7H5機のスプリアス測定         ホームに戻る

新スプリアス規格(2025/9/19)
7H5機における @帯域外領域 Aスプリアス領域 について測定してみます。なお、以下の測定に関しては現時点で私が理解している範囲で進めており、理解不足の点があれば今後修正していきます。

 JARDの資料より

無線設備規則 第一章 第二節 第七条 別表第三号(令和5年12月22日施行) から抜粋

今回の測定は7H5機であり、下表の赤字部が該当します。

基本周波数帯、モード

空中線電力

帯域外領域

スプリアス領域

BN(必要周波数帯)

±2.5BN

30MHz以下、SSB
(41項にアマチュア用の例外規定あり)

1W〜5W

50mW以下かつ40dB

50μW以下

4kHz未満

±10kHz

1W以下

100μW以下

5054MHzSSB(J3E)

1W50W

1mW以下かつ60dB

60dB

25kHz未満

±62.5kHz

1W以下

100μW以下

50μW以下

144146MHzSSB(J3E)

1W50W

1mW以下かつ60dB

60dB

1W以下

100μW以下

50μW以下

430440MHzSSB(J3E)
(10
項にアマチュア用の例外規定あり)

1W50W

1mW以下かつ60dB

60dB

1W以下

100μW以下

50μW以下

不要発射測定周波数範囲

送信周波数の範囲

測定周波数範囲

9kHz〜100MHz

9kHz〜1GHz

100MHz300MHz

9kHz〜第10高調波

300MHz600MHz

30MHz3GHz

600MHz5.2GHz

30MHz〜第5高調波


トラップの追加(2025/9/19)
7H5機の出力には3段のLPFを入れていますが、スプリアスは2倍波の47μWが最大で規格内にはギリギリ収まってはいるものの、これでは不安なので14MHzのトラップを追加しました。

 


測定系統図(2025/9/19)

  1. 音源として1500Hzの正弦波と疑似音声を使いますが、これはITU-T G.277準拠疑似音声発生サイト、またはCQ出版のダウンロードサイト疑似音声発生器の製作を利用します。
  2. 正弦波と疑似音声の電圧を測定できる低周波電圧計が必要です。


◆搬送波電力の測定(2025/9/19)

  1. 7H5機のアンテナ端子にパワー計を接続し、針の振れが止まるまで1500Hzの音を大きくすると2.5Wを示しました。
  2. スペアナに接続するアッテネータはSMA型の10dB+30dB=40dBを使います。
  3. 7H5機の周波数を7.100MHzに設定し、スペアナの周波数を7.090〜7.110MHzに設定すると1T=-5.9dBm(2.57W)となり、パワー計と同等の値を示しました。
  4. SSBの飽和電力は2.5Wとします。

 搬送波電力


帯域外領域

無変調で測定(2025/9/19)

  1. JARDの資料では帯域外領域でのスプリアス測定は「搬送波を無変調で送信、占有周波数帯域幅の外側のスプリアスを測定」となっています。
  2. 測定系統図においてVRを左に回し切った状態を「無変調」とします。

帯域外領域の測定(2025/9/19)

  1. 7H5機→BNC/SMA変換コネクタ→SMAケーブル→スペアナ の順に接続する。
  2. スペアナは7.090MHz〜7.110MHzを表示するよう設定します。
  3. 必要周波数帯BNは4kHz未満、帯域外領域は±10kHz、RBWは200Hz。
  4. 帯域外領域では 3T=7.09735MHz の -83.1dBm(4.9fW) が最大であり、34dBm-(-83.1dBm)=117.1dBc となり、規格の50mW以下かつ40dBに納まっています。

測定環境

スプリアス

中心周波数

電波形式

飽和電力

必要周波数帯幅

帯域外領域

RBW

アッテネータ

周波数

強度

規格限度値

判定

7.100MHz

J3E 無変調

2.5W (34dBm)

4kHz

±10kHz

200Hz

なし

7.09735MHz

4.9fW , 117.1dBc

50mW以下かつ40dB

適合

 帯域外領域のスプリアス


スプリアス領域

音源の準備(2025/9/19)
スプリアス領域における測定方法は、「1500Hzの変調をかけSSBの飽和する電力を確定し、その80%になった変調入力レベルと同じ疑似音声入力とする」とのことで、1500Hzの正弦波と疑似音声の音源が必要です。疑似音声のサイト → ITU-T G.277準拠疑似音声発生サイト、 またはCQ出版社ダウンロードサイト → 疑似音声発生器の製作

スプリアス領域の測定(2025/9/19)

  1. パソコン(1500Hz)→7H5機→パワー計の順に接続する。
  2. パソコン(1500Hz)の音を大きくし、パワー計が飽和した電力の80%(2W)になるよう音を絞り、低周波電圧計(ミリバル)の値を読む。(5mVでした)
  3. パソコン(疑似音声)→7H5機→パワー計の順に接続し、1500Hzの時と同じ低周波電圧(5mV)になるよう疑似音声の音量を調整します。
  4. なお疑似音声の”ザー”という音は音量が一定ではなく電圧計の針は細かく振れていました。また出力は1500Hz時に比べ1/3程(0.7W)に減りました。
  5. パソコン(疑似音声)→7H5機→BNC/SMA変換コネクタ→30dBアッテネータ→スペアナ の順に接続する。
  6. スプリアスとしては2Tの476.6MHzが-59.7dBm(1.07μW)で観測できましたが、現れる周波数はスキャンの都度変化しており、これをスプリアスと呼んでよいのかは疑問です。

測定環境

スプリアス

周波数

電波形式

飽和電力

周波数範囲

アッテネータ

周波数

強度

規格限度値

判定

7.1MHz

J3E

2.5W(34dBm)

9kHz1GHz

30dB

476.6MHz

1.07μW

50μW以下

適合

 9kHz〜1GHzの波形

<完了>


参考資料

  1. 総務省無線設備規則
  2. JARDのスプリアスに関する資料
  3. CQ出版社 ダウンロードサイト 疑似音声発生器の製作
  4. ITU-T G.277準拠疑似音声発生サイト