ダミーアンテナ 戻る
◆ダミーアンテナとは (2010/04/03)
当HPでは 「アンテナの代わりとして特定の周波数でSWRが1.0になるダミーロード」 と定義します。送信する電波に目的外周波数成分(スプリアス)が含まれていれば、その程度にもよりますがSWRは1.0にはならないため、製作した送信機は設計あるいは調整が不十分と考えられ、その状態でアンテナをつないではいけないと判断するためのものです。そのような目的のためスペアナを持っている人は作る必要はありません。
◆ダミーアンテナを作ろうとした背景
(2011/05/27)
50Ωのダミーロードを負荷に、モニタで送信音を聞きながら送信機の調整を進め、これでよしとアンテナをつないでみると妙にSWR値が悪く、その段階でスプリアスが出ていることに気づいたことがありました。電波を外部に発信してしまう前に、アンテナの代わりとして特定の周波数でSWRが1.0のものがあれば、こんなことにはならないのになと思い、そこから考えました。
◆ダミーアンテナの原理 (2010/04/17)
R(抵抗)、L(コイル)、C(コンデンサ)で直列共振回路を組み、そこに高周波電圧を加えます。回路が共振したとき、回路のインピーダンスZは最小になり Z=R となります。もしスプリアスなどの目的外周波数成分が含まれていれば、ZはRよりも大きくなりSWR値は1.0にはなりません。
Z=SQRT(R^2+(ωL−1/ωC)^2)
◆SWR値とは (2011/05/27)
進行波電力=Pf、反射波電力=Pr とすると SWR=(√Pf+√Pr)/(√Pf−√Pr) であり 進行波1000mW(1W)に対する反射波とSWRの値は表のようになります。ただしスプリアスがどの程度反射波として戻ってくるのかは判らず、今後の課題にしたいと思います。
進行波(mW) |
反射波(mW) |
SWR |
1000 | 1 | 1.07 |
1000 | 5 | 1.15 |
1000 | 10 | 1.22 |
1000 | 50 | 1.58 |
1000 | 100 | 1.92 |
ダミーアンテナの使い方 (2011/05/27)
7MHz用 (2011/05/27)
50MHz用 (2010/04/03)
◆送信機を異常動作させてテスト
50MHzトランシーバ→SWR計→ダミーアンテナの順で接続し、送信部を調整し異常動作させると、SWRは3に跳ね上がりました。ピコ6でモニタしていても異常動作が始まるときに「カチン」というだけで、モニタした音は特に歪が感じられません。トランシーバを作った初期の段階でダミーロードで調整しているとき、パワーが思いのほか出て喜んでも、実は異常動作であったと気づくことがあります。アンテナをつないで異常電波を発射しては迷惑になるので、その段階でダミーアンテナを使ってSWRを確認しておくことは有効でしょう。
144MHz用 (2010/04/03)
51Ωの抵抗、空芯コイル、30PFのタイトバリコンを直列につなぎ、BNCコネクタに接続しました。
FT817から144MHzの波を加えSWR計を見ながらバリコンを調整しますが、51Ωの抵抗ではSWRは1.2以下にはならなかったため、43Ωに変更したところでSWRは1.0になりました。共振してもL、Cや配線のR成分の影響が出ているのかも知れません。
SWRは3点測定しましたが、144,145,146MHzのいずれでも1.0です。
◆間違えた周波数に同調させた場合(2011/05/27)
VXOの周波数が132MHz、中間周波数が12MHzの場合、周波数変換部で 132+12=144 として144MHzを作ります。しかしここでコイルの同調周波数を間違え 132−12=120 として 120MHzに同調させてしまうことがありました。この状態で144のアンテナをつなぐとSWRが極端に悪く、その段階で調整の間違いに気づきます。こういった場合にもダミーアンテナで確認しておけば電波を外部に発信してしまう前に気づくことができます。
<完了>