430MHz 5/8λロッドアンテナ ホームに戻る
◆はじめに(2024/5/24)
2021年に移動運用で使う430MHzの5/8λホイップアンテナを作りましたが、改善したい点があることと、SWRの測定がアンテナからFT817に返ってくる反射波のみで、絶対値での評価ができなかったため、あらためて作り直しSWRの測定をしてみます。
◆5/8λの意味(2024/5/24)
- 中途半端に思える5/8と言う数字ですが、文献(*1)によると垂直アンテナにおいては0.625(5/8)λがアンテナの利得が最大になる長さということです。
- ただしその長さではアンテナ自体がキャパシティブになるため、それを打ち消すためのインダクタンスとして1/8λのコイルを入れます。
- 5/8+1/8λ=6/8λ(3/4λ)となってリアクタンス成分がゼロになり、いわゆるマッチングが取れた状態になります。
(*1) (*2)
(*1)
◆製作する(2024/5/24)
- エレメントはFMラジオ用450mm長のロッドアンテナを使い、SWR値を見ながら必要な長さを割り出し、先端部を切断して使います。
- ボビンは外径φ9×内径φ6のグラスファイバー製ですが、手に入りにくい場合はホームセンター等で売っているABS樹脂のパイプを使っても良いでしょう。
- ボビン内径はφ6で、ロッドアンテナの外径はφ5なので、中間にφ6×φ5の真鍮パイプを入れて直径を合わせています。
- ロッドアンテナの下端にM2のねじが切ってあるため、そのネジ穴を使ってボビンに固定し、またラグにコイルを半田付けします。
- ボビンの抜け止めとしてBNCプラグの外周にM2のネジを切り、ボビンにもφ2.2の穴を開け、抜け止め用のM2ビスをねじ込んでおきます。
- 全ての調整が終わればコイルに熱収縮チューブを被せ、ライターで加熱して収縮させ、固定・保護します。
各パーツ
◆SWRの測定(2024/5/24)
- 発信源として使ったIC351は1980年に購入したICOMのオールモードトランシーバ、SWR計のPM-400は同じ頃に購入したハムセンター製の物です。
- SWR値を見ながらロッドアンテナを伸縮させて最低値に追い込みますが、コイルの巻き数が3回では下がりきらなかったため、2.5回巻きに減らしました。
- 更にロッドアンテナを伸縮させてSWR値を下げた結果、ロッドアンテナ長は400mmに決まりました。
- ロッドアンテナの全長が400mmになるよう先端部(φ1.2 ステンレス)をペンチで切り、そこに0.5mmのスズメッキ線をコイル状に巻き、ステンレス用はんだを使って半田付けし、その上にM2用支柱(外径4mm×内径2.2mm×長さ5mm)を圧入して半田付けし、先端金具としました。
- SWRの最低値は433Mzにて1.15で、430〜440MHzでは1.4以内に収まりました。
追加した先端金具
完成した5/8λロッドアンテナ
◆電波の輻射(2024/5/24)
アンテナからはどのように電波が出ているのでしょう。図のような吸収型波長計をアンテナに沿って上下に移動し、メータの振れを図に点線で書いてみると、エレメントの上端から160mmほどのところに谷がありました。
アンテナからの輻射
◆アンテナの性能比較(2024/5/24)
- 秋月で購入した144MHz用のロッドアンテナ(伸長時500mm)を使い、433MHzでSWRが最低(1.05)になる長さを調べると150mmで、これを1/4λホイップとします。
- 433MHzのFM局を受信しながら性能比較してみると、1/4λよりも5/8λの方がSにして2程度強く入感しました。
- また1/4λではスケルチの開かなかった局が5/8λでは開いてS3程振れることもあり、遠くの電波を頑張って拾っているなと実感しました。
1/4λと5/8λで性能を比較
<完了>
参考文献(*印)
- アマチュアのアンテナ設計 岡本次雄著 CQ出版社
- アンテナ・ハンドブック CQ出版社