46MHzSSBジェネレータ(46G1)

はじめに(2024/2/2)
2024年のQSOパーティーにて430SSBに出て、10年ほど前に作ったもののQSOの機会が無く使わずにいた、100mWの430トランスバータ+SSBジェネレータでQSOができ感激しました。ジェネレータ機は周波数目盛りも無いような適当に作ったものでしたが、これでQSO出来るのならもうちょっとまともに使えるリグにしようと、作り直す気になりました。

 (左)430MHzトランスバータ (右)46MHzSSBジェネレータ

本機の周波数を46MHzにした理由(2024/2/2)
サーキットハウスのCV607Bキットには430→50MHz用(42.222MHz)と434→50MHz用(42.666MHz)の2個の水晶が付属しています。当初は42.222MHzの水晶を使い50MHzのトランシーバを親機にしていましたが、通り抜けで50MHzの電波を430の交信と聞き間違えた事があり、そのため親機の周波数を46MHzに変更しました。なお42.222MHzの水晶であればサトー電気で購入できます。その他、下記のような組み合わせも考えられますので、お試しください。

トランスバータ部

SSBジェネレータ部

備考

局発
MHz

逓倍数

局発出力
MHz

出力
MHz

VXO
MHz

逓倍数

中間周波数
MHz

41.333 9 372 58 14.666 3 14.318 水晶銘板は44MHz
42 9 378 52 20 2 12.288  
42.222 9 380 50 18 2 14.318  
42.666 9 384 46 16 2 14.318  
44 9 396 34 20 1 14.318  
47.5 8 380 50 18 2 14.318  

主な機能と仕様(2024/2/2)
プリント基板化すれば小型になりますが、ツマミやメータも小型のものを使うため、全体として操作がしにくくなります。今回は固定機として使うことを前提とするため、使い勝手の良い144S6機のデザインや機能を踏襲します。同調ツマミは2個設け、スイッチで切り替えることにより物理的に周波数を記憶させます。また三角波発生回路によりバンド内をスキャンして自動ワッチ出来ることは、出ている局の少ない430SSBでは有効な機能でしょう。

  1. 周波数 : 46.150〜46.310MHz
  2. 送信出力 : 5mW
  3. 受信部 : 高1中2シングルスーパー
  4. 中間周波数 : 14.315MHz
  5. 寸法 : 幅200 × 高さ70 × 奥行150mm(突起部を含まず)

 正面パネルのイメージ


ケースの製作(2024/2/2)
ケースのサイズは幅200×高さ70×奥行150mm。正面パネルは2mm厚、その他は1mm厚のアルミ板、角部はL型のアングルを使い、M3のビスで固定します。実は新作したのは正面パネルのみで、他の部材は分解したトランシーバーのケースを流用しています。

 製作したケース

◆ケースの加工(2024/2/9)

  1. 正面パネルは2mm厚のアルミ板を使い、メータの角穴はハンド二ブラで拡げていましたが、握力が続きませんでした。そのため3.2mmのドリルで角穴の内側に沿って連続した穴をあけ、穴と穴の間に残った部分はニッパーで切り、凸凹部をヤスリで仕上げるという伝統的な工法に切り替えました。
  2. 塗装はせず表面を600番細目のサンドペーパーで細かい傷が見えなくなるまで長手方向に磨き、ヘアーライン仕上げとしました。出来れば透明スプレーをしておくと輝きを維持することができるでしょう。
  3. スピーカー取付穴は長円形にあけ、スピーカーグリルはプリント基板と真鍮の金網で作り、ツヤ消し黒のスプレーで塗装しました。

 正面パネル

 背面パネル

 大きな穴をあける方法(*1)

◆シールの貼り付け(2024/2/9)

  1. ラベルシールにCADで作った画像をインクジェットプリンタで印刷し貼り付けます。
  2. ここでは下地が白の光沢タイプを使いましたが、透明フィルムや転写フィルム等もありますので、そういったものを利用すると下地を活かした文字入れができるでしょう。
  3. S目盛りはそれらしい位置に数値を書いているだけで、S1つ当たり3dBとか6dBといった測定値に基づく目盛りではありません。
  4. 周波数目盛りは送信出力を周波数カウンタで測定した数値に基づき書き入れています。


配線経路の検討(2024/2/16)
20Pの平ラグ板4枚を使って回路を構成しますが、部品の取付位置は事前に検討しておくことが必要です。そのため下のような部品配置と、ざっとした配線経路の図を作っておきます。

 
(左)上面配線経路 (右)下面配線経路

◆配線を進める(2024/2/16)
上の配線経路図に従って実際の配線を進めます。青色(送信部)、赤色(受信部)、黄色(共通部)、緑色(AGC部)、黒色(グランド部)、同軸0.8D2V(高周波が流れる低インピーダンス部)、細いシールド線(低周波部)のように色分けし、後からのチェックが楽になるようにしています。またラグ板からグランドに落とす部分は卵ラグを使います。

 
(左)上面配線 (右)下面配線

◆可変抵抗器(2024/2/16)
VXOはバリキャップを使っているためTUN1は100KΩのヘリポット、TUN2は通信機型のVR(可変抵抗器)を使い、スイッチで切り替えています。通常はTUN1のヘリポットを使いますが、他に出ている局がいないかを探すときは、TUN2にスイッチを切替えてワッチするようにしています。

 同調部に使用する可変抵抗器2種

スキャン回路(2024/2/16)
430MHzSSBは出ている局が少ないため、ダイヤルをグルグル回しながらワッチするのは疲れます。昨今のリグならバンドスコープで眺めることもできるでしょうが、純アナログリグではそうもいかないため、NE555で三角波を発生させVXOのバリキャップに変化する電圧を加えます。VR1を回して出力が0V〜9Vまで変化するよう調整すると約5秒で150kHz程をスキャンします。

 三角波発生回路


◆各部の調整(2024/2/23)
使用する測定器としては、高周波電圧計周波数カウンタ低周波発振器終端型パワー計シグナルジェネレータ、テスターです。

  1. 全ての部品を取り付けてから調整するのではなく、部品取り付けを段階的に進めながら動作確認をします。
  2. まずはVXO部の配線を行い、T8で周波数の下限を32.150MHzに設定し、T9とT10を回して出力を最大にします。
  3. 平衡変調部のTC1を回してキャリヤポイントを14.313MHzに設定します。
  4. 送信部はマイクアンプ→平衡変調部→周波数変換部→終段増幅部の順で出力が最大になるようコイル(T4,T5,T6,T7)を調整します。
  5. 終端型パワー計(FCZ研のQRPパワー計等)を出力端子に接続し、5mW程出ていることを確認します。
  6. 受信部は出力側からさかのぼって動作確認します。
  7. LM386の低周波増幅部にサイン波を入れ、きれいな音が出るかを確認します。
  8. 中間周波増幅部はT11,T12のコアを回してノイズが最大になるよう調整します。
  9. 最後に高周波増幅部のT1,T2,T3を回してノイズが最大になるよう調整しますが、46MHzの信号源がある場合はSメータを見ながら振れが最大になるよう調整します。

◆46MHz5mWの出力波形(2024/2/23)
デジタルオシロスコープをFFT機能にし、不要なスプリアスが出ていないかを確認しました。

 FFTにて波形観測

◆周波数カウンタの接続(2024/2/23)
430SSBではスケジュールが各曜日と時間で組まれており、正確な周波数を知るため周波数カウンタが接続できるようにしています。本機ではVXOの出力部にカウンタを接続し、オフセット周波数を398.313MHzに設定しています。

 
(左)オフセット周波数 (右)430.170MHzを表示

◆トランスバータとの接続(2024/2/23)

  1. トランスバータはサーキットハウスのキットCV607Bを組み立てたものですが、2001年に購入したものであり、ネットで調べた範囲では現時点で会社そのものも存在しないようです。
  2. 基板は @局発+受信部 A送信部 の2枚に別れています。
  3. 仕様は電源電圧12〜14Vで出力は200mWとなっていますが、12Vを供給し入力電力5mWで何とか100mW出ました。
  4. 430MHzのトランスバータキットに関しては、構成は違いますが福島無線通信機で扱っているようなので、そちらにお問合せください。

 430→46MHzトランスバータ

 ジェネレータ、トランスバータ、カウンタを接続

<完了>


参考文献

  1. ビギナーのためのトランシーバー製作入門 千葉秀明著 CQ出版社