144H4機のスプリアス測定       ホームに戻る

新スプリアス規格(2025/9/12)
144H4機における @帯域外領域 Aスプリアス領域 について測定してみます。なお、以下の測定に関しては現時点で私が理解している範囲で進めており、理解不足の点があれば今後修正していきます。

 JARDの資料から

無線設備規則 第一章 第二節 第七条 別表第三号(令和5年12月22日施行) から抜粋

今回の測定は下表の赤字部が該当

基本周波数帯、モード

空中線電力

帯域外領域

スプリアス領域

BN(必要周波数帯)

±2.5BN

30MHz以下、SSB
(41項にアマチュア用の例外規定あり)

1W〜5W

50mW以下かつ40dB

50μW以下

4kHz未満

±10kHz

1W以下

100μW以下

5054MHzSSB(J3E)

1W50W

1mW以下かつ60dB

60dB

25kHz未満

±62.5kHz

1W以下

100μW以下

50μW以下

144〜146MHz、SSB(J3E)

1W50W

1mW以下かつ60dB

60dB

1W以下

100μW以下

50μW以下

430440MHzSSB(J3E)
(10
項にアマチュア用の例外規定あり)

1W50W

1mW以下かつ60dB

60dB

1W以下

100μW以下

50μW以下

不要発射測定周波数範囲

送信周波数の範囲

測定周波数範囲

9kHz〜100MHz

9kHz〜1GHz

100MHz〜300MHz

9kHz〜第10高調波

300MHz600MHz

30MHz3GHz

600MHz5.2GHz

30MHz〜第5高調波


帯域外領域の測定(2025/9/12)

  1. 144H4機(144.200MHzを発振、無変調)→BNC/SMA変換コネクタ→SMAケーブル→スペアナ の順に接続する。
  2. スペアナは144.200MHzを中心に±65kHzを表示する。
  3. 必要周波数帯BNは25kHz未満、帯域外領域は±62.5kHz、RBWは200Hz。
  4. 帯域外領域では 2T=144.1873MHz の -69.5dBm(0.11pW) が最大であり、規格の100μ以下に納まっている。

測定環境

スプリアス

周波数

電波形式

飽和電力

必要周波数帯幅

帯域外領域

RBW

アッテネータ

周波数

強度

規格限度値

判定

144.2MHz

J3E 無変調

0.25W (24dBm)

25kHz

±62.5kHz

200Hz

なし

144.1873MHz

0.11pW

100μW以下

適合

 帯域外領域(144.135〜144.265MHz)


スプリアス領域の測定(2025/9/12)

  1. パソコン(1500Hz)→144H4機→パワー計の順に接続する。
  2. パソコン(1500Hz)の音を大きくし、パワー計が飽和した電力の80%程(≒0.2W)になるよう音を絞り、低周波電圧計(ミリバル)の値を読む。(3.5mVでした)
  3. パソコン(疑似音声)→144H5機→パワー計の順に接続し、1500Hzの時と同じ低周波電圧(3.5mV)になるよう疑似音声の音量を調整します。
  4. なお疑似音声の”ザー”という音は音量が一定ではなく電圧計の針は細かく振れます。また出力は1500Hz時に比べ約1/3 (70mW)に減りました。
  5. パソコン(疑似音声)→144H4機→BNC/SMA変換コネクタ→30dBアッテネータ→スペアナ の順に接続する。
  6. スプリアスとしては2Tの156.9MHzが-48.8dBm(13μW)で観測でき、規格内に納まりました。
  7. 本機についてはケース内のスペースが不足しているため、追加のフィルタは入れていません。

測定環境

スプリアス

周波数帯

電波形式

飽和電力

測定周波数範囲

アッテネータ

周波数

強度

規格限度値

判定

144.2MHz

J3E

0.25W(24dBm)

9kHz1.5GHz

30dB

156.9MHz

13μW

50μW以下

適合

 スプリアス領域(9kHz〜1.5GHz)

◆測定を終えて(2025/9/12)
スプリアス測定のためスペアナの画面を見ていると、スプリアスをゼロ(≒60dB以下)にしたいという気持ちが湧いてきます。そのためにフィルタを各所に追加することになりますが、その分回路は複雑になり損失も増えます。新スプリアス規格では1W以下の機器についてはそこまでは求めておらず、50μW以下に納まればOKです。144H4機は出力250mWなので、特にフィルタを追加することなく規格内に収まりました。ただ調整時にはスペアナの画面を見ながら主出力は最大に、スプリアスは最小にすることが必要で、パワー計だけで調整すると間違ったポイントに合わせてしまうことがあり、高い周波数になればなるほど注意が必要です。

<完了>


参考資料

  1. 総務省無線設備規則
  2. JARDのスプリアスに関する資料
  3. CQ出版社 ダウンロードサイト 疑似音声発生器の製作
  4. ITU-T G.277準拠疑似音声発生サイト