430H1機のスプリアス測定       ホームに戻る

新スプリアス規格(2025/9/5)
430H1機における @帯域外領域 Aスプリアス領域 について測定してみます。なお、以下の測定に関しては現時点で私が理解している範囲で進めており、理解不足の点があれば今後修正していきます。

 JARDの資料より

無線設備規則 第一章 第二節 第七条 別表第三号(令和5年12月22日施行) から抜粋

今回の測定は下表の赤字部が該当

基本周波数帯、モード

空中線電力

帯域外領域

スプリアス領域

BN(必要周波数帯)

±2.5BN

30MHz以下、SSB
(41項にアマチュア用の例外規定あり)

1W〜5W

50mW以下かつ40dB

50μW以下

4kHz未満

±10kHz

1W以下

100μW以下

5054MHzSSB(J3E)

1W50W

1mW以下かつ60dB

60dB

25kHz未満

±62.5kHz

1W以下

100μW以下

50μW以下

144〜146MHz、SSB(J3E)

1W〜50W

1mW以下かつ60dB

60dB

1W以下

100μW以下

50μW以下

430〜440MHz、SSB(J3E)
(10
項にアマチュア用の例外規定あり)

1W50W

1mW以下かつ60dB

60dB

1W以下

100μW以下

50μW以下

不要発射測定周波数範囲

送信周波数の範囲

測定周波数範囲

9kHz〜100MHz

9kHz〜1GHz

100MHz〜300MHz

9kHz〜第10高調波

300MHz〜600MHz

30MHz〜3GHz

600MHz5.2GHz

30MHz〜第5高調波


帯域外領域の測定(2025/9/5)

  1. 430H1機(430.200MHzを発振、無変調)→BNC/SMA変換コネクタ→SMAケーブル→スペアナ の順に接続する。
  2. スペアナは430.200MHzを中心に±65kHzを表示する。
  3. 必要周波数帯BNは25kHz未満、帯域外領域は±62.5kHz、RBWは200Hz。
  4. 帯域外領域では 4T=430.2129MHz の -70dBm(100fW) が最大であり、規格の100μW以下に納まっている。

測定環境

スプリアス

周波数

電波形式

飽和出力

必要周波数帯幅

帯域外領域

RBW

アッテネータ

周波数

強度

規格限度値

判定

430.2MHz

J3E 無変調

100mW (20dBm)

25kHz

±62.5kHz

200Hz

なし

430.2129MHz

100fW

100μW

適合

 帯域外領域(430.135〜430.265MHz)


スプリアス領域の測定(2025/9/5)

  1. パソコン(1500Hz)→430H1機→パワー計の順に接続する。
  2. パソコン(1500Hz)の音を大きくし、パワー計が飽和した電力の80%程(≒80mW)になるよう音を絞り、低周波電圧計(ミリバル)の値を読む。(4mVでした)
  3. パソコン(疑似音声)→430H1機→パワー計の順に接続し、1500Hzの時と同じ低周波電圧(4mV)になるよう疑似音声の音量を調整します。
  4. なお疑似音声の”ザー”という音は音量が一定ではなく電圧計の針は細かく振れます。また出力は1500Hz時に比べ約1/3 (30mW)に減りました。
  5. パソコン(疑似音声)→430H1機→BNC/SMA変換コネクタ→30dBアッテネータ→スペアナ の順に接続する。
  6. スプリアスとしては2Tの384MHzが-47.4Bm(18μW)で観測できました。
  7. 430H1機のトランスバータ部では局発の出力部のみ複同調で他は単同調ですが、スプリアスの点からはもう少し複同調を増やした方が良さそうです。
  8. スペアナとしてtinySA Ultraを使っていますが、帯域を3GHzまで広げると「REDUCED LINIARITY」というメッセージが画面下に表示されており、直線性の信頼度が低くなっているようです。

測定環境

スプリアス

周波数帯

電波形式

出力

測定周波数範囲

アッテネータ

周波数

強度

規格限度値

判定

430.2MHz

J3E

100mW(20dBm)

30MHz〜3GHz

30dB

384.0MHz

18μW

50μW

適合

 スプリアス領域(30MHz〜3GHz)

測定を終えて(2025/9/5)
UHFになると周波数変換や逓倍段数が増えるのは致し方ないのですが、トランスバータ部において複同調は局発の出力部のみで他は単同調であり、もう少し複同調を増やした方が良さそうです。ただ複同調を増やせば基板が大きくなるという問題があり、ハンディ機の場合はどの辺りで手を打つかが判断のしどころです。7430MHzまで現役自作機のスプリアスを測定してきましたが、「周波数が高くなる(逓倍段数が多くなる)ほどスプリアスが増える」という当たり前のことが分かりました。自作の容易さとしては、送信出力1W以下でHFまでが一つの区切りのように思え、VHFUHFになると難易度は増してきます。ビギナーとしては7とか21QRP機から始め、通信環境や興味によってQROするとか上の周波数を目指すのが良いように思います。

<完了>


参考資料

  1. 総務省無線設備規則
  2. JARDのスプリアスに関する資料
  3. CQ出版社 ダウンロードサイト 疑似音声発生器の製作
  4. ITU-T G.277準拠疑似音声発生サイト