プリミックスVFOの製作

◆はじめに(12/10/13)
このHPで紹介しているトランシーバでは全てVXOを使っています。周波数が安定しているという点では非常にメリットがありますが、発振周波数が水晶によって限定されたり、可変範囲が狭いというデメリットも併せ持っています。ならば発振周波数が安定し、周波数設定が自由なプリミックスVFOを作ってみるかと回路実験を進めることにしました。


7MHz版

◆プリミックスVFOとは(12/10/13)
周波数が可変できるVFO部と、周波数が固定の水晶発振部の周波数を混合して目的の周波数を作るものです。水晶部で安定な発振周波数を作り、VFO部で必要な可変範囲を設定できる便利さがありますが、反面不要な周波数成分が出来てしまうので、BPFを通し取り除くことが必要になります。

周波数構成は(12/10/20)
7MHzSSBトランシーバ7S1機の外部VFOとして使えるような周波数構成とします。VFO部は3〜3.2MHz、水晶発振部は16MHz、それを混合して19〜19.2MHzの出力を作り、7S1機に注入します。

◆まずはVFOから(12/10/13)

  1. 回路はコルピッツ発振回路で、次段にバッファをいれ負荷の変動を発振段に影響しないようにしています。
  2. ポイントになるコイルは温度係数の低いアミドンのT37−6に巻き、エポキシ系の接着剤で固めて機械的に安定にします。
  3. コイルと並列に接続するコンデンサはサトー電気で購入した温度補償セラミックコンデンサを使用しました。
  4. 同調回路のコンデンサは出来るだけ固定のものを使い、最終的な微調整用に10Pのセラミックコンデンサを使いました。
  5. 抵抗も実験時はカーボン皮膜ですが、最終的には金属皮膜に置き換えようと思います。
  6. 電源は3端子レギュレータを通して安定化した電圧を供給します。
  7. 最終的にはVFO部をシールドケースに入れ、周囲温度の影響を緩やかに受ける構造とします。

水晶発振、DBM、バッファアンプを追加(12/10/20)

  1. 水晶発振部にて16MHzの信号を作ります。
  2. 混合部はアイソレーションの良いDBMとし、VFO部と水晶発振部からの信号を合成することで、16+3=19,16−3=13 の2つの信号が出来ますが、次段のBPFで19MHzの信号を取り出します。また入出力には300Ωと18Ωの抵抗で作った−3dBのパッドをいれ、インピーダンスのミスマッチを緩和します。
  3. DBMからの出力は2段のBPFを通してバッファアンプで増幅し、約0.25Vの出力電圧を得ます。

7S1機に19MHzを注入(12/10/20)
3MHz(VFO)+16MHz(水晶)=19MHzの出力を7S1機に注入してみました。バラック実験なのでケースには入れていませんが、手を近づけたり息を吹きかけない限り周波数は安定で、とりあえずは普通に使えそうです。

 

DBMについて(12/10/27)
DBM(ダブルバランスドミクサー)をこれまでなんとなく使ってきましたが、動作原理が良くわかってないので、「トロイダルコア活用百科 山村英穂著 CQ出版」で調べることにしました。以下は本からの引用です。 

  1. LO(局発信号)はダイオードをスイッチングするため十分な電力が必要。一方RF信号はその動作を乱さないよう十分にレベルを低くする。
  2. DBMの各ポートは数十Ωのインピーダンスで取り扱う。
  3. DBMの歪特性の悪化防止のため、3dB程度のパッドを入れることでSWR≦3を確保。
  4. ダイオードは非直線性素子のためLOの負荷としてよいものではなく、DBMとLO双方の動作安定化のためパッドを入れる。

 

本プリミックスVFOではDBMの3ポート全てに3dBのパッドを入れていますが、LOは必須としても他は省略している製作記事を見ることがあります。抵抗3本のことなので、信号が弱くなるとは言え入れておいたほうが安心な感じはします。また実験当初よりもLO(16MHz)の信号を強くし、VFO(3MHz)の方を弱くしてみました。その結果TP3の信号が弱くなったので、2SK241のソースRを100Ω→10Ωに変更しました。

ダイヤルの直線性(12/10/28)
VFOには周波数直線性のエアーバリコンを使い、14:1のギヤーメカで減速しています。ツマミの回転に対する周波数の直線性を調べてみると下のグラフのようになりました。基準として引いた紺色の線に対しVFOはピンク色の線になり、多少のうねりはありますが、ダイヤル中央部はほぼ直線に近い関係になりました。

VFOの周波数変動(12/10/28)
電源ON後にどの程度の周波数変動があるかを調べました。VFOを保温ケースに入れて24時間放置し、周波数カウンタの電源を入れた90分後から測定を始めました。30分経過でも周波数変動は50Hzほどであり、数分で実用レベルに達していると言えるでしょう。


144MHz版

144MHz用プリミックスVFO(2014/12/27)
144MHz用としては 8MHz(VFO)+41.333MHz(Xtal)×3逓倍=132MHz という構成を考えました。VFOコイルに使うコアは温度係数の低いT37−6で、これに0.5ウレタン線を23回巻きました。試作ではポリカーボネイトのM3ネジに樹脂のワッシャではさみ、ナットで固定しています。

 
(左)T37−6にウレタン線を巻いたVFOコイル (右)プリミックスVFOの回路実験

水晶発振部(2015/1/10)
41.333Mzで発振し、その後3逓倍して124MHzを作り、バンドパスフィルタを通して周波数変換部に信号を供給します。

 水晶発振部

周波数変換部と増幅部(2015/1/10)
TA7358APにVFOからの8MHzと水晶発振部からの124MHzを加え、合成した132MHzを取り出し、BPFを通し2SK439で増幅します。

 周波数変換部+増幅部

スプリアス対策(2015/1/10)
回路を組んで144S5機にプリミックスVFOの信号を注入したところ、ダイヤルを回すとあちこちにプチプチという強いスプリアスが現れました。8MHzVFOの出力はそのままTA7358APの8ピンにつないでいましたが高周波電圧が0.2Vほどあり、これでは強すぎて飽和しているようです。そのため出力に3.3KΩと150Ωでアッテネータを組んで出力を落とすことによりスプリアスを軽減しました。4ピンや8ピンの入力電圧は50mV以下にしておくことが無難です。またプリミックスVFOの出力電圧は60mVです。

実際に使ってみて(2015/1/17)
144MHzプリミックスVFOを144S5機の外部VFOとして使ってみると、極端な温度変化さえなければ結構安定して使えるものということが判ってきました。VHFのような高い周波数で安定した出力を得るにはVXOに軍配が上がりますが、HFならばVFOでも十分に使えそうです。発振周波数を自由に設定できる。可変範囲も思いのままというのもVFOのメリットでしょう。