144MHzSSB3W固定用トランシーバ(144S6)

はじめに(2020/5/22)
4/8に緊急事態宣言が発令されて以来外出自粛の生活が続いており、身の回りの不用品整理を進めている日々です。これまでにトランシーバーは何十台も作りましたが、役目が終わったものは分解して部品は再利用しています。しかし自作したケースはほとんど再利用することなくそのまま残しており、結構な量になっていました。場所をとるからと言って処分してしまうにはもったいなく、穴が多数開いている部材は廃棄するとしても、きれいな部分だけでも使えないかとの思いが湧き、巣ごもり生活の間に何か作ってやろうという気持ちになりました。

何を作るかな(2020/5/22)
このところハンディ機の製作が多かったものの、振替ってみると半年ほど何も作っていないので、私のメインバンドである144MHzのSSB固定機でも作るかということになり、まずはどんな形にするかとCADを使って設計を進めます。

 正面パネルのデザイン

部品の再利用(2020/5/22)
緊急事態宣言は解除されましたが外出自粛は続いているため日本橋へは行きづらく、また通販の方も忙しそうなので手持ちの部品で作ることを前提に仕様を考えます。性能や回路は実績のある144S5機とほぼ同じとし、自動ワッチができるスキャン回路を追加します。再利用のアルミ板は多少穴が開いていても力のかからない部分であれば金属用パテで埋めることにします。また20年ほど前にミズホ通信の11.2735MHz水晶フィルタ(@4000)をサトー電気で多数買い、それに対応したVXO用の水晶を川崎電波で注文したものが残っているため、これを使うことにします。

仕様

  1. 周波数:144.140〜144.330MHz
  2. 送信出力 : 3W
  3. 終段 : 2SC1971
  4. 受信部 : 高1中2シングルスーパー
  5. 中間周波数 : 11.2735MHz
  6. ケース : 幅200×高70×奥行150mm できるだけ再利用のアルミ板を使って自作する
  7. 配線方式:プリント基板と平ラグ板を併用
  8. 同調 : バリキャップと10回転ヘリポットによる電子同調、周波数表示はVUメータに目盛りを貼り付けて使用
  9. 機能 : 三角波発生回路によるバンド内自動ワッチ
  10. 電源電圧 : 12V

製作編

ケースの製作(2020/5/30)
ケースはアルミ板による自作とし、正面パネルは2mm厚、他は1mm厚を使います。また上下の蓋を固定するために9×9のL型アングルを使い、それぞれを3mmのビスで固定します。再利用する部材で穴が開いたところは金属用パテで埋めました。

 
(左)ケース 幅200×高70×奥行150mm (右)再利用品で穴の開いた箇所は金属用パテで埋める


正面パネルに部品を取り付ける(途中で設計変更しているためCAD図とは部分的に異なります)

◆配線方式はラグ板とプリント基板の併用(2020/5/30)

  1. 主な部分は平ラグ板による配線としますが、このサイズでは全ての回路を収納できないため、VXO部と終段部はプリント基板を使います。
  2. また終段部は後部パネルに取り付け、終段の放熱も兼ねることにします。

 

◆目盛りの製作(2020/5/30)

  1. 周波数表示とS/POWERメータは共立電子で買ったVUメータ(@460)を使うため、目盛りは自作します。
  2. 周波数や出力は実測してCADで目盛りを作りましたが、S表示は適当に目盛りを書きました。
  3. これを写真用のフォトペーパーにインクジェットプリンタで印刷し、両面テープでメータに貼り付けます。

 
(左)VUメーター (右)目盛りを貼り付け

VXO部(2020/5/30)

  1. このHPで紹介している144のトランシーバーは市販の水晶にてVXOや水晶フィルタを組んできましたが、今回は手持ち部品の再利用が主な目的のため、VXOの水晶は20年近く前に川崎電波に注文したものを使うことにしました。
  2. 中間周波増幅ではミズホ通信のフィルタ(11.2735MHz)を使うため、VXOの周波数はそれに合わせ、カバー範囲は144.140〜144.330MHzになりました。
  3. 発振部には0.6mm厚のアルミ板で作ったカバーを被せ、周囲温度の変化を緩やかに受ける構造としました。

 VXOの基板図

 

周波数の直線性(2020/5/30)
同調は10回転のヘリポットを使い、三端子レギュレータで安定化した8Vをバリキャップ(FC54M)に加えます。ヘリポットには直線性補正用抵抗の10KΩを並列につないでおり、回転数対周波数のの関係は下のグラフのようになりました。

VXO部の周波数変動(2020/7/10)
電源ONしてからの周波数変動を調べてみました。3分程度までは40Hzほど動き、その後はじわじわと上がります。ただし私が基準としている100Hz/10分は十分に満たしているため、実用上問題はありません。

終段部(2020/7/10)
終段部はガラスエポキシ基板を使いました。また2SC1971はエミッタがフィンにつながれているため放熱が容易です。基板に切り欠き部を作ってトランジスタを沈め、ケースの後部パネルにビスで固定します。

終段部基板図

 
(左)終段部基板 (右)2SC1971の放熱

◆ラグ板配線部(2020/7/10)
プリント基板部以外は平ラグ板による配線です。部品交換や、ある程度の回路変更が容易なので、ずっと続けている配線方式です。

 

同調ツマミの追加(2020/7/27)
製作当初は10回転のヘリポット(100kΩ)による主同調と、直列に接続した5kΩボリュームによるファインチューニングとしていましたが、ヘリポットだけでも同調は可能で、このファインチューニングはどちらかというとデザイン上の目的(正面パネルのバランスのため)でつけていました。それで何か別の用途に使えないかと考え、第2同調としてスイッチで切り替えることにしました。すなわち

  1. 第1同調は100KΩB型の10回転ヘリポットとし、通常の運用に使う。
  2. 第2同調は100kΩB型のボリュームを使い、バンド内を素早くワッチするのに使う。
  3. 第1同調と第2同調はスイッチで切り替える。

 
(左)第2同調を追加した正面パネル (右)改造した回路

第1同調でメインの局を聞きながら、他に誰か出ていないかを第2同調で探すなど、アナログ的なメモリとして使うことができ、意外と便利な機能です。

特性測定(2020/7/27)
FFTを使ってスプリアスを調べてみました。下の画像のように144MHzの信号が観測できますが、過剰入力になると周りに他の成分が現れ始めるため、実運用の時はマイクにかじりつかないよう注意することが必要です。

運用実績(2020/7/27)
伊丹市の自宅から8mHの1/4λGPで運用した結果です。相手局が移動の場合は良く飛びますね。

日付 相手局 HIS MY 当局運用地 相手局運用地 距離(km)
2020/5/24 JM3IEK/3 57 59 兵庫県伊丹市(自宅) 奈良県平群郡 35
2020/7/25 JJ2ONH/2 57 59 兵庫県伊丹市(自宅) 岐阜県揖斐郡揖斐川町 125
2020/7/25 JG2NCR/2 53 53 兵庫県伊丹市(自宅) 愛知県豊田市 165
2020/11/8 JP3XBN/3 59 59 兵庫県伊丹市(自宅) 滋賀県栗東市

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