430MHzFMトランシーバー(430F1)製作編      ホームに戻る

はじめに(2026/3/27)
今年になって430MHzのFMトランシーバーを作ろうと思い立ち、まずは試作機で回路検討を行いました。細かく回路変更や調整をしながら当初目標とした性能に近づいたため、基板化してまとめようと思います。

 試作機

◆仕様(2026/3/27)

  1. 周波数 : 433.000〜433.200MHz
  2. 送信出力 : 1W
  3. 終段 : 2SC3006
  4. 構成 : FMジェネレータ部とトランスバータ部の2部構成(入出力周波数=61MHz)
  5. 中間周波数 : (FMジェネレータ部) 第1中間周波数==10.7MHz、第2中間周波数=455kHz
  6. 帯域幅 : 10kHz
  7. 周波数表示 : 周波数カウンタ PLJ-0802A を使用(オフセット周波数=382.7MHz)
  8. 電源電圧 : 12V
  9. サイズ  : 幅200×高さ70×奥行150o(突起部を含まず)

 正面パネルのイメージ図


基板設計

FMジェネレータ部(2026/3/27)
基板のサイズ150×100oをカットせずにをそのまま使います。固定機なので多少ゆとりを持った配置になりました。移動機なら基板を小さくしてもっと詰め込むことでしょう。hi

トランスバータ部(2026/3/27)
トランスバータ部は
430S2機から外した基板を使うため、サイズは150×70oになります。


ディスクリトランスを巻く(2026/4/3)
試作機は10mm角のIFTを使っていましたが、基板化する時は7mm角にします。455kHzIFT(コアは無着色の黒)を分解して巻き数を調べたところ、1次側は155tでタップは48t、2次は35t、内蔵コンデンサ(チタコン)は実測で200Pでした。このコアに0.1mmのウレタン線を160回巻いてセンタタップを取り、内蔵コンデンサは外し、ディスクリトランスとしました。

  (左)IFTを分解する (右)IFTの巻き数

  
(左)コイルを解く (中)ウレタン線を巻く (右)ケースを被せ巻き数を書く

◆プリント基板の購入(2026/4/3)
ここ数年で銅価格の上昇なのかプリント基板が随分値上がりしています。以前秋月で150×100×1mmのガラエポ10枚セット1,500円というのがありましたが、それがなくなり10枚2400円(エクール)も販売終了し、今では片面銅貼基板は扱っていません。サトー電気ではサンハヤトのものを@1,247円(150×100×1.6mm)で扱っていますが、以前の3倍弱です。アマゾンで探すと「
Aoje-Link片面銅張PCBラミネート回路基板」の150×100×1.5mm厚が5枚セット1,177円でありました。ところがカスタマーレビューを読むと悪い評価(キズ、ピンホール、反り、色違い等々)があり、買うのを躊躇していました。しかし手持が無くなってくると背に腹は代えられず、ダメもとで注文すると翌日届きました。ドキドキしながら開封すると、多少の擦り傷はあるものの問題になる程ではありません。基板の切り口に多少の難はありますが、周囲の1mm程を使わなければ良いでしょう。銅箔が薄いとの評価もありますが、大電流を流すわけでもなく、逆にエッチング時間が短くなるというメリットがあるでしょう。自作好きの方々に聞くと最近は自分で基板を作るのでは無く、中国の企業にデータを送って作ってもらっているとのことで、1枚数百円で1週間ほどで届くとか。どうりで秋月が生基板を扱わなくなってきていると納得した次第です。

エッチング(2026/4/3)
通常の銅箔が35μmであるのに対し、この基板は18μmとのことで、エッチングは通常の半分の時間(3分程度)で済みました。液から上げるタイミングが遅れるとエッチングが進み過ぎて銅箔面がまだらになるため、よく見ておくことが大切です。この基板でのエッチングは初めてで、今回は余りにも早く進み少し焦りました。


ケース作り(2026/4/10)

  1. ケースの大きさは幅200×高さ70×奥行150mmとし、正面パネルは2mm厚、他は1mm厚のアルミ板を加工して作ります。また直角部は9×9×1mmアルミのアングルを使いました。
  2. 周波数カウンタやSメータを取り付ける長方形の穴や、スピーカーを取り付ける長円形の穴は金属用の糸鋸を使って切りだし、所定の寸法になるようヤスリで仕上げます。
  3. M3のビスナットで組み立てますが、手作業であるため誤差なく曲げや穴あけすることは無理な話であり、加工した穴を丸ヤスリで広げるなどして最終的にガタの無い四角い箱になればめでたしめでたしです。
  4. ミスを早く見つけて都度修正し、何も無かったかのように見せるのが自作の真髄なのです。hi

 加工を終えたケース

◆スピーカーの取り付け(2026/4/10)
正面パネルの少し余裕があったので、スピーカーを取り付けることにしました。8Ω2Wの長円形でサイズは40×28mmです。
グリルはプリント基板と真鍮の金網を使って作り、黒のつや消し塗料をスプレーします。

 
(左)8Ω2Wのスピーカーと着色前のスピーカーグリル (右)ツヤ消し黒スプレーで着色したグリル

◆窓カバー(2026/4/10)
周波数カウンタの表示窓は正面パネルを横38mm×縦16mmのサイズで切り抜いています。144F3機では特にカバーは付けませんでしたが、本機では飾りとしてアクリルのカバーを付けてみました。3mm厚の「セピアスモーク」という色調で、横59mm×縦33mmに切り、四隅にΦ3.2の取り付け穴をあけ、袋ナットで固定しました。少し暗くはなりますが室内で使う分には支障ありません。無色透明のアクリル板で作ってみると光の透過は良くなりますが、リグのアクセントという意味合いで色付きの方を選びました。

  
(左)144F3機はカバー無し (中)窓カバー (右)外観

◆Sメータの目盛り(2026/4/10)
Sメータに使うメータはパーツ屋で見つけたバッテリーチェッカ用の物で、300μAほどの感度です。これにCADで書いた目盛りを貼り付けるとグッと無線機らしくなります。作り方は
Sメータのページをご覧ください。

 目盛りを貼り付けてSメータを作る

◆基板の取り付け(2026/4/10)

  1. ケースの上面にトランスバータ基板、下面にジェネレータ基板を2mmのビスと高さ5mmのスペーサーを使って固定します。
  2. 配線は高周波の流れる部分は1.5D2Vまたは0.8QEV、低周波が流れる部分はシールド線、直流が流れる部分は0.32SQのより線を使います。また基板内のジャンパ線は0.3単線としました。
  3. 色分けは @共通部=黄色 A送信部=青色 B受信部=赤色 CAGC部=緑色 とし、配線のチェックを容易にします。

 上面:トランスバータ部

 下面:FMジェネレータ部

◆同軸の配線(2026/4/10)
基板からアンテナ端子(BNCジャック)の間は1.5D2Vを使いますが、半田付け部分において芯線は出来るだけ短く、網線は2カ所以上でグランドに落とすことが必要です。ここではタマゴラグを2個使い、網線を2つに分けて半田付けしました。

 アンテナ端子部の配線


FMジェネレータ部の調整

共通部(2026/4/17)

  1. TP3に周波数カウンタを接続し、T8のコアを回して16.756MHzになるよう調整する。
  2. TP4に高周波電圧計を接続し、出力が最大(数10mV)になるようT9,T10のコアを回す。また周波数が50MHz台になっているかを確認する。

 VXO部

受信部(2026/4/17)

  1. 周波数カウンタをTP5に接続し、10.245MHzになるようTC1を回す。
  2. tinySA→SMAリード線→30dBアッテネータ→SMA/BNC変換コネクタ→430F1機アンテナ端子
  3. tinySAをSGモードにする。
  4. FREQは61.000MHz、LEVELは-58.5dBmに設定し、LOW OUTPUTをONにする。
  5. tinySAの信号を受信し、T1〜T5のコアを回してSメータの振れが最大になるよう調整する。
  6. Sメータの針が中央付近に来るようLEVELを調整する。
  7. TP2にテスター(直流5Vレンジ)を接続し、T6を回して電圧を最大にし、T7を回して電圧がゼロになるよう調整する。

 受信部

◆送信部(2026/4/17)

  1. TP6に周波数カウンタをつなぎ、10.7MHzになるようTC2を調整する。
  2. FMジェネレータ部の出力端子にQRPパワー計をつなぎ、T11〜T16とTC3を回して出力が最大になるよう調整する。
  3. スペアナの周波数範囲は10MHz〜120MHzに設定する。
  4. スペアナ→SMAケーブル→30dBアッテネータ→BNC/SMA変換コネクタ→430F1機の順に接続する。
  5. スペアナの画面を見ながら主信号は最大に、スプリアスは最小になるよう各トリマやコアを調整する。
  6. 61MHz出力部でスプリアスを観測すると46dB近い抑圧比が得られました。

 送信部


トランスバータ部の調整

◆局発部(2026/4/17)

  1. T2の2次側に高周波電圧計をつなぎ、出力が最大になるようT2のコアを調整します。また周波数カウンタを接続し、13.778MHzになるようTC3を調整します。
  2. TP1に高周波電圧計をつなぎ、出力が最大になるよう、T3,T4,TC4,TC5を調整します。また週波数カウンタを接続し、372MHzになっているかを確認します。

 局発部

◆受信部(2026/4/17)

  1. SG(tinySA Ultra)→30dBアッテネータ→SMAケーブル→BNC/SMA変換コネクタ→アンテナ端子 の順で接続する。
  2. tinySA UltraをSGモードにし、FREQ=433.000MHzに設定し、OUTPUT=ONにして信号を出し、Sメータの振れが半分ほどになるようLEVELの数値を調整する。
  3. TC1,TC2のトリマ及びT1のコアを回してSメータの振れが最大になるようにする。また信号が強すぎる場合はLEVELを下げてSメータの振れを半分程度にする(今回の測定では-73.5dBmでした)、

 受信部の調整

◆送信部(2026/4/17)

  1. アンテナ端子にQRPパワーメータ(スイッチは2W側)を接続する
  2. マイクをON(送信)にし、TC6〜TC14を回し出力が最大(1W程度)になるよう調整する。
  3. tinySA Ultra→30dBアッテネータ→SMAケーブル→20dBアッテネータ→BNC/SMA変換コネクタ→アンテナ端子 の順で接続する。
  4. tinySA Ultraの測定周波数を300MHz〜600MHzに設定し、主信号が433MHzに同調しているか、スプリアスは50μW以下まで抑圧しているかを確認する。

 
(左)QRPパワー計を接続 (右)スプリアスを測定

<続く>


参考文献

  1. ビギナーのためのトランシーバー製作入門 千葉秀明 著 CQ出版社
  2. TR3200取扱説明書 トリオ株式会社
  3. ECHO-6回路図(50MHz AM/FM 1Wハンディ) 協和通信機製作所
  4. 高周波回路設計ノウハウ 吉田武著 CQ出版社
  5. アマチュアのV・UHF技術 CQ出版社