ラグ板配線方式

◆はじめに(2001/7/7)
自作には作る楽しみと共に改造する楽しみがあると思います。そのためには改造しやすい配線方式を選ぶ事が必要です。部品を固定する道具にはいろいろな物があり、プリント基板はその代表選手ですが、大量生産には向くものの部品交換がしづらく回路変更となると更に大変です。ここでは私が愛用しているラグ板による配線方法を紹介しましょう。


◆ラグ板とは(2007/01/18)
ラグ板には、絶縁材としてベークが使われており、平ラグ板にはラグが両側にカシメられています。片側のラグの数によって10Pとか15Pとか呼ばれており、下の写真は「8Pの平ラグ板」と呼びます。また、市販されているものは2Pから20Pまで各種あります。またちょっと部品を取り付けたいときは、L型ラグやスタンドオフ端子を使います。卵ラグはアースするときに使います。

   
             平ラグ板                      L型ラグ板            スタンドオフ端子                卵ラグ


◆平ラグ板の固定(2007/01/18)
M3×12mmのビスをシャーシにナット2個使って固定します。すなわちシャーシからナット2個分(約5mm)ラグ板を浮かすわけです。そしてラグの端にある穴をビスに通してから、ナットを使ってラグ板を固定します。

 
   ビスをナット2個で固定               ラグ板の固定


◆部品の取り付け方(2007/01/18)
次は部品の取り付け方です。ラグの穴に部品の足をいれますが、穴とピッチが合わないときは、足をラジペンで曲げて、丁度穴に入るようにしましょう。そこに半田を流せば、部品はしっかりと固定されます。

  
10Kコイルの足をラグ板の穴の中に丁度入るよう、ラジペンで外側に広げます。また1次側にある3本の足のうち、真ん中の1本はニッパで2mmほど切り落としてください。

  
8ピンのICは中の4本のピンを外側に90度折り曲げます。外側の4本は少し外に広げ、ラグ板の穴に入れます。

  
        1/4W抵抗                 1/6W抵抗              絶縁はエンパイヤチューブで  

  
        TR/FET               卵ラグによるアース            水晶のアース方法

 
端子が足らないときは空中配線も併用    9ピンのICは逆さにして配線


◆ラグ板用配線図の例
回路図が決まったら実体配線図を考えます。どう部品を配置すれば最短距離の配線ができるか、端子数をより少なく済ますことができるか、アースをちゃんととって安定動作させるか、などなど頭を使いますが、リグ作りの中でも楽しい時間です。高周波が流れるインピーダンスの高い部分は短い配線で、インピーダンスが低い部分で長く引き回す場合は、細い同軸(0.8QEVなど)を使います。


◆ラグ板の再利用(2003/5/24)
ラグ板を何度も使うと汚れてくるため、時々は掃除をしてやることが必要です。ラグについた半田は半田ごてを使ってきれいに流し取り、ベーク板についたヤニはラッカー用うすめ液(シンナー)で落としましょう。ボロ布に液を含ませ、軽くこすれば取り除くことができます。

  
           ヤニのついたラグ板                           シンナーでふき取り               ラッカー用うすめ液


◆実験用ボード(2003/8/31)
実験用ボードとして下の画像のものを作りました。1mm厚のアルミ板の周りに18*9mmの木材をネジ止めし補強します。アルミ板の上には20Pの平ラグ板2枚を固定しました。


◆ラグ板配線の長所と短所

長所

  1. 部品の取り付け、取り外しが片面からでき作業性が良い。プリント基板やユニバーサル基板は裏面からの作業になり、ケースに取り付けてしまうと作業がしづらい。
  2. 片面からの配線のため、配線後の回路チェックがしやすい。
  3. 繰り返しラグ板を使える。リサイクルに向いています。

短所

  1. 直線的な回路は組みやすいが、差動増幅のような複列になるものは組みにくい。
  2. スペースを多くとる。おおよそですがプリント基板の3倍は面積が必要です。
  3. 材料のベークが使える周波数は100MHzと言われています。144MHzでの使用実績はありますが、430は無理でしょう。

◆ラグ板配線を始めた背景(2007/01/19)

  1. 真空管でリグを作っていた頃は、部品を真空管のソケットやIFTなどの端子、そしてL型ラグを使って取り付け配線をしていました。リグが完成した後も、ちょっとした回路変更や部品交換が容易で自作を楽しんでいたのです。1960年の後半からシリコントランジスタが安価で出回るようになり、プリント基板で回路を組んでみたところ、中々すっきりして見栄えも良く、ちょっと得意になりました。しかしちょっとした回路変更もほとんど出来ず、不自由さも同時に感じていました。
  2. 1970年ごろのCQ誌にラグ板配線による送信機やクリコンの製作記事があり、こんなやり方もあるのかと、ラグ板配線を始めるようになりました。学生時代の春休みに九州へ旅行する事になり、それならばトランシーバを作って持って行こうと6mAM機の製作が始りました。バラック実験ではうまくいったものの、いざプリント基板にすると受信部が発振。パスコンを追加したりと対策をしましたが、不安定動作は変わりません。出発の前日、Wスーパー方式を諦め超再生に変更。いそいでプリント基板を作り、ケースに取り付けて出発。1週間程の旅行中は結局1度も交信できずに帰る事になりました。プリントパターンを考える技術が未熟だったわけですが、以来試作でうまく行くならそのまま完成品にしてしまえと、ラグ板配線による完成品の作成が始ったのです。
  3. バラック実験をやっても実運用をすると問題点が見えて来ます。日々新しい情報が入り自分自身もレベルアップすると、一度作ったリグを改造したいと思うようになりますが、一端プリント基板にしてしまうと、回路の修正や部品の交換はなかなか大変です。空中配線、FCZ基板など皆さん工夫されて自作を楽しんでいますが、このラグ板配線方式もそのうちの1つで、真空管時代の自由さを、トランジスタの世界で再現しているとも言えるのです。

<完了>