430MHz2段電圧給電アンテナ               ホームに戻る

◆1段から2段へ(2023/9/1)
144MHzの2段電圧給電の実験は2021年6月に行いました。質量は120g程ですが全長が2mになり、強風を受けた時は給電部に応力が集中し、強度が心配なため製作は見送っていました。しかし430MHzならば2段でも0.7mであり、強度的な心配はありません。下の図は1段と2段の垂直面指向性を現していますが、2段にすることで水平方向への放射が3dBほど増え、これは電力比で2倍に相当します。 計算式では 10log(2/1)=3dB ですね。また受信感度もSにして1ほど上がるはずです。

  (*2)
(左)1段の垂直面指向性 (右)2段の垂直面指向性

◆半波長迂回路(2023/9/1)
コーリニアアンテナ(エレメントを直列に配置したアンテナ)ではλ/2ごとに電流を同相に揃えるため、間に位相反転用のλ/2スタブ(半波長迂回路)を入れます。144MHzの2段電圧給電を作った時はφ12.5のボビンに1mmのウレタン線を16回巻き、インダクタンスは1.5μHでした。430MHzではおそらくその1/3程になるでしょう。

  (*1 P140 フランクリンアンテナ)

◆λ/2スタブのインダクタンス(2023/9/1)
スタブとは「切り株」のことで、垂直のアンテナから横に飛び出している様子が語源とのことです。さてλ/2スタブのインダクタンスが判ればそれ相当のコイルを巻けば良いことになるため、測定してみました。

  1. 340mm(λ/2 短縮率98%)のビニール線をLCFメータ(秋月のキット)にてループ状にしてインダクタンスを測定すると0.5μHでした。
  2. 空芯コイルの計算式から 0.8UEW(ウレタン線)を 内径10mm、9回巻、14mm長で 0.5μH になります。

 340mmのビニール線をループ状にしてインダクタンスを測定すると0.5μHであった

1/2λスタブ(2023/9/1)

  1. φ10ABSパイプを50mm使いボビンとします。
  2. 両端にはφ6のアルミパイプを15mm挿入し、M2のタップでネジを切り、M2のビスでラグ端子及びφ2.2の穴をあけたABSパイプと貫通固定します。
  3. ラグ端子には0.8UEW(ウレタン線)を9回スペース巻きにするとおよそ0.5μHになり、1/2λのスタブとします。

 1/2λスタブ

 φ10のボビンに巻いた1/2λスタブ(半波長迂回路)

◆整合部(2023/9/15)

  1. 整合部については430MHz電圧給電アンテナ1の計算値と構造を踏襲します。
  2. エレメントはφ6のアルミパイプを使用し、M2のタップでネジを切り、M2のビスでラグ端子を挟んでABSパイプと貫通固定します。
  3. 5D2V用BNCプラグにもM2のタップでネジを切り、もう一方のラグ端子を固定します。また挿入したABSパイプの抜け止めとしても使います。
  4. BNCプラグのセンターピンに5D2Vの芯線を半田付けし、アルミパイプには9mm挿入することで0.9PFのコンデンサを形成します。
  5. 芯線の抜け止めとして、5D2V芯線のポリエチレン部分のみ7mm使用してスペーサとします。
  6. コイルは0.8スズメッキ線をラグ端子にはんだ付けし2.25回巻きました。

 整合部の構造

簡易旋盤(2023/9/15)
φ10のABSパイプをM型コネクタに挿入する箇所はφ8.×10mmに加工しますが、全周を均一に削るのは中々難しいため、電気ドリルにチャックしてヤスリを当てることで簡易旋盤とし、均一に削ることが出来ます。

 

◆SWRの測定方法(2023/9/15)

  1. 430MHz用のSWR計があれば良いのですが、持っていない場合FT817には「SWRメータ」機能があります。(*3)
  2. ただSWR1.0とか1.5とかいう数値表示ではなく、反射波の強さをディスプレイのバーの数で表示する機能なので、出力が大きい状態でSWRを最低にすることが好ましいです。
  3. パネル正面のBNCジャックにアンテナを直接つければ、途中に同軸ケーブルが入らないため測定誤差は少ないでしょう。
  4. まずは1段目のコイルピッチを調整してSWRを下げ、その後2段目をつないでL2のピッチを調整しSWRを下げます。

 

◆電波の輻射(2023/9/15)
図のような高周波電圧計を作り、アンテナに沿って上下に移動しながらメータの振れを図に点線で書いてみました。ダイポールが2段つながっている電圧給電アンテナ独特のパターンです。

 

<完了>


参考文献(*印)

  1. アンテナ工学ハンドブック 電子通信学会編 オーム社
  2. 図解 やさしいアンテナ入門 CQ ham radio 2006年 12月号付録
  3. FT-817取扱説明書 八重洲無線