144H5機のスプリアス測定       ホームに戻る

新スプリアス規格(2025/8/22)
144H5機における @帯域外領域 Aスプリアス領域 について測定してみます。なお、以下の測定に関しては現時点で私が理解している範囲で進めており、理解不足の点があれば今後修正していきます。また、何度かデータを取り直しており、測定したときの電池電圧やトリマの位置によって0.5W〜0.7Wまでバラつきがあります。中を取って0.6Wとしますが、統一性がない点はご容赦ください。

 JARDの資料より

無線設備規則 第一章 第二節 第七条 別表第三号(令和5年12月22日施行) から抜粋

今回の測定は下表の赤字部が該当

基本周波数帯、モード

空中線電力

帯域外領域

スプリアス領域

BN(必要周波数帯)

±2.5BN

30MHz以下、SSB
(41項にアマチュア用の例外規定あり)

1W〜5W

50mW以下かつ40dB

50μW以下

4kHz未満

±10kHz

1W以下

100μW以下

50〜54MHz、SSB(J3E)

1W50W

1mW以下かつ60dB

60dB

25kHz未満

±62.5kHz

1W以下

100μW以下

50μW以下

144〜146MHz、SSB(J3E)

1W〜50W

1mW以下かつ60dB

60dB

1W以下

100μW以下

50μW以下

430440MHzSSB(J3E)
(10
項にアマチュア用の例外規定あり)

1W50W

1mW以下かつ60dB

60dB

1W以下

100μW以下

50μW以下

不要発射測定周波数範囲

送信周波数の範囲

測定周波数範囲

9kHz〜100MHz

9kHz〜1GHz

100MHz〜300MHz

9kHz〜第10高調波

300MHz600MHz

30MHz3GHz

600MHz5.2GHz

30MHz〜第5高調波


T型フィルタとLPFを追加(2025/8/22)
144H5機のスプリアスは2倍波の43μWが最大でギリギリ規格内には収まっていますが、満足できる数値ではないためフィルタを追加した基板を新作しました。2SC1906の入力段にT型フィルタ(A)、2SC1970の出力段にLPF(B)を入れました。

 追加したフィルタ


帯域外領域の測定(2025/8/22)

  1. 144h5機(144.200MHzを発振、無変調)→BNC/SMA変換コネクタ→SMAケーブル→スペアナ の順に接続する。
  2. スペアナは144.200MHzを中心に±65kHzを表示する。
  3. 必要周波数帯BNは25kHz未満、帯域外領域は±62.5kHz、RBWは200Hz。
  4. 帯域外領域では 2T=144.2189MHz の -65.7dBm(269fW) が最大であり、規格の100μW以下である。

測定環境

スプリアス

周波数

電波形式

飽和電力

必要周波数帯幅

帯域外領域

RBW

アッテネータ

周波数

強度

規格限度値

判定

144.2MHz

J3E 無変調

0.6W (27.8dBm)

25kHz

±62.5kHz

200Hz

なし

144.2189MHz

269fW

100μW以下

適合

 帯域外領域の測定


スプリアス領域の測定(2025/8/22)

  1. パソコン(1500Hz)→144H5機→パワー計の順に接続する。
  2. パソコン(1500Hz)の音を大きくし、パワー計が飽和した電力の80%程(≒0.5W)になるよう音を絞り、低周波電圧計(ミリバル)の値を読む。(5.5mVでした)
  3. パソコン(疑似音声)→144H5機→パワー計の順に接続し、1500Hzの時と同じ低周波電圧(5.5mV)になるよう疑似音声の音量を調整します。
  4. なお疑似音声の”ザー”という音は音量が一定ではなく電圧計の針は細かく振れます。また出力は1500Hz時に比べ約1/3 (0.15W)に減りました。
  5. パソコン(疑似音声)→144H5機→BNC/SMA変換コネクタ→30dBアッテネータ→スペアナ の順に接続する。
  6. スプリアスとしては2Tの287.3MHzが-59.1dBm(1.2μW)で観測できました。

測定環境

スプリアス

周波数帯

電波形式

飽和電力

測定周波数範囲

アッテネータ

周波数

スプリアス

規格限度値

判定

144.2MHz

J3E

0.6W (27.8dBm)

9kHz1.5GHz

30dB

287.3MHz

1.2μW

50μW以下

適合

 スプリアス領域の測定(9kHz〜1.5GHz)

<完了>


参考資料

  1. 総務省無線設備規則
  2. JARDのスプリアスに関する資料
  3. CQ出版社 ダウンロードサイト 疑似音声発生器の製作
  4. ITU-T G.277準拠疑似音声発生サイト