430MHz1/2λ電圧給電ロッドアンテナ            ホームに戻る

はじめに(2024/8/23)
電圧給電アンテナはモービルの世界では「ノンラジアルアンテナ」とも呼ばれ、ラジアル(地線)が不要のため移動運用時に便利で、144MHzでは数本作りました。2023年に
430MHz電圧給電アンテナを作りましたが、見た目をスッキリさせるためコンデンサとして同軸(10mmで1PF)を使い、コイルの内側に配置しました。しかし構造的に容量の微調整ができず、SWRを十分に下げられなかったという不満足な結果に終わりました。ならばコンデンサを外側に出し、トリマで微調整できる構造にすればSWRを十分に下げることができるはずです。


試作編

◆整合回路の計算(2024/8/23)
コンデンサを外側に出すということからLPF型の整合回路を選びました。433MHzにおける計算結果を以下に示します。

 (*1)

まずは実験から(2024/8/23)

  1. BNCジャックにスタンドオフ端子とタマゴラグをビスで固定し、そこにコイルとコンデンサ(3PFセラコンと6PFトリマを直列接続したもの)で整合回路を構成します。
  2. エレメントはφ0.9の銅線(ダイソーで購入)を330mmに切ったものを使います。
  3. コイルは0.9の銅線をφ9のボビンに2.5回巻いたものを使います。
  4. 以下のように機器を接続し、6PFのトリマを回すとSWRがストンと落ちる場所があり、430〜440MHzにおいてSWR1.3以下に収まり満足できる結果になりました。

  試作アンテナの整合部


製作編

◆使用部品と構造(2024/8/30)

  1. エレメントはFMラジオ用450mm長のロッドアンテナを用い、長さ合わせのため先端部を切断して使います。
  2. ボビンはグラスファイバー製の外径9×内径6×30mm長のパイプを使い、先端部を直径で0.5mm程削って3D2V用BNCプラグの内径(ネジ部)に合わせました。
  3. ロッドアンテナの根元径が5mmのため、直径合わせ用に外径6×内径5の真鍮パイプを使います。
  4. ボビンと真鍮パイプにφ2.2の通し穴をあけ、M2のビスを使ってロッドアンテナを固定します。M2ビスにはコイルを半田付けするラグ端子を取り付けておきます。
  5. BNCプラグにもM2のタップでネジを切り、ビスでラグを止め、トリマコンデンサの端子を半田付けします。
  6. ボビンに穴をあけて0.8スズメッキ線を通し、先端にBNCプラグ用のピンを半田付けし、コイルは2.5回巻いてラグに半田付けします。
  7. コイルとコンデンサの接触を防ぐため、コイル部にはφ12の熱収縮チューブを被せ、絶縁しています。

 各部品を並べる

 
(左)コイルを巻き、コンデンサを取り付ける (右)先端部の加工

◆SWRの測定(2024/8/30)

  1. SWRの測定方法は試作編と同じです。
  2. 調整後に熱収縮チューブを被せると同調周波数が2〜3MHz程下がるため、主に使う周波数より高めの位置でSWRが最低になるようトリマを調整しておくと、熱収縮チューブを被せた時に丁度良くなります。

 
(左)熱収縮チューブを被せる (右)SWR値

◆電波の輻射(2024/8/30)
図のような高周波電圧計を作り、アンテナに沿って上下に移動しながらメータの振れを図に点線で書いてみました。エレメントの上端部と下端部に山があり、中央部に谷がある電圧給電アンテナ独特のパターンです。

◆アンテナの性能比較(2024/8/30)

  1. 秋月で購入した144MHz用のロッドアンテナ(伸長時500mm)を使い、433MHzでSWRが最低(1.05)になる長さを調べると150mmで、これを1/4λホイップとします。
  2. 433MHzのFM局を受信しながら性能比較してみると、1/4λよりも電圧給電の方がSにして2程度強く入感しました。

 (上)秋月で購入のロッドアンテナ (下)今回製作の電圧給電

<完了>


参考文献(*印)

  1. ダイナミック・ハムシリーズ ワイヤーアンテナ CQ出版社
  2. アンテナ・ハンドブック CQ出版社