14MHzダイポール                ホームに戻る

◆はじめに(2023/8/18)
1995年11月号のCQ誌P182に「インビジブルアンテナの研究 構成・実験 JA6HW 角居洋司」という記事がありました。インビジブルアンテナとは周囲から目立ちにくいアンテナのことで、木造家屋の屋内に張るアンテナの実例を上げ説明されています。メリットとしては @安価に出来る A納得いくまで調整できる Bメインテナンスが楽である C台風でも心配ない とあります。反面 @能率の低下 A建材や屋内配線の影響を受けて分布容量が高くなる B屋内配線に隣接しているためインターフェアが発生しやすい といった問題点もあります。とは言え限られた条件の中で作る面白さや、高所作業の危険性から回避出来るというメリットもあります。

 CQ誌 1995年11月号の特集ページ


インビジブルアンテナ(2023/8/18)

  1. 1995年3月に入居した我が家の屋根はカラーベストという薄いスレートの瓦が葺かれています。
  2. 記事を参考に屋根裏にはインビジブルアンテナとして @7MHzベントタイプダイポール A50MHzダブルバズーカマッチダイポール B144/430共用GPを張っていました。
  3. 部屋の照明(蛍光灯)を付けるとインバータからのノイズを拾ったり、運用すると「お父さんの声がコンポから聞こえるよ」と2ndから言われ、アンプI対策をしたという経緯があり、ほぼ受信専用として使っています。
  4. 屋根は10数年おきに再塗装しており、2019年には断熱性を高めるため、断熱材を貼り付けたガルバリウム鋼鈑製の瓦をスレート瓦の上に重ねて葺いたところ、入感する信号が弱くなりました。

14MHzダイポール(2023/8/18)

  1. 屋根裏は上記の問題点があるため屋外の目立ちにくいアンテナの設営場所として、樹脂製の雨樋に沿わせる方法を思いつきました。
  2. 家の南側は全面ベランダになっており、雨樋の長さは10mで高さは6mあります。
  3. ベランダで踏み台を使えば手が届くため、設営が楽で作業上の危険性も少なくなり、足元が怪しくなってくる高齢者にとってこの点は重要なのです(hi)。
  4. ダイポールの片側は軒樋(水平部)に沿わせ、もう一方は一部軒樋で、残りを竪樋(垂直部)に沿わせれば、変形とは言え一応ダイポールになるでしょう。
  5. 給電用の同軸はエアコンのホースを通す壁の穴から室内に取り込みます。

 黄色(エレメントA)、赤色(エレメントB)、白色(同軸3D2V)、ピンク(バラン)


雨樋の支持金具に取り付けたバラン部を下から撮影

 最初に設営したエレメントの長さ

共振周波数は13.2MHz(2023/8/18)

  1. 空中に張ったアンテナは短縮率が95%前後になりますが、屋内に張るインビジブルアンテナは、製作記事(*1)によると短縮率は0.82や0.89など分布容量の影響を受けて更に短くなるようです。
  2. 雨樋に沿わせてダイポールを張り、給電した同軸の先にループを付け、ディップメータで共振周波数を測定すると13.2MHzでした。

 ディップメータでアンテナの共振周波数を測定

エレメントを短くする(2023/8/25)

  1. まずは0.2m切って共振周波数の変化を見ると13.45MHzでした。
  2. 更に切り進め合計0.5m切ってエレメントA,Bの長さは4,5mになり、共振周波数は14.2MHzで短縮率は0.85となりました。

 エレメントを切って共振周波数を測定

 最終的なエレメント長は4.5m

SWR特性(2023/8/25)

  1. アンテナチューナー無しのSWRは最低でも1.2で、インピーダンスメータで測定すると42Ωでした。
  2. アンテナチューナーを入れるとSWRは1.0まで落ち、バンド内はSWR1.5以内に収まりました。

 
(左)SWR特性 (右)アンテナチューナー無しの14.2MHzにおけるインピーダンスは42Ω

◆RFIにはご注意(2023/8/25)
障害物の無い空中に高く上げるアンテナではないため、記事によれば50Wや100Wで運用するとインターフェアが発生しており、その対策ができる局に対しては室内アンテナを楽しんでくださいとのことです。”既製品があふれ実験派ハムが少ない昨今ですが、「技術的研究業務※1」の入り口である「遊び心」にお誘いするのが本稿の狙いでした。くれぐれも「RFI」にはお気をつけください” と角居OMは結ばれています。

※1 アマチュア無線局の業務の定義の一部(電波法施行規則第3条第1項第15号)

完了>


参考文献 (*印)

  1. 「インビジブルアンテナの研究」 CQ誌 1995年11月号
  2. ダイナミックハムシリーズ 「アンテナ調整ハンドブック」 JA6HW 角居洋司 CQ出版社
  3. ダイナミックハムシリーズ 「ワイヤーアンテナ」 CQ出版社
  4. HAM Journal シリーズ7 「アパマン・ハム ハンドブック」 JJ1VKL 原岡充 CQ出版社
  5. KING OF HOBBYシリーズ 「わかるアンテナ設置のノウハウ」 JH1FOS 斎藤克己 CQ出版社