幅素子の入出力インピーダンスを合わせることが効率の良い増幅であり、T13とT14の設計については「無線機の設計と製作入門」を参考にしています。

 
(左)送信部の回路を検討 (右)各電圧における2SC2078の入出力特性

仕様(2019/4/19)
UM−5の水晶フィルタが使えそうなので、まずはラグ板にて回路を組みながら実験を進め、最終的にはプリント基板を作ってFT−817サイズにまとめる予定です。

  1. 周波数 : 7.080〜7.190MHz
  2. 送信出力 : 2W
  3. 終段 : 2SC2078
  4. 受信部 : 高1中2シングルスーパー
  5. 中間周波数 : 12.8MHz
  6. 電源 : 単3ニッケル水素8本(9.6V)
  7. サイズ : 幅130×高さ42×奥行き120mm(突起部を含まず)
  8. 質量 : 655g

 ラグ板に組んだ回路検討中の試作機

◆充電池について(2019/4/19)
電源には単3のニッケル水素充電池8本を使います。これまではパナソニック(三洋)のエネループを使ってきましたが、けっこう高い(高くなった)という印象がありました。ネットで調べたところ富士通の単3スタンダードモデルが同等の仕様であり、ヨドバシカメラでは単3×4のセットが910円(税込)と安く、大阪駅前の店で2セット購入しました。通販でも送料込みで910円のようです。FDK(富士電気化学)トワイセル製でエネループもここで作っていおり、両者の性能を比較したデータがネットに紹介されています。

基板の設計(2019/5/10)
プリント基板は主基板が120×90mm、励振+終段部基板が120×27mmという2枚に分けることにしました。AR−CADという無料アプリを使って部品のパターンを登録し、その部品を基板上に並べながら配置を決め、部品同志を幅1mmの線でつなぐという作業の繰り返しです。この基板パターンは初めてのため、書いては印刷して赤鉛筆でチェック、ミスを見つけては再度チェック。全体のバランスを見ながら部品配置を変更するなど1ヶ月以上かかり、集中し過ぎると全体が見えなくなることもあり、気分転換を入れながらも根気が必要な作業です。

 設計中の基板

◆基板の穴あけ(2019/5/31)

  1. プリント基板は秋月で購入したガラエポ150×100×1mm厚(10枚1500円)を必要サイズに切断して使います。
  2. 設計した基板のパターンを裏返してプリントし、表裏面に50mm幅の透明テープを貼って補強し、両面テープでガラエポ基板の銅箔面に貼り付けます。
  3. プロクソンの小型卓上用ボール盤にφ1超硬ドリルをチャックし、印刷したパターン図の部品のリード線を通す穴の中心を狙って根気良く開けていきます。
  4. 7Kコイルやトリマを取り付ける穴は1.2mmのドリルを使って拡大します。
  5. 穴あけ残しが無いか太陽光で透かしながらチェックします。
  6. チェックが終わったらパターン図をはがします。

 
(左)パターン図の上から穴あけ (右)太陽光に透かして穴明け忘れが無いかをチェック

◆パターン書き(2019/5/31)

  1. 感光基板ではなく、細いマジックインキを使ってパターンを手書きするという伝統的な方法です。
  2. 穴明けの終わった基板をスチールタワシやサンドペーパー等で磨いて表面のバリを取り、水洗してから乾かし、シンナーで油分を取ります。
  3. パターン図を見ながら銅箔面にマジックインキで書き写し、銅箔面が透けて見えない程度まで何度も上塗りします。
  4. 銅箔面には手の油が付かないよう手袋をするか、ティッシュ等で押さえるようにします。
  5. パターンを書き間違えた場合は @千枚通し等尖ったものを使ってパターンを削り取る Aシンナーを綿棒に含ませてぬぐい取る 
  6. グランド面はできるだけ広く取れるようパターンを書き進めます。

 パターンを書き終えた基板

◆基板のエッチング(2019/6/7)

  1. 以前、心斎橋のKAWACHIという画材店で購入した塩化第二鉄溶液(500cc 388円)が残り少なくなってきました。
  2. 同じものを買いに行ったところ店舗は心斎橋の東急ハンズへ移転し、処理剤付き200ccのものに替わり高価になっていました。
  3. 処理剤とセットになったサンハヤトのものは日本橋にて200ccで770円ほど1000ccで2500円ほどです。
  4. ネットで探したところ「ゆめ画材」にて500ccが400円(送料込みで990円)、2000ccは1555円+送料680円=2235円です。
  5. あと何年自作できるかわかりませんが、さすがに2000ccは多すぎるので500ccを注文することにしました。

 
(左)サンハヤト200cc、腐食液500cc (右)腐食液2000cc
 

 エッチングが終了した基板

◆ケース作り(2019/6/21)

  1. 正面パネルは1.5mm厚、他は1mmのアルミ板を使って箱型のケースを作ります。
  2. 慎重に作っても寸法どおりにはいかず0.5mmほどのズレが出ることもあるため、部材は一気にすべてを作るのではなく、1つ作っては他の部材と組み合わせて確認し、ズレがあれば長穴加工するなどの微調整してから次の部材を作ると言った手順を踏みます。
  3. 1mm以上のズレがある場合は微調整するよりも作り直した方が良いでしょう。
  4. 各部材はM2×4のビスでつなぎ、正面パネルに現れる部分は丸皿ビス、沈み込ませるため箇所は皿ビス、他はナベまたはトラスを使います。
  5. ドリルはφ2.2を使いますが、微妙にズレがあるときはφ2.5のドリルで穴径を拡大し、四角い箱になるよう組立てます。
  6. 上下のカバーを固定する部分はM3のカレイナット8個を使い、側面のパネルに圧入しました。

ケースを組立てたところ

部品の取り付け(2019/6/14)

  1. 基板のエッチングが完了したらいよいよ部品の取り付けです。
  2. 四隅にM2の高ナットを取り付けておくと半田付け時に基板が安定します。
  3. 背の低い部品から取り付け、それが終わったら背の高い部品を取り付けるというのが基本です。
  4. VX0部は0.6mmのアルミ板を加工してカバーを作りました。静電シールドというよりは外部からの急激な温度変化を緩やかにするという効果を狙っています。
  5. 単品で作る場合はパターンミスの可能性があるため、単独で動作確認できる部分(マイクアンプ部、スピーカー増幅部、送受切り替え部等)は事前に動作確認しておきましょう。
  6. 終段のトロイダルコアが巻き線だけでは不安定なためグルーガンで固定してみました。加熱の待ち時間が3分ほど、固定する箇所に押し出せばすぐに固まって接着ができます。

 基板の四隅に高ナットを取り付けると半田付けの時に安定する

 
(左)VXOカバーを外したところ (右)支柱の高ナットに皿ビスでカバーを取り付けたところ

 終段のトロイダルコイルはグルーガンで固定

◆ケースへの基板取り付け(2019/6/21)

  1. 基板は2mmのビスを使ってケース内の中間パネルに取り付けます。
  2. 配線にはφ0.3の単線を使い、送信部(青)、受信部(赤)、共通部(黄)、AGC部(緑)のように色分けし、あとからチェックしやすいようにします。
  3. 高周波が通る箇所は同軸0.8QEVを使い、低周波が通る箇所は細いシールド線を使います。

 

スピーカーの取り付け(2019/6/21)

  1. スピーカーは前側のカバーに取り付けますが、スピーカーが基板上の部品と干渉しない箇所を事前に確認し、端からの寸法をメモしておきます。
  2. スピーカーの穴は画像のように60度を基本とし、全体に均一になるようCADで加工穴位置を示すものを作りプリントします。
  3. プリントしたものを両面テープでカバーに貼り付け、その上からφ2.2のドリルを使って穴をあけます。
  4. スピーカーの取り付け1mmのアルミ板をL型に曲げたものを4個作り、四隅で固定しました。

 
(左)CADで書いた加工穴位置図 (右)スピーカー穴

 スピーカー取り付け金具

 外観(質量:655g)

出力波形の観測(2018/6/28)

  1. 完成した7H4機の出力波形を観測してみました。アンテナ端子に50Ωのダミーロードを取り付けデジタルオシロ(テクトロ:TB1052B)で測定です。
  2. ツートーンジェネレータの波形では交差部が「X字」になっているのでクロスオーバー歪はなさそうですが、入力を増やすと飽和波形になりました。
  3. FFTによる観測では目立ったスプリアスはなさそうです。

 2トーンジェネレータによる波形

 2トーンジェネレータによる飽和波形

 FFT波形(X軸の1目盛り5MHz)

<完了>


参考文献

1.無線機の設計と製作入門 鈴木憲次著 CQ出版社

2.トロイダルコア活用百科 山村英穂著 CQ出版社