21MHzセンターローディングホイップ                ホームに戻る

◆はじめに(2023/3/31)
21MHz短縮ホイップはコイルを替えるだけで7MHzと21MHzに使えるものですが全長が1440mmあり、重心が低く脚が四方に踏ん張っている21H1機では問題ないのですが、脚の幅が狭い21H2機では岩の上に置いたとき不安定で倒れたことがあり、もう少し全長の短いアンテナが欲しくなりました。

 (左)21H1機 (右)21H2機


アンテナの全長と収納寸法(2023/3/31)

  1. 21MHzであれば垂直部のエレメントは1/4λの3.4mになりますが、小さなトランシーバに取り付けられる寸法ではありません。144MHzの移動用トランシーバーに使っているアンテナは全長1mのもので、この程度の長さなら大丈夫という実績があり、今回は1mで試作してみます。
  2. また普段移動で使うリュックに収納しやすくするため、3分割して35cm程度の収納寸法を考えてみました。
  3. コイルの位置は高いほど放射特性上有利ですが、給電部からの位置が全長の8割を超えるとコイルの巻き数が急激に増えて損失が大きくなるため、全長の2/3あたりの位置にしました。
  4. ビニール線で作った3.4mのラジアル(地線)は2本とし、アンテナのBNCコネクタにミノムシクリップで取り付けられるようM2ビスの頭を出しておきます。このラジアルが無いとSWRが下がらず、受信感度が極端に悪くなります。

センターローディングコイルの設計(2023/3/31)
計算式についてはアンテナハンドブックのP390-391にありますが、センターローディングコイルの計算サイトもあります。

 図2 アンテナハンドブック P390

上部エレメント長h2=330mm、下部エレメント長h1=630mm、エレメント全長h=h1+h2、エレメント平均直径d=6.3mm

21.2MHzにおいて

Ka=エレメントの平均特性インピーダンス 、 XL=ローディングコイルのリアクタンス

Ka≒60(loge(2h/d)-1) = 60(loge(2*(630+330)/6.3)-1) = 283Ω

XL/Ka = cot(2πh2/λ) - tan(2πh1/λ)     ※ 右辺の( )内の角度はラジアン 、 180°=πrad 、 cotθ=1/tanθ

    = cot(2*3.14*330/14151*180/3.14) - tan(2*3.14*630/14151*180/3.14)

    = cot8.40-tan16.03 = 6.77-0.29 = 6.48

XL = 6.48*Ka = 6.48*283= 1834Ω

ローディングコイルのインダクタンス L = XL/2πf = 1834/(2*3.14*21.2) = 13.8μH

空芯コイルの計算式から φ0.6のウレタン線を外径22mmのボビン(塩ビ水道管VP16)に28回密巻きすると14.1μHになり、ウレタン線は2mほど必要になります。


短縮コイル(2023/4/7)

  1. ガラエポ1.6mmの両面プリント基板を幅16.5o×長さ30oに切り出し、両端の中央部に幅4.6o×10oの切り込みを入れ、M3×10oの支柱(両端メネジ)を半田付けします。
  2. 両面基板の中央部は幅5oほど銅箔をはがして絶縁します。
  3. 水道管VP16(外径22o×内径16.5o)を30o長に切り、コイル用のボビンとします。
  4. ボビンを万力で挟んで少しつぶし、そこにプリント基板を挿入し、万力を緩めることで固定しました。隙間がある場合は、塩ビに有効な接着剤を流し込んでおくと良いでしょう。

 短縮コイル支持部の部品

 支柱を半田付け

 万力で挟み、ボビンを少しつぶして基板を挿入し、万力を緩めて基板を固定する

 短縮コイル

◆上部h2エレメント(2023/4/7)

  1. 上部エレメントはφ5のアルミパイプを330mmに切る。
  2. M3×30mmビスの頭を切り、0.55mmの銅線(100均)を巻き付けて半田付けし、外径をヤスリで4mmに仕上げ、パイプに挿入する。
  3. アンテナの先端になるもう一方にはφ5用の端末保護キャップを被せる。

  
(左)先端に端末保護キャップを被せる (中)0.55mmの銅線を巻いて半田付けし外径をφ4に仕上げる (右)パイプに挿入

◆下部h1エレメント(2023/4/7)

  1. 下部h1エレメントは2分割し、短縮コイル側をh1-2、給電側をh1-1とします。
  2. h1-2はφ7のアルミパイプを310mmに切り、短縮コイル側にはM3×15支柱(片側オネジ)を挿入し、オネジを外部に出す。
  3. もう一方にはφ6×60アルミパイプのアルマイト加工されている被膜をサンドペーパーで磨いて導電できるようにし、30mm挿入する。
  4. φ7アルミパイプの外径をパイプカッターで軽くつぶして抜け止めとする。
  5. h1-1エレメントはφ7アルミパイプを320mmに切り、φ8×40mmのアルミパイプを補強のために被せます。

 
h1-2エレメント (左)短縮コイルにねじ込む (右)φ6×60アルミパイプを30mm挿入

 短縮コイル部:コイルにはサージカルテープ(絆創膏)を貼っておき、調整後にずれないようにする


給電部(2023/4/14)

  1. 外径12.5mm×内径8mm×40mmのグラスファイバーパイプの先端を外径11mm×10mmにヤスリで仕上げる。
  2. 削りすぎた場合は木綿糸を巻いて隙間を埋め、しっかりとBNCプラグに固定します。
  3. h1-1エレメントのφ8アルミパイプで補強した部分を30mm挿入する。
  4. 1.5mmのドリルで貫通穴をあけ、M2のタップでネジを切り、M2×20のビスとナットで固定する。
  5. BNCプラグのセンターピンとM2ビスに付けたラグとを1mmのスズメッキ線で結ぶ。
  6. BNCプラグにはM2のタップを立ててM2ビスをねじ込み、グラスパイプの抜け止め及びラジアル(地線)接続端子とする。

  
(左)内部構造 (中)分解したところ (右)組み立てる

 M2ビスにラジアルを接続する


調整編

◆コイルの巻き数を調整(2023/4/14)

  1. トランシーバーにSWR計とアンテナを取り付け、またグランド端子には3.4mのラジアルを2本つなぐ。
  2. h2エレメントの代わりに600mmほどのロッドアンテナを取付け、伸ばしたり縮めたりしながらSWRが下がる傾向をつかむ。
  3. ロッドアンテナをh2エレメントの330mmよりも短くするとSWRが下がるため、コイルの巻き数を減らして24回巻きにした。
  4. ロッドアンテナをh2エレメントに交換し、コイル間隔を調整すると21.2MHzにおいてSWRは1.05になりました。
  5. コイルにはサージカルテープ(絆創膏)を貼り、調整後にコイルがずれないようにしています。
  6. 調整が終わればコイル部分には熱収縮チューブを被せ、ライターの炎で加熱して収縮させ、コイルを固定し保護します。

 
(左)コイルにはサージカルテープ(絆創膏)を貼っておき、調整後にずれないようにする (右)コイル間隔を調整し、熱収縮チューブを被せて完成

SWR特性(2023/4/14)

  1. YAESUのFT817NDに3.4mのラジアルを2本接続してSWR特性を測定しました。
  2. 21H2機が動作する21.140〜21.270MHzにおいてはSWR1.3以内に収まっており問題ないですが、移動先では地面や周囲の影響を受けると、この特性がずれるかも知れません。
  3. 21MHz短縮ホイップに比べると、エレメントが短くなってコイルの巻き数が増えた分、帯域が狭くなっています。
  4. コイルに熱収縮チューブを被せたり、エレメントの先端に端末保護キャップを被せる事で同調点がずれた場合は、上部エレメントを切り詰めるか、M3ネジにナットを追加するなど微調整をしてください。

 21H2機に取付

<完了>


参考文献 (*印)

  1. アンテナハンドブック  CQ出版社