144MHz電圧給電アンテナ6(ロッドアンテナ使用HPF型)    ホームに戻る

はじめに(2021/10/8)
暑かった夏から解放され移動シーズンに入ってきました。以前1.5mのロッドアンテナを加工して電圧給電アンテナを作りましたが、設計上の耐電力は使用したセラミックトリマの耐圧から2Wとなっています。移動用トランシーバーの144H6機は最大出力が2Wなのですが、FMのようにフルパワーで連続送信することはあり得ないものの、もう少し耐電力のある電圧給電アンテナを作ってみたくなりました。

コンデンサは同軸で(2021/10/8)
ロッドアンテナを使った電圧給電アンテナで使ったトリマは耐圧50Vですが、144MHz電圧給電アンテナ(HPF型)では同軸の芯線を同調コンデンサとして使いました。3D2Vでも耐圧は1000Vあるので計算上は100Wでも使えそうですが、同軸は大丈夫でも別の箇所で火を噴くかもしれません hi。

計算値と実績値(2021/10/8)
下記の計算ではC=8.2PF、L=0.15μHとなりましたが、144MHz 電圧給電アンテナ(HPF型)ではC=4.5PFで良好な結果が出ており、今回はそちらのデータを使おうと思います。3D2Vをコンデンサとして使う場合、計算値では82mm長、実績値では45mm長となります。計算値のデータを使うとマッチング部が大きく(長く)なってしまうという事情があり、コンパクトに収まる実績値の方を採用することにしました。

マッチング部の構造を検討(2021/10/8)

  1. マッチング部は入力の50Ωをエレメントのインピーダンス(数100Ω)に合わせるためのものです。
  2. BNCコネクタのインピ-ダンスはどのメーカーも50Ω(または75Ω)ですが形状寸法は異なるため、ノギスなどを使い長さを測っておくことが必要です。
  3. 3D2Vは1PF/10mmのため、芯線を内径3mmの真鍮パイプに45mm挿入し、4.5PFのコンデンサとして使います。
  4. 芯線はBNCプラグの構造から右方向へはずれませんが左方向にはずれるため、芯線の銅線とM2ビスとの接触防止を兼ね、詰め物(芯線のポリエチレン3mm長)を入れます。
  5. (ピンク)ボビン (黄)3D2V芯線 (緑)基部およびコンデンサ形成部 (青)芯線ずれ防止用の詰め物

 マッチング部の構造

1.5mロッドアンテナの分解(2021/10/15)
1m長のロッドアンテナが手に入ればそのまま使えますが丁度良いものがないため1.5mのものを切って使うことにしました。

  1. 10段のロッドアンテナ(太い方を1段目、細い方を10段目とする)の1段目を切って4〜10段目を取り出します。
  2. 各段ごとに半円状に丸めた銅板が根元部分から外れてくる。1〜3段目は使用しません。
  3. 4段目のパイプは内径が7mmであり、ここに基部を取り付けます。

 分解したロッドアンテナ

◆10段目を短くする(2021/10/15)

  1. 4〜10段目を合計した長さは1090mmになり、これでは144MHzには同調しないので先端の10段目を短くして、全長990mmになるようにします。
  2. キャップを外し、ペンチ等で先端から100mmを切り離す。
  3. 先端にM2のねじをダイスで切る。万力でうまく挟めない場合は、ドリルのチャックを使う。
  4. ネジ部分にキャップを取り付ける

 短く切ったφ2のエレメントをドリルのチャックで掴み、ダイスでM2のネジを切る

 キャップをねじ込む

◆基部の作り方(2021/10/15)

  1. 真鍮(以下BS)パイプをパイプカッターで切ると内側にバリが出るため、面取りドリルでバリをさらえます。
  2. φ4×φ3×60のBSパイプにφ6×φ4×20のBSパイプを被せ、半田付けする。
  3. φ6のBSパイプに0.5のスズメッキ線を20回ほど巻き、半田付けし、外径をφ7に仕上げますが、φ4部を電気ドリルでチャックして回転させφ7部にヤスリを当てると均等に削れます。
  4. φ7部にφ2のドリルで貫通穴をあける。M2×10のビスとこの穴でロッドアンテナを固定します。

◆マッチング部の製作(2021/10/15)

  1. ボビンには外径φ9内径φ6のグラスファイバーパイプを使いました.。
  2. パイプを49mm長に切り、片側の端がBNCコネクタにはまるよう外径φ8.8×長さ9mmに削ります。電気ドリルのチャックでつかんで回し、ヤスリを当てると丸く削れます。
  3. BNCプラグはラグ端子を取り付けるため、端から3mmの位置にφ1.5のドリルで下穴をあけ、M2のタップでネジを切ります。
  4. φ0.8スズメッキ線を7回巻き、端部はラグに半田付けします。
  5. 3D2V芯線が左方向へずれないよう、芯線のポリエチレン部を3mmに切り、詰め物として使います。
  6. ボビンと基部の差し込み部分、およびBNCコネクタとの差し込み部はエポキシ系2液接着剤で固定します。
  7. SWRの調整が終わればコイル部分に熱収縮チューブを被せ、ライターなどで加熱して収縮させ、コイルがずれないようにします。今回はφ12の熱収縮チューブを60mmに切って使用しました。

 ロッドアンテナに基部を差し込んでビス止め。

 ボビンにはM2ネジを通すキリ穴をあける マッチング部を熱収縮チューブで保護

◆SWR測定(2021/10/22)
トランシーバーを送信状態にして、コイルのピッチを調整しSWRの最低点を探します。144.140〜144.260MHzにおけるSWR値は1.1でした。

◆電波の輻射(2021/10/22)
図のような高周波電圧計を作り、アンテナに沿って上下に移動しながらメータの振れを図に点線で書いてみました。エレメントの上端部と下端部に山があり、中央部に谷があります。

<完了>


◆参考資料

  1. アンテナハンドブック CQ出版社
  2. アンテナ製作マニュアル 電波新聞社
  3. アマチュアのアンテナ設計 岡本次雄著 CQ出版社